目次 第 1 章 計画の趣旨 1ページ 1 地域福祉保健計画について 2ページ (1) 人口減少・超高齢社会の到来と、複合化・複雑化する生活課題 2ページ (2) 地域共生社会の実現と「地域福祉計画」 2ページ (3) 横浜市の地域福祉保健計画 2ページ (4) 地域福祉保健計画の推進における「自助」、「共助」、「公助」の連携 3ページ (5) 地域福祉保健計画の策定の趣旨 4ページ (6) 計画期間 4ページ 2 計画の位置づけ 5ページ (1) 「横浜市中期計画2022〜2025」との関係 5ページ (2) 主な福祉保健の分野別計画との関係 7ページ (3) 市計画・区計画・地区別計画の関係 12ページ (4) 圏域の考え方 14ページ 第 2 章 横浜市の地域福祉保健計画を取り巻く状況 15ページ 1 国の動向 16ページ (1) 地域福祉推進の理念 〜地域生活課題の把握と、関係機関との連携等による解決〜 16ページ (2) 包括的な支援体制づくり 〜課題解決 & つながり続けるアプローチ〜 16ページ 2 横浜市のこれまでの取組 〜包括的な支援体制を見据えて〜 18ページ (1) より身近な地域での基盤づくり・体制づくりの推進 18ページ (2) 地区別支援チームによる住民主体の活動支援 18ページ (3) 「地域に身近な福祉保健活動の拠点」としての地域ケアプラザの整備 18ページ 3 統計データからみる横浜市の状況 19ページ (1) 2021年をピークに人口は減少、今後は85歳以上人口が大幅に増加 19ページ (2) 単身世帯の増加 20ページ (3) 地域における「つながり」の希薄化 20ページ (4) 自治会町内会加入率の減少 21ページ (5) コロナ禍における地域活動・交流の機会の変化 21ページ (6) 「何らかの形で、積極的に社会に役に立つことをしたい」と思う人が半数以上 22ページ (7) 市内の認証NPO法人等の増加 22ページ 4 第4期計画の振り返りと第5期計画のポイント 23ページ (1) 身近な地域における「つながり」と「支えあい」の創出 23ページ (2) 世代や分野にとらわれない、包括的な支援体制の構築 23ページ (3) 困りごとを相談しやすい環境整備 23ページ (4) 様々な立場や背景、価値観の違いといった多様性を理解し、尊重しあえる機会の創出 24ページ (5) 支援機関同士の情報共有・連携強化を通じた支援体制の強化 24ページ (6) 学校と地域が一緒になって子どもを育てるための取組 24ページ (7) 一人ひとりの関心・参加意欲、個性に着目した多様な活動機会の創出 24ページ 第 3 章 第5期計画の方向性 25ページ 1 全体像と基本理念 26ページ 2 目指す姿 27ページ 3 目指す姿と取組のつながり 28ページ 第 4 章 推進のための取組 29ページ 1 身近な地域で支えあう仕組みづくり 31ページ (1) 日常的なつながりを通じた住民による支えあいの充実 31ページ (2) 課題解決に向けた住民、支援機関、関係機関・団体の連携 37ページ (3) 身近な地域における総合的な権利擁護の推進 44ページ (4) 生活困窮者支援を通じた地域づくり 49ページ 2 地域における福祉保健活動を推進するための基盤づくり 53ページ (1) 地域における関係組織・団体の体制の強化  53ページ (2) 社会福祉法人・企業・学校等の主体的な参画に向けた支援 57ページ (3) 区役所・区社協・地域ケアプラザ等の協働による地域を支える基盤づくり 61ページ 3 多様性を尊重した幅広い市民参加の促進 64ページ (1) 多様性を理解し、尊重しあえる地域づくり 64ページ (2) 交流・つながり、社会に参加する機会の創出と拡充 69ページ (3) つながりを通じた健康づくりの推進 74ページ 第 5 章 推進体制 79ページ 1 推進体制 80ページ 2 推進の視点 81ページ (1) 地域住民と支援機関・関係機関の協働により、地域福祉保健を推進する 81ページ (2) 一人ひとりの暮らしに着目して支える 81ページ (3) 既存の枠組みにとらわれず解決に向けて取り組む 82ページ 3 計画の評価方法 83ページ (1) 計画の評価時期 83ページ (2) 評価の基本的な考え方 83ページ (3) ロジックモデルを活用した評価 83ページ (4) 評価内容・手順 85ページ 【1ページ】 第 1 章  計画の趣旨 1 地域福祉保健計画について 2 計画の位置づけ 【2ページ】 1  地域福祉保健計画について  (1) 人口減少・超高齢社会の到来と、複合化・複雑化する生活課題 * 横浜市は国内最大の基礎自治体ですが、人口は2021年をピークに減少に転じており、今後は特に85歳以上の高齢者が急増するなど、人口減少・超高齢社会を迎えることになります。 * 一方で、近年では、80代の親がひきこもり状態にある50代の子の生活を支えるといったいわゆる「8050問題」や、親の介護と育児などが同時進行となる「ダブルケア」、本来大人が担うことが想定されている家族の介護やケア、家事などを子どもが日常的に行う「ヤングケアラー」の問題など、複数の分野にまたがる「複合化・複雑化した生活課題」を抱える人たちの存在が浮き彫りになっています。 * 地域における住民相互の「つながり」が徐々に希薄化している中で、様々な生活課題を抱える人が誰にも相談できずに孤立し、問題が深刻化してしまうケースも珍しくありません。  (2) 地域共生社会の実現と「地域福祉計画」 * そのような中、地域で暮らす人々が様々な生活課題を抱えながらも、地域住民や地域の多様な主体が互いに「つながり」、「支えあう」ことで、一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともにつくっていくことのできる「地域共生社会」の実現に向けた取組が進められています。 * 地域共生社会の実現に向けては、地域課題の解決力の強化のため、2018年(平成30年)施行の改正社会福祉法により、それまで「任意」であった地域福祉計画の策定が「努力義務」となりました。  (3) 横浜市の地域福祉保健計画 * 横浜市の地域福祉計画は、2004年度(平成16年度)に第1期計画を策定し、第2期計画からは名称を「地域福祉保健計画」とし、福祉と保健の取組を一体的に推進しています。 * さらに、第3期計画からは、横浜市社会福祉協議会(以下「市社協」という。)が定めていた「横浜市地域福祉活動計画」と一本化して策定することにより、市と市社協の取組を一体的に推進しています。 【3ページ】 <地域福祉保健計画の推進の経緯> 計画 主な特徴 第1期 横浜市地域福祉計画 (2004〜2008年度) * 社会福祉法改正を踏まえ、市及び全区で地域福祉計画を策定 第2期 横浜市地域福祉保健計画 (2009〜2013年度) * 全区で地区別計画を策定 * 福祉と保健の取組の一体的な推進 * 地域福祉保健計画に名称変更 第3期 横浜市地域福祉保健計画 (2014〜2018年度) * 市社協の地域福祉活動計画と一体化、連携して推進 第4期 横浜市地域福祉保健計画 (2019〜2023年度) * 成年後見制度利用促進基本計画との一体的策定及び生活困窮者自立支援方策の推進  (4) 地域福祉保健計画の推進における「自助」、「共助」、「公助」の連携 * 地域福祉保健においては、個人でできることは自分たちで取り組む「自助」、ひとりでは解決できないことをお互いに助けあう「共助」、行政でなければ解決できない問題に取り組む「公助」が相互に連携して進められることが重要です。 * 地域福祉保健計画では、生活課題や地域課題の解決に向けて「自助」、「共助」、「公助」を組み合わせ、関連づけながら総合的に取組を進めていきます。 <自助・共助・公助の定義について> 自助 自分や家族でできることを行う。自分の力を発揮できるようにする。 共助 地域や仲間同士でお互いに助けあいながら、できることを行う。 公助 個人や家族・地域等でできない支援を公的機関が行う。 【4ページ】  (5) 地域福祉保健計画の策定の趣旨 * 地域福祉保健計画の策定の趣旨は、地域住民と関係機関・団体等が協力して取り組む地域づくりを計画として明文化し、合意形成を図りながら推進していくことにあります。 * 計画の策定を通じて、地域住民と関係機関・団体等が地域ごとの現状と課題を明らかにし、より良いまちづくりに向けた目標を共有することで、同じ方向を見据えて、それぞれの役割に応じた取組を進めていくことができます。 * 地域住民や地域の多様な主体が互いにつながり、支えあう地域共生社会の実現に向けて、地域に暮らす一人ひとりが「私たちのまち」に関心を持ち、地域福祉保健の推進に取り組んでいくことが重要です。  (6) 計画期間  計画期間は、2024(令和6)年度〜2028(令和10)年度の5年間です。 【5ページ】 2  計画の位置づけ  (1) 「横浜市中期計画2022〜2025」との関係 〜「子育てしたいまち 次世代を共に育むまち ヨコハマ」に向けて〜 * 本市では、令和4年度に策定した中期計画2022〜2025において、2040年頃のありたい姿として、横浜に関わる人・企業・団体の皆様と共有する指針となる「共にめざす都市像『明日をひらく都市OPEN×PIONEER 2040 YOKOHAMA』」を掲げました。 * その実現に向けた10年程度の取組の方向性として、基本戦略「子育てしたいまち 次世代を共に育むまち ヨコハマ」を掲げ、中期計画の核に据えています。 * この基本戦略では5つのテーマを掲げ、子育て世代への直接支援に加えて、地域コミュニティや経済活性化、まちづくりなど、様々な施策分野を連携させることで、市民生活の質と都市の活力の向上の好循環を生み出し、横浜の魅力を総合的に高めていくことを目指しています。 * 横浜市地域福祉保健計画は、基本戦略の推進にあたって主にテーマ02:コミュニティ・生活環境づくり「未来を育むつながり・自然・文化・学びに溢れるまち」の実現に向け、互いに支えあい誰もが自分らしく活躍できる地域づくりなどを推進する計画として位置づけられています。 * 横浜市地域福祉保健計画の推進を通じて、地域ぐるみで子育てを温かく見守る環境を醸成し、「子育てしたいまち 次世代を共に育むまち ヨコハマ」を目指します。 【6ページ】 参考:SDGs(持続可能な開発目標)の視点を踏まえた計画の推進 ○SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて掲げられた、2016年から2030年までの国際目標です。 ○SDGsでは「誰一人として取り残さない」を基本理念に、環境・経済・社会の諸課題を統合的に解決し持続可能な世界を実現するため、17の目標が掲げられています。 ○「横浜市中期計画2022〜2025」では、国から選定を受けた「SDGs未来都市」として、あらゆる施策においてSDGsを意識して取り組んでいくこととしています。 ○SDGsの17の目標は、世界の都市に共通した普遍的な課題です。「誰一人取り残さない」という考えは、「誰もが安心して自分らしく健やかに暮らせるよこはま」の実現という、本計画が掲げる理念にも当てはまるものです。 ○また、SDGsは、「インクルーシブ社会(多様性を認め、尊重しあい、共に支えあうことができる社会)」の考え方と共通し、「地域共生社会」の実現を目指すことにもつながります。 ○そのため、横浜市地域福祉保健計画の推進にあたっては、SDGsを意識して取り組み、地域住民や地域の多様な主体の連携・協働によって、誰もが安心して自分らしく健やかに暮らすことのできる地域社会の実現を目指します。 【7ページ】  (2) 主な福祉保健の分野別計画との関係 * 地域福祉保健計画は、地域の視点から高齢者、障害のある人、子ども・若者等の対象者や、保健や健康に関する分野別計画に共通する理念、方針及び取組推進の方向性等を明示し、対象者全体の地域生活の充実を図ることを目指しています。また、住民、事業者及び支援機関が協働する基本的な事項を横断的に示すことで、地域における展開を総括する役割を果たします。 * 分野別計画に掲げた事業や地域活動支援は、地域福祉保健計画と連動して取組を進めることで対象者の地域生活の充実を図っていきます。 * なお、横浜市成年後見制度利用促進基本計画については、本計画の一部として位置づけ、一体的に策定し推進します。 * 生活困窮者自立支援制度は、地域福祉を拡充し、まちづくりを進めていく上でも重要な施策であるため、生活困窮者自立支援方策を地域福祉保健計画の中に位置づけて取り組むこと、とされています(市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画の策定について(平成26年3月27日社援発0327第13号))。 * 横浜市では、本制度の基本理念と方向性を計画で示し、より具体的な事項については、「横浜市生活困窮者自立支援制度業務推進指針」に示すことで計画的に推進していきます。 【8ページ】 <横浜市地域福祉保健計画と他分野の関係性> * 地域で起きる様々な困りごと(地域課題)は、視点によっては都市計画や交通問題等、全ての分野が地域福祉保健(計画)の対象となります。 * 例えば、ごみの分別ができていないという「環境」の課題が、ルールを守らないというマナー違反によって発生している場合もあれば、認知症等によりルールが認知・実行できない高齢者が多いという場合もあり、これは地域福祉保健の視点でみることもできます。 * また、バスが減便され困っているという「交通」の課題も、地域交通のネットワークの視点で考える場合もあれば、それによって買い物や通院が困難になるということについては、地域福祉保健の視点でみることができます。 * 従来、地域福祉保健が担ってきた住民と協働して課題を解決するという方法を、環境問題や地域のまちづくりでも推進していくために、様々な分野の施策が連携して地域の生活課題を解決する姿勢が大切です。 * ただし、地域の課題の状況は各区・各地区により異なるため、地域福祉保健計画に取り上げる課題の優先順位や目標は、地域により異なります。 【9ページ】 関連計画トピックス:よこはまポジティブエイジング計画(第9期 横浜市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画・認知症施策推進計画) 2024年度〜2026年度 ○基本目標 ポジティブ エイジング 〜誰もが、いつまでも、どんなときも、自分らしくいられる 「横浜型地域包括ケアシステム」を社会全体で紡ぐ〜 ○主な取組 ・高齢者に関する保健福祉事業  …高齢者の介護予防・社会参加・生活支援の推進 等 ・介護保険制度の円滑な実施  …介護サービスの充実、施設・住まいの整備、介護人材の確保 ・質の向上 等・認知症施策の推進  …認知症に関する理解促進、認知症の方の社会参加促進、認知症バリアフリーの推進 等 ○地域福祉保健計画との関係性  高齢者の生活と、それを取り巻く地域を包括的に支える計画として「横浜市地域福祉保健計画」を含む他の関係計画と調和を取りながら進めています。 ○区アクションプランについて 各区では、日常生活圏域ごとの特性を踏まえた区の方針や重点取組などを「区アクションプラン」として示し、関係者(地域ケアプラザ、区社会福祉協議会、医療・介護関係者、事業所、自治会町内会などの地縁組織、ボランティア団体、NPO 、社会福祉法人、民間企業等)と共有しながら連携を深め、横浜型地域包括ケアシステムの構築・推進に向けた取組を進めています。 特に、地域の助けあいに関する取組については、地域福祉保健計画の策定・推進により築いてきた、地域との信頼関係や活発な市民活動という横浜の財産を生かし、協働しながら進めています。 〜よこはまポジティブエイジング計画と区アクションプランの関係性〜 ・よこはまポジティブエイジング計画 考え方 本市の地域包括ケアの目指すべき姿を具体化し、中長期的な戦略を示す。 位置づけ 法定計画 老人福祉法第20条の8 介護保険法第117条 ・区アクションプラン 考え方 日常生活圏域ごとの特性や課題を踏まえ、区ごとの中長期的な戦略を示す。 