第1章 計画の概要 1 計画策定の趣旨  横浜市では、障害施策に係わる中・長期的な計画である「障害者プラン」(以下「プラン」といいます。)を、平成16年度に策定しました。その後、21年度に「第2期プラン」、27年度に「第3期プラン」を策定し、障害者が自己選択・自己決定のできる社会の構築という視点を中心に、施策を推進してきました。  このプランは、次の三つの法定計画(策定するよう法令で決められている計画)の性質を持つ計画です。  一つ目は、「障害者基本法」に基づく、障害者に関する施策の方向性等を定める基本的な計画である「障害者計画」です。二つ目は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(障害者総合支援法)に基づき、障害福祉におけるサービスごとに、必要な利用の見込み量を定め、その円滑な実施の確保を進めていくことを定める「障害福祉計画」です。三つ目は、「児童福祉法」に基づく、障害児福祉におけるサービスごとに、必要な利用の見込み量を定め、その円滑な実施の確保を進めていくことを定める「障害児福祉計画」です。  第4期プランも、引き続き、横浜市の施策と、国が定める障害福祉サービスの連携を図っていく必要があることから、この三つの計画を一体的に策定します。  障害のあるなしに係わらず、全ての市民が、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されることを前提に、障害のあるなしによって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら暮らすことのできるまちを実現していくことが必要です。  そのため、第4期プランでは、「障害のある人もない人も、相互に人格と個性を尊重し合いながら、地域共生社会の一員として、自らの意思により自分らしく生きることができるまちヨコハマを目指す」を基本目標として掲げました。また、基本目標の実現に向け必要な7つの視点を設定し、本市における障害福祉施策をしっかりと進めていきます。 2 計画の位置づけ (1)計画期間  第3期プランは、平成27年度(2015年度)から令和2年度(2020年度)までの6年間を計画期間として策定しました。  また、中間期である平成29年度末(2017年度末)には、「障害福祉計画」部分について、3年を1期として作成することとしている国の基本指針に基づく見直しのほか、児童福祉法の改正に伴う「障害児福祉計画」の一体的策定を行うとともに、プラン全体の振り返りと後期3年間の方向性をまとめた改定版を策定しました。  第4期プランについても、第3期プランと同じく、中・長期的なビジョンをもって施策を進めていくために、計画期間を6年間として策定します。  また、障害福祉計画及び障害児福祉計画の部分については、3年後に見直しを実施します。そのほかにも、プランの進行管理や進捗を評価し、その施策・事業の必要性の検討、事業規模や期間などを見直すとともに、社会情勢やニーズの変化に伴う新しい課題に柔軟に対応するための施策の再構築なども併せて実施します。 名称:第3期横浜市障害者プラン 年度:27年度(2015年度)、28年度(2016年度)、29年度(2017年度)、30年度(2018年度)、令和元年度(2019年度)、2年度(2020年度) 名称:第4期横浜市障害者プラン 年度:3年度(2021年度)、4年度(2022年度)、5年度(2023年度)、6年度(2024年度)、7年度(2025年度)、8年度(2026年度) 構成:障害者計画 年度:27年度(2015年度)、28年度(2016年度)、29年度(2017年度)、30年度(2018年度)、令和元年度(2019年度)、2年度(2020年度) 構成:障害福祉計画 年度:27年度(2015年度)、28年度(2016年度)、29年度(2017年度) 構成:障害福祉計画 年度:30年度(2018年度)、令和元年度(2019年度)、2年度(2020年度) 構成:障害児福祉計画 年度:30年度(2018年度)、令和元年度(2019年度)、2年度(2020年度) 構成:障害者計画 年度:3年度(2021年度)、4年度(2022年度)、5年度(2023年度)、6年度(2024年度)、7年度(2025年度)、8年度(2026年度) 構成:障害福祉計画 年度:3年度(2021年度)、4年度(2022年度)、5年度(2023年度) 構成:障害児福祉計画 年度:3年度(2021年度)、4年度(2022年度)、5年度(2023年度) 構成:障害福祉計画 年度:6年度(2024年度)、7年度(2025年度)、8年度(2026年度) 構成:障害児福祉計画 年度:6年度(2024年度)、7年度(2025年度)、8年度(2026年度) ※障害者計画:施策の方向性及び個別の事業等を定める計画 ※障害福祉計画:障害福祉サービス利用の見込み量等を定める計画 ※障害児福祉計画:障害児福祉サービス利用の見込み量等を定める計画 (2)他計画との関係性  横浜市では、個別の法律を根拠とする福祉保健の分野別計画として、「よこはま地域包括ケア計画(横浜市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画・認知症施策推進計画)」、「健康横浜21」、「横浜市子ども・子育て支援事業計画」、「横浜市住生活基本計画」、「横浜市教育振興基本計画」があります。これに加えて、横浜市独自の「横浜市歯科口腔保健推進計画(仮称)」や、「よこはま保健医療プラン」という本市の保健医療施策に関する総合的な計画があります。  また、「横浜市地域福祉保健計画」は、地域の視点から高齢者、障害者、子ども・若者等の対象者や、保健や健康に関する分野別計画に共通する理念、方針及び取組推進の方向性等を明示し、対象者全体の地域生活の充実を図ることを目指しています。また、住民、事業者及び公的機関が協働する基本的な事項を横断的に示すことで、地域における展開を総括する役割を果たします。分野別計画に掲げた事業や地域活動支援は、地域福祉保健計画と相互に取組を進めることで対象者の地域生活の充実を図っていきます。  このように、障害のあるなしに係わらず、地域での生活を支援するためには、人々の暮らしの場である地域において、様々な取組をそれぞれの関係性や相互のつながり、取組全体の方向性、連続性といった視点で捉え、それぞれを関連付けて行うことが必要です。  