(資料2-3は国土交通省「建築物のバリアフリー基準の見直し方針」より引用) 1ページ目 建築物のバリアフリー基準の見直し方針 建築物のバリアフリー基準の見直しに関する検討WG報告(令和6年3月29日) 2ページ目 車椅子使用者用便房の設置数に係る基準の見直し方針 バリアフリー法の政令改正により、車椅子使用者用便房の設置数について、原則、各階に1箇所以上を設置するよう見直しを行う。 義務基準 現行→建築物に1箇所以上を設ける。 見直し案→<標準的な建築物>各階に1箇所以上※設ける。 <小規模階を有する建築物>(床面積1,000u未満の階(小規模階)を有する場合) 小規模階の床面積の合計が1,000uに達する毎に1箇所以上※設ける。 <大規模階を有する建築物>(床面積10,000uを超える階(大規模階)を有する場合)階の床面積が 10,000uを超え40,000u以下の場合、当該階に2箇所以上※を設ける。 40,000uを超える場合、20,000u毎に1箇所を追加※する。 ※ 建築条件に応じた設計の自由度を確保するため、設置箇所は任意とする。 誘導基準 現行→各階に1箇所以上を設ける。 階の便房数が200箇所以下の場合、2%以上を設ける。 階の便房数が201箇所以上の場合、1%+2箇所以上を設ける。 見直し案→便所のある箇所に1箇所以上を設ける。 3ページ目 見直し方針(義務基準)に基づく車椅子使用者用便房の設置イメージ (1)「小規模階を有する建築物」に該当する場合 ケース1、1フロア当たり面積400から599.8平方メートルで地上5階、延べ床面積2000から2999平方メートル、便所のある階の数が5、建築物に設置する車椅子使用者用便房の数2 ケース2、1フロア当たり面積600から799.8平方メートルで地上5階、延べ床面積3000から3999平方メートル、便所のある階の数が5、建築物に設置する車椅子使用者用便房の数3 ケース3,1フロア当たり面積800から999.8平方メートルで地上5階、延べ床面積4000から4999平方メートル、便所のある階の数が5、建築物に設置する車椅子使用者用便房の数4 4ページ目 (2)「大規模階を有する建築物」に該当する場合 ケース1、1フロア当たり面積30000平方メートルで地上3階、延べ床面積90000平方メートル、便所のある階の数が3、建築物に設置する車椅子使用者用便房の数2 ケース2、1フロア当たり面積50000平方メートルで地上3階、延べ床面積150000平方メートル、便所のある階の数が4、建築物に設置する車椅子使用者用便房の数3 ケース3,1フロア当たり面積70000平方メートルで地上3階、延べ床面積210000平方メートル、便所のある階の数が4、建築物に設置する車椅子使用者用便房の数4 5ページ目 車椅子使用者用駐車施設の設置数に係る基準の見直し方針 バリアフリー法の政令改正により、車椅子使用者用駐車施設の設置数について、駐車台数に対する割合で定めるよう見直しを行う。 義務基準 現行→1台以上を設ける。 見直し案→200台以下の場合、2%以上を設ける。 201台以上の場合、1%+2台以上を設ける。 誘導基準 200台以下の場合、2%以上を設ける。 201台以上の場合、1%+2台以上を設ける。 見直し案→2%以上を設ける。 6ページ目 車椅子使用者用客席の設置数に係る基準の見直し方針 バリアフリー法の政令改正(条文新設)により、車椅子使用者用客席の設置数について、客席の総数に対する割合で定めるよう見直しを行う。 義務基準 現行→基準なし 見直し案→400席以下の場合、2席以上を設ける。 401席以上の場合、0.5%以上を設ける。 ※構造に係る基準(幅90cm以上、奥行135cm以上等)も定める。 誘導基準 現行→200席以下の場合、2%以上を設ける。 201〜2,000席の場合、1%+2席以上を設ける。 2,001席以上の場合、0.75%+7席以上を設ける。 見直し案→100席以下の場合、2席以上を設ける。 100〜200席の場合、2%以上を設ける。 201〜2,000席の場合、1%+2席以上を設ける。 2,001席以上の場合、0.75%+7席以上を設ける。 7ページ目 各施設の設置数に係る基準の見直し案に対する主な意見への対応方針 ○「各施設の設置数に係る基準」以外の様々な意見については、まずは令和6年度に予定している「建築設計標準」や「(仮称)当事者参画ガイドライン」に反映する。 ○サイトラインの確保等客席に係るその他の事項については、上記に加え、令和6年度以降も継続して、@現状の把握(海外制度含む)、A技術的検討、B実効性の高い枠組みの検討(義務付けの検討含む)等を進める。 「各施設の設置数に係る基準」以外の主な意見 <車椅子使用者用便房> 誘導基準の見直し案について、便所のある箇所の数え方を明確にすべき。 <車椅子使用者用駐車施設> 車椅子使用者用駐車施設の舗装の色を青色とすることを全国的に周知すべき。 <車椅子使用者用客席> ・構造(サイトラインの確保・前面の手すり高さ・同伴者席を隣接して設置)と分散配置を、設置割合とセットで義務基準とすべき。 ・サイトラインの確保については、各施設の特性に合わせ設計やソフト対応で考えるべき。 ・サイトライン検討の視焦点は、演目によって変わるのではないか。 ・確認審査の効率性・実効性の観点から、サイトラインの確保を義務基準とすることは困難。 ・前面の手すり高さについては、歩行者の安全性確保(転落防止)の観点も必要ではないか。 8ページ目 バリアフリー法に基づく容積率緩和の特例制度の拡充の検討(報告) ソフト対応による代替措置が困難な車椅子使用者用便房の設置の一層の促進を図るために、バリアフリー法第24条に基づく容積率緩和の特例制度の拡充について検討する。 第19条特例 対象建築物→特定建築物のうち所管行政庁による認定を受けた認定建築物 要件→誘導基準に適合 容積率算定にあたり不算入とする部分→建築物特定施設のうち共用部分で通常必要となる面積からの増加分(対象となる建築物特定施設)廊下等、階段、傾斜路、便所、駐車場 不算入の上限→建築物の延べ面積の1割まで不算入可能 必要な手続き→所管行政庁の認定 第24条特例 対象建築物→建築物特定施設の床面積が著しく大きい建築物 要件→国土交通大臣が定める基準※に適合(※国土交通省告示第1481号(H18)に規定) 容積率算定にあたり不算入とする部分→建築物特定施設のうち共用部分及居室内の部分で通常必要となる面積からの増加分(対象となる建築物特定施設)廊下等、階段、傾斜路、便所、駐車場、ホテル、旅館の客室(便所又は浴室等)、浴室、シャワー室 不算入の上限→許可の範囲内 必要な手続き→特定行政庁の許可※(※建築審査会の同意が必要) 9ページ目 容積率緩和の特例制度の拡充に向けた告示の見直し案(報告) バリアフリー法第24条に基づく容積率緩和の特例制度の適用要件を定めた「国土交通省告示第1481号」に車椅子使用者用便房の設置のみで特例が可能となるよう規定を追加することで車椅子使用者用便房の設置を促進する。 現行 特定建築物→次の基準に適合すること 全ての建築物特定施設が誘導基準に適合する 特定建築物以外→次の基準に適合すること 以下の全てに適合する 出入口→略 廊下→略 階段→略 便所→・腰掛便座及び手すりの設けた便房がある ・出入口の幅が80cm以上である ・戸を自動開閉とするなど車椅子使用者が容易に開閉・通過できる構造である 敷地内通路→略 見直し案 特定建築物→次の基準『のいずれか』に適合すること ・全ての建築物特定施設が誘導基準に適合する ・『車椅子使用者の到達可能な車椅子使用者用便房※を設ける』 特定建築物以外→次の基準の『いずれかに』適合すること 以下の全てに適合する 出入口→略 廊下→略 階段→略 便所→・腰掛便座及び手すりの設けた便房がある ・出入口の幅が80cm以上である ・戸を自動開閉とするなど車椅子使用者が容易に開閉・通過できる構造である 敷地内通路→略 ・『車椅子使用者の到達可能な車椅子使用者用便房※を設ける』 『』:現行の基準に追加した箇所 ※車椅子使用者用便房の構造は以下の通り ・腰掛便座、手すり等が適切に配置されていること ・車椅子使用者が円滑に利用できるよう十分な空間が確保されていること 10ページ目 【参考】建築物のバリアフリー基準の見直しに関する検討WGについて 趣旨 ○バリアフリー基準のうち、建築物内に設ける「車椅子使用者用便房・駐車施設の設置数」「車椅子使用者用客席」については、建築設計標準の普及等を通じて規模に応じた複数整備が進展しているものの、高齢者、障害者等の外出機会の増大等に伴い、バリアフリー化を着実に進めるための環境整備が求められているところ。 ○このため、学識経験者、当事者団体、事業者団体等で構成する「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準に関するフォローアップ会議」に、「建築物のバリアフリー基準の見直しに関する検討WG」を設置し、「車椅子使用者用便房・駐車施設」や「車椅子使用者用客席」の設置数に関する基準について、整備状況等の現状分析を実施するとともに、基準見直しの方向性について検討する。 検討WGメンバー 【学識経験者】 ・橋 儀平 東洋大学 名誉教授(座長) ・佐藤 克志 日本女子大学 教授 ・菅原 麻衣子 東洋大学 教授 ・松田 雄二 東京大学大学院 准教授 ・布田 健 国立研究開発法人 建築研究所 【障害者団体】 ・(社福) 日本身体障害者団体連合会 ・(一社) 日本パラリンピアンズ協会 ・(公社) 全国脊髄損傷者連合会 ・(NPO) DPI日本会議 【事業者団体】 ・(一社) 日本ビルヂング協会連合会 ・(一社) 不動産協会 ・(一社) 日本ショッピングセンター協会 ・日本チェーンストア協会 ・(一社) 全日本駐車協会 【劇場等関係団体】 ・全国興行生活衛生同業組合連合会 ・(公社) 全国公立文化施設協会 【建築関係団体】 ・(一社) 日本建築士事務所協会連合会 ・(一社) 日本建設業連合会 ・(公社) 日本建築家協会 ・(公社) 日本建築士会連合会 【地方公共団体】 ・東京都 ・大阪府 ・横浜市 ・日本建築行政会議バリアフリー分科会 検討経過 2022(令和4)年8月〜→トイレ、駐車場、客席の実態調査 [調査対象]・調査期間内に確認済証が交付された建築物・近年に竣工したスポーツ施設 2023(令和5)年6月23日→第1回検討WG・実態調査結果、課題の共有 2023(令和5)年8月31日→第2回検討WG・関係団体の意見の取りまとめ ・バリアフリー基準の素案(トイレ)の提示 2023(令和5)年12月8日→第3回検討WG・バリアフリー基準の素案(トイレ(再見直し案)、駐車場・客席)の提示 2024(令和6)年3月12日→第4回検討WG・バリアフリー基準の見直し方向のとりまとめ