位置づけ よこはまポジティブエイジング計画を補足する任意計画 【10ページ】 関連計画トピックス:第4期横浜市障害者プラン 令和3(2021)年度〜令和8(2026)年度 ○基本目標 障害のある人もない人も、誰もが人格と個性を尊重し合いながら、地域共生社会の一員として、自らの意思により自分らしく生きることができるまちヨコハマを目指す ○主な取組 ◆様々な生活の場面を支えるもの ◆生活の場面1 住む・暮らす ◆生活の場面2 安全・安心 ◆生活の場面3 育む・学ぶ ◆生活の場面4 働く・楽しむ さらに「地域生活支援拠点」、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」を、障害児・者を支える基盤整備として別に章立てしています。 ○地域福祉保健計画との関係性 「第4期横浜市障害者プラン」で掲げている分野別計画に掲げた事業や地域活動支援は、地域福祉保健計画と相互に連携して取組を進めることで対象者の地域生活の充実を図っていきます。 ○障害について 障害の種類は、大きく「身体障害」、「知的障害」、「精神障害」の3つに分けられます。このうち、身体障害には、肢体不自由、視覚や聴覚、心臓や腎臓等の内部機能障害など、様々な障害があります。また、身体障害・知的障害・精神障害という3つの障害に加え、発達障害や強度行動障害、難病や、医療的ケア児・者(日常的に医療的ケアを必要とされる方)などについても、障害者プランでは触れています。同じ種別の障害であっても程度・状態などは人それぞれであり、障害者手帳の有無や障害の種別・等級にかかわらず、障害のある方が自分らしく暮らせる地域をつくっていくことが大切です。 【11ページ】 関連計画トピックス:横浜市子ども・子育て支援事業計画 〜子ども、みんなが主役!よこはまわくわくプラン〜 2020年度〜2024年度 ○目指すべき姿 未来を創る子ども・青少年の一人ひとりが、自分の良さや可能性を発揮し、豊かで幸せな生き方を切り拓く力、共に温かい社会をつくり出していく力を育むことができるまち「よこはま」 ○子ども・青少年が様々な力を育み、健やかに育つ環境をつくる(子ども・青少年への支援) ・乳幼児期の保育・教育の充実と学齢期までの切れ目のない支援 ・学齢期から青年期までの子ども・青少年の育成施策の推進 ・若者の自立支援施策の充実 ・障害児への支援の充実 ○誰もが安心して出産・子育てができる環境をつくる(子育て家庭への支援) ・生まれる前から乳幼児期までの一貫した支援の充実 ・地域における子育て支援の充実 ・ひとり親家庭の自立支援/配偶者等からの暴力(DV)への対応と未然防止 〇社会全体で子ども・青少年を育てる環境をつくる(社会全体での支援) ・児童虐待防止対策と社会的養護体制の充実 ・ワーク・ライフ・バランスと子ども・青少年を大切にする地域づくりの推進 関連計画トピックス:第3期健康横浜21 令和6(2024)年度〜令和17(2035)年度 〇基本理念「共に取り組む生涯を通じた健康づくり」 市民、関係機関・団体、行政が共に取り組むことにより、誰もが健やかな生活を送ることができる都市を目指します。 〇基本目標「健康寿命の延伸」 健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を延ばします。 〇主な取組 「栄養・食生活」、「歯・口腔」、「喫煙」、「飲酒」、「運動」、「休養・こころ」、「暮らしの備え」といった個人の行動に関わる「生活習慣の改善に向けた取組」、「健康診査」、「がん検診」、「歯科健診」、「糖尿病等の疾患」といった疾患リスクの早期発見や症状の進行予防に関わる「生活習慣病の発症予防や重症化予防の取組」、「食環境づくり」、「給食施設の栄養管理」、「受動喫煙防止対策」、「職場における健康づくり」といった社会環境の整備に関わる「健康に望ましい行動を取りやすくする環境づくり」を推進します。 〇地域福祉保健計画との関係性 市民の行動目標の一つに「つながりを大切にする」を設定し、人と人のつながりや自身の役割を大切にし、楽しみながら健康づくりに取り組む市民が増えることを目指しています。 地域福祉保健計画における「つながりを通じた健康づくりの推進」と調和を取りながら推進します。 【12ページ】  (3) 市計画・区計画・地区別計画の関係 * 横浜市の地域福祉保健計画は、市計画、18区の区計画及び地区別計画(地区連合町内会単位)で構成しています。 * 政令指定都市である横浜市の場合、各種福祉保健サービスの提供や、区民ニーズや地域特性に基づく取組の中心は区であるため、各区で区計画を策定しています。さらに、地域課題や生活課題にきめ細かく対応するためには、お互いに顔の見える小さな圏域を単位とすることが必要なため、第2期計画から各区で地区別計画を策定・推進しています。 * 市計画では、計画の推進を通じて目指す目標である「基本理念」と、より具体的な方向性である「目指す姿」、計画の推進にあたっての前提となる考え方である「推進の視点」を示しています。 * これらは、全市に共通する目標、方向性、考え方であり、市計画は区計画の推進を支援する計画として位置づけられます。 * 区計画・地区別計画では市計画の「基本理念」と「目指す姿」、「推進の視点」を踏まえつつ、各区の地域特性に応じた方針・取組を検討します。 