施策の展開にあたっては、関係するそれぞれの分野別計画が、有機的に連動していくことによって、一層の効果があがってきます。  行政分野ごとの専門性を充実させ、質の高い施策を展開していくとともに、関連する分野を意識し、整合性を図りながら一体的に推進していきます。 名称:横浜市地域福祉保健計画 根拠法:社会福祉法 名称:よこはま地域包括ケア計画(横浜市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画・認知症施策推進計画) 根拠法:老人福祉法、介護保険法 名称:健康横浜21 根拠法:健康増進法 名称:横浜市子ども・子育て支援事業計画 根拠法:子ども・子育て支援法、次世代育成支援対策推進法 名称:☆横浜市住生活基本計画 根拠法:住生活基本法 名称:☆横浜市教育振興基本計画 根拠法:教育基本法 名称:☆横浜市歯科口腔保健推進計画(仮称) 根拠法:横浜市歯科口腔保健の推進に関する条例 名称:☆横浜市依存症対策・地域支援計画(仮称)※策定作業中 根拠法:依存症対策総合支援事業実施要綱(国要綱) 名称:よこはま保健医療プラン 根拠法:― ※ ☆:第4期プランから新たに取り上げた計画 3 計画の構成  第3期プランに引き続き、施策分野別や障害の種別にまとめた行政や支援者の側に立った視点をもとにした構成ではなく、障害のある人が日常生活を送るうえでの視点に立った枠組みを設定しました。  第4期プランでは、日常生活の場面を4つにわけて考えました。また、「普及啓発や権利擁護、人材確保など特定の生活場面に限定できないものが大切だ」という意見を受け、「様々な生活の場面を支えるもの」を1つにまとめました。  こうして、計5つの分野に障害福祉に関する施策・事業を分類しました。 分類:様々な生活の場面を支えるもの 内容:普及啓発、人材確保・育成、権利擁護、相談支援 分類:生活の場面1 住む・暮らす 内容:住まい、暮らし、移動支援、まちづくり 分類:生活の場面2 安心・安全 内容:健康・医療、防災・減災 分類:生活の場面3 育む・学ぶ 内容:療育、教育 分類:生活の場面4 働く・楽しむ 内容:就労、日中活動、スポーツ・文化芸術  また、様々な施策・事業をつなぎあわせ、障害のある人を地域で支えるための基盤を整備する取組として進めている「地域生活支援拠点機能」と「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」については、別にまとめ、将来像とそれに向けた取組を総合的に記載しました。 4 国の動向 (1)地域共生社会の実現に向けて  障害福祉施策に関わる大きな流れとしては、平成19年9月に署名をした「障害者の権利に関する条約」(障害者権利条約)への対応があります。22年には、「相互に個性の差異と多様性を尊重し、人格を認め合う共生社会の実現」を掲げることや、その考えを基にした「障害者制度改革の基本的方向と今後の進め方」や「横断的課題における改革の基本的方向と今後の進め方」が閣議決定されました。  そして、障害者権利条約の趣旨に沿った施策の推進を図るため、「障害者基本法」が差別の禁止や防災及び防犯などを盛り込んだ改正となり、23年8月に施行されました。  また、24年6月に、虐待を発見した人の通報を義務付け、自治体などが調査・保護を行う仕組みの構築など、障害者に対する支援のための措置を盛り込んだ「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(障害者虐待防止法)が成立しました。そして、25年6月には、障害者への差別的取扱いの禁止について、自治体・民間事業者ともに法的義務を設け、合理的配慮の不提供の禁止を、自治体には法的義務、民間事業者には努力義務として盛り込んだ「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が制定されました。  さらに、差別を解消するための具体的な対応として、政府全体の方針である差別の解消の推進に関する基本方針が閣議決定されたほか、国や地方公共団体等では、各機関における取組に関する対応要領(ガイドライン)が策定されました。このように、近年は「障害者基本法」のほかにも多くの法整備が行われました。  こうした法整備を受け、26年1月には障害者権利条約を批准し、障害者の権利の実現に向けた取組を一層強化するための歩みを始めました。 (2)近年の動向 平成28年4月 「障害者差別解消法」施行 ◆障害者差別の禁止、合理的配慮の提供義務など 平成28年4月 「障害者の雇用の促進等に関する法律」(改正障害者雇用促進法)一部施行  ◆雇用分野における障害者差別の禁止、合理的配慮の提供義務など 平成28年5月 「障害者総合支援法」及び「児童福祉法」改正  ◆自立生活援助や就労定着支援の創設、医療的ケア児支援の規定、障害児福祉計画の策定義務など ※平成30年4月施行 平成28年8月 改正「発達障害者支援法」施行  ◆社会的障壁の除去、切れ目のない支援などの理念への追加など 平成29年4月 「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」(改正住宅セーフティネット法)制定  ◆セーフティネット住宅の登録制度、入居支援など ※平成29年10月施行 平成30年5月 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」改正(改正バリアフリー法) ◆社会的障壁除去等の理念の明記など ※平成30年11月施行 平成30年5月 「学校教育法」及び「著作権法」改正 ◆デジタル教科書の併用制など 平成30年6月 「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」(障害者文化芸術推進法)制定、施行 ◆計画策定の努力義務など 令和元年6月 「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法)制定、施行 ◆計画策定の努力義務など 令和2年6月 「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」(聴覚障害者等電話利用円滑化法)制定 ◆電話リレーサービスの制度化など