【13ページ】 <市計画・区計画・地区別計画の位置づけと盛り込む内容> 市計画 位置づけ * 全市域を対象とした計画 * 全市に共通する「基本理念」と「目指す姿」、「推進の視点」を明示 区計画 区(全体)計画 位置づけ * 区の特性に応じた、区民に身近な中心的計画 区計画 地区別計画 (地区連合町内会単位) 位置づけ * 地区別の課題に対応するため、地区が主体となり、区・区社会福祉協議会・地域ケアプラザが協働して策定・推進する計画 市計画 盛り込む内容 * 全市に共通する「基本理念」と「目指す姿」、「推進の視点」 * 上記の実現に向けた市域で取り組むべき課題に対する市・市社協の取組 * 区計画の推進に必要な市・市社協の取組 区計画 区(全体)計画 盛り込む内容 * 市計画の「基本理念」と「目指す姿」、「推進の視点」を踏まえた、地域特性に応じた区の方針 * 上記の実現に向けて区域で取り組むべき課題に対する取組 * 地区別計画の活動を支える地区別支援チームの取組 区計画 地区別計画 (地区連合町内会単位) 盛り込む内容 * 区計画の方針を踏まえた、地域特性に応じた地区の方針など * 住民主体の活動により解決を図る課題に対する取組 * 上記の実現に向けた課題と、地区の取組 <市計画・区計画・地区別計画の関係> 市計画 基本理念 誰もが安心して自分らしく健やかに暮らせる「よこはま」をみんなでつくろう 目指す姿 認めあい つながり ともに  区計画 市計画の「基本理念」「目指す姿」、「推進の視点」を踏まえた取組を区計画の方針、取組とする  地区別計画 「区計画方針」を踏まえた取組を地区別計画の方針、取組とする 推進の視点  ・地域住民と支援機関、関係機関の協働により地域福祉保健を推進する ・一人ひとりの暮らしに着目して支える ・既存の枠組みにとらわれず解決に向けて取り組む  【14ページ】  (4) 圏域の考え方 * 横浜市は人口約370万人の大都市であり、市内でも地域によって生活上の課題等が異なっているため、一律の計画のみでは、課題解決を進める上で十分とはいえない状況にあります。住民が地域生活課題を解決するためには、一定の範囲で地域の特性や状況に応じた検討や取組を行う必要があります。 * 地域福祉保健の圏域を横浜市の現状から考えると、次のように分けられます。 <地域福祉保健計画における圏域> 圏域 圏域の考え方 地区別計画 近隣 自治会町内会の班(組)程度 隣近所の付き合いや地域住民相互の協力により、支援の必要な人を把握し、見守りや日常の生活支援等を行う基礎的な範囲。 自治会町内会 人口平均1,300人程度 地域住民の暮らしの課題を解決していくために日常的な活動を行う範囲。団地やマンション等もこの範囲。 地区連合町内会 人口平均15,000人程度 253地区 自治会町内会、各団体・組織がまとまり、地区連合町内会や 地区社会福祉協議会(以下、「地区社協」という。)を組織し、活動を行っている圏域。 日常生活圏域(中学校区程度) 人口平均25,000人程度 地域ケアプラザ(146圏域) 地域ケアプラザ(地域包括支援センター)等、身近な地域課 題を解決するための福祉保健サービスや公共施設が整備されている圏域。 区計画 区域(18区) 人口10〜35万人程度 効果的なサービス提供を実現するために区社会福祉協議会(以下、「区社協」という。)をはじめとした様々な公的機関を整備し、区役所を中心にそれぞれの圏域で把握した各地区に共通する地域課題を共有し、各地域を支援する地域福祉保健施策を進める圏域。 市計画 市域 人口約370万人 市全域を対象とした、総合的な地域福祉保健の取組を推進する圏域。 【15ページ】 第 2 章  横浜市の地域福祉保健計画を取り巻く状況 1 国の動向 2 横浜市のこれまでの取組    〜包括的な支援体制を見据えて〜 3 統計データからみる横浜市の状況    4 第4期計画の振り返りと第5期計画のポイント 【16ページ】 1  国の動向  (1) 地域福祉推進の理念 〜地域生活課題の把握と、関係機関との連携等による解決〜 * 日本では、未婚化・晩婚化や高齢化の進行に伴い、単身世帯が増加、世帯規模が縮小しています。また、日本型雇用慣行の変化により、安定した雇用につけない人が増加しています。地域においては、近所付き合いをはじめとする住民同士のつながりが弱くなってきています。 * 日本の社会保障制度が前提としてきた、頼れる家族がいる、安定した雇用についている、社会的なつながりがあるといった状況が変化する中で、制度上これまで想定されていなかったような課題や、生活保護、高齢者福祉、障害福祉、児童福祉の一つの分野にとどまらない複合的な課題を抱える人や世帯が増えています。 * こうした中、2017年に社会福祉法が改正され、地域福祉推進の理念が次のように規定されました。 地域福祉推進の理念(社会福祉法第4条第3項より) 地域住民等は、地域福祉の推進にあたっては、福祉サービスを必要とする地域住民及びその世帯が抱える福祉、介護、介護予防(要介護状態若しくは要支援状態となることの予防又は要介護状態若しくは要支援状態の軽減若しくは悪化の防止をいう。)、保健医療、住まい、就労及び教育に関する課題、福祉サービスを必要とする地域住民の地域社会からの孤立その他の福祉サービスを必要とする地域住民が日常生活を営み、あらゆる分野の活動に参加する機会が確保される上での各般の課題(以下「地域生活課題」という。)を把握し、地域生活課題の解決に資する支援を行う関係機関(以下「支援関係機関」という。)との連携等によりその解決を図るよう特に留意するものとする。 ・ 福祉サービスを必要とする住民だけでなく世帯も対象となっていること、福祉や介護、保健医療にとどまらず多様で複合的な地域生活課題を捉えていること、その地域生活課題を「把握」するとともに「関係機関との連携等による解決」が図られることを目指していることが分かります。  (2) 包括的な支援体制づくり 〜課題解決 & つながり続けるアプローチ〜 * さらに、上記の「地域福祉推進の理念」を実現するため、市町村が「包括的な支援体制」づくりに努める旨が規定されました。 「包括的支援体制」とは? @地域住民の地域福祉活動への参加を促進するための環境整備 A住民に身近な圏域において、分野を超えて地域生活課題について総合的に相談に応じ、関係機関と連絡調整等を行う体制 B主に市町村圏域において、生活困窮者自立相談支援機関等の関係機関が協働して、複合化した地域生活課題を解決するための体制 出典:厚生労働省社会・援護局地域福祉課「社会福祉法の改正趣旨・改正概要(重層的支援体制整備事業について)」、令和3年1月7日 【17ページ】 * その後、国では「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会(地域共生社会推進検討会)」が設置され、「包括的な支援体制」を具体化するための検討が行われました。ここでは、従来の「具体的な課題解決を目指すアプローチ」に加え、「つながり続けることを目指すアプローチ」(伴走型支援)が必要であり、2つのアプローチを支援の両輪として組み合わせていくことが重要とされました。 「伴走型支援」とは? 具体的な課題解決を目指すアプローチは、本人が有する特定の課題を解決に導くことを目指すものである。このアプローチを具体化する制度の多くは、それぞれの属性や課題に対応するための支援(現金給付、現物給付)を行う設計となっている。 これに対して、つながり続けることを目指すアプローチ(以下「伴走型支援」という。)は、支援者と本人が継続的につながり関わり合いながら、本人と周囲との関係を広げていくことを目指すものである。伴走型支援は、特に、生きづらさの背景が明らかでない場合、自己肯定感や自己有用感が低下している場合、8050問題など課題が複合化した場合、ライフステージの変化に応じた柔軟な支援が必要な場合などに有効である。 出典:「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」(地域共生社会推進検討会)最終とりまとめ、令和元年12月26日 * また、市町村において、地域住民の複合化・複雑化した支援ニーズに対応する「包括的な支援体制」の構築を推進するため、以下の3つの支援を一体的に実施する事業の創設を行うべきとしました。 「包括的な支援体制」の構築を推進するための新たな事業における3つの支援 @ 断らない相談支援  本人・世帯の属性にかかわらず受け止める相談支援 A 参加支援 本人・世帯の状態に合わせ、地域資源を活かしながら、就労支援、居住支援などを提供することで社会とのつながりを回復する支援 B 地域づくりに向けた支援 地域社会からの孤立を防ぐとともに、地域における多世代の交流や多様な活躍の機会と役割を生み出す支援 出典:「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」(地域共生社会推進検討会)最終とりまとめ、令和元年12月26日 【18ページ】 2  横浜市のこれまでの取組 〜包括的な支援体制を見据えて〜  横浜市ではこれまで、様々な方法で、身近な地域における住民主体による地域活動を推進するとともに、関係機関との連携・協働による地域の課題解決に取り組んできました。  (1) より身近な地域での基盤づくり・体制づくりの推進 * 全ての地区連合町内会単位で横浜市地域福祉保健計画「地区別計画」が策定・推進されていますが、地区連合町内会の中でも地域が抱える課題などは様々です。したがって、地域の課題をより小さい単位である「自治会町内会単位」で捉え、住民が取り組む活動も自治会町内会を単位として実施されるものもあります。 * 自治会町内会単位など、より身近な地域の活動を支援できるよう取り組んでいます。  (2) 地区別支援チームによる住民主体の活動支援 * 地区連合町内会単位で策定される地区別計画の推進に向けて、区役所・区社協・地域ケアプラザ等による「地区別支援チーム」が地区ごとに編成されており、地区別計画における地域の取組を住民が主体となって推進していけるよう支援を行っています。 * 地区別支援チームは、地区別計画・推進組織の会議等に参加し、住民とともに協働で計画の策定・推進に関わり、地域づくりを支援することが主な役割です。 * チームメンバーは、それぞれが把握した地域の情報・課題を共有し、その解決に向けた取組について住民と共に検討したり、必要な取組を提案するなどして、住民主体の活動を支援しています。  (3) 「地域に身近な福祉保健活動の拠点」としての地域ケアプラザの整備 * 横浜市では地域ケアプラザを「地域に身近な福祉保健活動の拠点」として位置づけており、日常生活圏域ごとに設置しました。 * 地域ケアプラザには、地域包括支援センターが設置され、高齢者に関する相談・支援などを行う機能に加え、独自に地域活動交流コーディネーターを配置するなど、高齢者、子ども、障害のある人など誰もが地域で安心して暮らせるよう、様々な方の相談を受け止めるとともに、地域住民の福祉・保健活動やネットワークづくりを支援し、住民主体による支えあいの地域づくりを支援しています。 * 地域住民や区役所等関係機関との協働により、地域の中での孤立を防ぎ、支援が必要な人を把握し、総合的に支援するとともに、地域の課題を明らかにし、その解決に取り組んでいます。 包括的な支援体制の更なる充実に向けて  これまでの取組を生かしながら、今後も、地区別支援チームによる住民主体の活動支援など、包括的な支援体制の更なる充実に向け、各関係機関、支援機関が連携、協働して、様々な取組を進めていきます。 【19ページ】 3  統計データからみる横浜市の状況  (1) 2021年をピークに人口は減少、今後は85歳以上人口が大幅に増加 * 横浜市の人口は、2021年にピークを迎え、以降は減少傾向にあります。 * 今後は少子高齢化が進むことが懸念されており、特に85歳以上人口の急激な増加が見込まれています。 <グラフ:人口と年齢3区分人口の構成比の将来推計> 2020年の推計人口の合計は377.7万人です。各年齢層の割合は次のとおりです: 0〜14歳:11.7% 15〜64歳:63.2% 65歳以上:25.1% 2070年の推計人口の合計は301.3万人です。各年齢層の割合は次のとおりです: 0〜14歳:9.8% 15〜64歳:53.1% 65歳以上:37.1% 出典:横浜市将来人口推計(政策局 基準時点:2020年) <グラフ:年齢区分ごとの人口の増減(2020年=100.0)> 0-14歳の人口:2020年を基準にして、2070年には67.2まで減少する予測です。 15-64歳の人口:2020年を基準にして、2070年には66.9まで減少する予測です。 65-74歳の人口:2020年を基準にして、2070年には90.1まで減少する予測です。 75-84歳の人口:2020年を基準にして、2070年には102.1まで増加する予測です。 85歳以上の人口:2020年を基準にして、2070年には234.1まで増加する予測です。 出典:横浜市将来人口推計(政策局 基準時点:2020年) 【20ページ】  (2) 単身世帯の増加 * 横浜市では、単身世帯数が増加しており、1980年の約14.0万世帯から、2020年には約69.9万世帯と約5倍に増加しています。また、人口に対する割合も5.2%から18.9%へと約3.6倍となっています。家族機能が低下し、社会的に孤立するリスクが高くなることが懸念されます。 <グラフ:単身世帯数と人口に対する単身世帯の割合(横浜市)> 単身世帯数:1980年は14.0万世帯でしたが、2020年では69.9万世帯に増加しています。 単身世帯の割合:全世帯のうち単身世帯が占める割合です。1980年には5.2%でしたが、2020年には18.9%に増加しています。 出典:国勢調査(総務省)  (3) 地域における「つながり」の希薄化 * 「健康に関する市民意識調査」の結果をみると、「地域の人々と関わりを持とうと思う者の割合」と「地域の人々は困ったときに助けてくれると思う者の割合」は徐々に減少傾向にあり、地域における住民同士の「つながり」の希薄化が懸念されます。 <グラフ:ソーシャルキャピタルの状況> 「地域の人太と関わりを持とうと思う者の割合」: 2013年:63.4% 2016年:55.6% 2020年:49.1% 「地域の人々は困った時に助けてくれると思う者の割合」: 2013年:51.7% 2016年:48.2% 2020年:44.9% 出典:健康に関する市民意識調査(健康福祉局) 【21ページ】  (4) 自治会町内会加入率の減少 * 自治会町内会の加入世帯数および加入率は、徐々に減少しています。 <グラフ:自治会町内会加入世帯数及び加入率の推移> 全世帯数は、2017年には1,665,516世帯、2022年には1,772,142世帯に増加しています。 加入世帯数は、2017年には1,233,767世帯、2022年には1,219,854世帯に減少しています。 加入率は、2017年には74.1%でしたが、2022年には68.8%に減少しています。 出典:自治会町内会実態調査(市民局)  (5) コロナ禍における地域活動・交流の機会の変化 * 地区社協の実施事業数は、コロナ禍の影響もあり2020年度には「交流(イベントなどの単発な物)」や「居場所」、「主催研修」などの件数が大きく減少しましたが、2022年度にかけては、多くの事業が増加しています。 * また、コロナ禍の状況をとらえ、各地域において様々な工夫がされており、個別世帯の見守りや地域全体の見守り(パトロール)の件数は、年々増加しています。 <表:地区社協の実施事業数> この表は、地区社協が実施しているさまざまな種類の事業と、それに対応する2019年から2022年までの数値を示しています。事業は以下のカテゴリに分類されています。 個別世帯の見守り: 2019年度 277 2020年度 288 2021年度 324 2022年度 335 地域全体の見守り(パトロール): 2019年度 235 2020年度 245 2021年度 274 2022年度 298 地域全体の見守り(支え合いマップ・要援護者マップなど): 2019年度 223 2020年度 144 2021年度 148 2022年度 142 交流(イベントなど単発な物): 2019年度 755 2020年度 228 2021年度 278 2022年度 492 居場所(サロン・子ども食堂など継続的なもの): 2019年度 1,056 2020年度 788 2021年度 968 2022年度 1,192 配食活動: 2019年度 85 2020年度 77 2021年度 84 2022年度 87 主催研修: 2019年度 163 2020年度 65 2021年度 112 2022年度 115 合計: 2019年度 2,794 2020年度 1,835 2021年度 2,188 2022年度 2,661 出典:地区社協データ集(横浜市社会福祉協議会) 【22ページ】  (6) 「何らかの形で、積極的に社会に役に立つことをしたい」と思う人が半数以上 * 市民意識調査における、「何らかの形で、積極的に社会に役に立つことをしたい」との問いへの回答をみると、「そう思う」が15.9%、「どちらかといえばそう思う」が41.4%でした(合計:57.3%)。 <グラフ:「何らかの形で、積極的に社会に役に立つことをしたい」と思う人の割合> サンプル数は2,572人です。 「とても思う」15.9% 「どちらかといえば思う」41.4% 「どちらともいえない」31.8% 「あまり思わない」6.0% 「思わない」2.9% 「無回答」2.0% 出典:令和3年度市民意識調査(政策局)  (7) 市内の認証NPO法人等の増加 * 市内の認証NPO法人の数は、2006年度から2022年度の15年間で約1.7倍に増加しています(896法人→1,514法人)。 * 2022年10月に施行された労働者協同組合法に基づき、法人格を持つ労働者協同組合が設立できるようになりました。地域課題解決に向けた活発な活動が期待されており、市内でも設立が進んでいます(2023年12月現在4法人)。 <グラフ:市内認証NPO法人の推移> 2006年度末:896 2009年度末:1,152 2012年度末:1,382 2016年度末:1,465 2022年度末:1,514 出典:市民局 【23ページ】 4  第4期計画の振り返りと第5期計画のポイント  第4期計画の最終評価から、以下のように振り返りました。これらの課題を第5期計画で引き継ぎ、取組を進めていきます。  (1) 身近な地域における「つながり」と「支えあい」の創出 * 幅広い対象者を意識した、地域主体の見守りの仕組みづくりが進んでいます。今後は地域全体で日常的な見守りを進める重要性を周知することや、地域住民による日頃の支えあいを推進する支援が必要です。 * 日常の中で緩やかにつながる機会が広がっています。また、より身近な地域での活動の重要性が共有され、実践が進められています。今後は、支えあえる地域づくりに向けて、若い世代や企業で働く人など幅広い層へのアプローチや啓発方法を工夫する必要があります。  (2) 世代や分野にとらわれない、包括的な支援体制の構築 * 分野にとらわれない、地域主体の見守り・早期発見の仕組みづくりが進められてきています。今後は支援が必要な人が、生活課題が複雑化・深刻化する前の段階で適切な支援につながるよう、環境づくりを進めていく必要があります。 * 地域にある活動団体が、課題ごとに分野の枠を超えて横断的につながり、必要な取組を進めています。地区連合町内会や地区社協等と企業、NPOなどの団体が連携した取組が多くの地域で進むよう、引き続き、活動事例の共有や取組検討の場づくりなどを進めていくことが必要です。 * 判断能力の低下等があっても地域で安心して生活できるような、地域ネットワークの構築と拡充が必要です。 * 地域活動の担い手不足解消と持続可能な運営のために、地域福祉保健活動に関わる人材の裾野の拡大や、民生委員・児童委員の活動を安心して続けられるようなサポート体制が必要です。  (3) 困りごとを相談しやすい環境整備 * 住民の生活により身近な地域で支援が届く仕組みをつくり、機能させるための環境づくりとして、地域ケアプラザや地域子育て支援拠点などの整備が進みました。 * 権利擁護支援の地域連携ネットワークの推進を目指し、成年後見制度利用促進の中心的な役割を担う中核機関が整備され、権利擁護支援が必要な方へ様々な取組を進めています。 * 一方で、近年では、いわゆる「8050問題」やダブルケア、ヤングケアラー、ひきこもりなど困りごとを抱えていても、誰にも相談することができずに地域の中で孤立し、問題が深刻化してしまう人たちの存在も浮き彫りになっています。 * 自分から支援を求めることが難しい人が、支援を受けにくいという問題もあり、生活困窮者自立支援方策との一体的実施を更に推進し、困りごとを相談しやすい環境整備や関係機関が連携した対応ができるような仕組みづくりが必要です。  【24ページ】 (4) 様々な立場や背景、価値観の違いといった多様性を理解し、尊重しあえる機会の創出 * 幅広い対象に向けた普及啓発活動や福祉教育等の多様性理解のための取組に加え、子どもの居場所づくりや生活困窮世帯への支援、外国籍の子どもと地域の交流など、日常の中で緩やかにつながる機会や場が増えています。 * 一方で、障害のある人や外国人、性的少数者など、様々な立場や背景、価値観の異なる人やその考えについての理解をより一層深めていくことが求められています。 * また、交流などを通じて市民一人ひとりが障害者に対する正しい理解を深めることにより、障害者が支援を求めやすい環境を整備することなどが必要です。 * 今後は、多様性を理解しあう関係づくりに向けた、様々な人が立場や背景を超えて参加できる、日常的につながる機会や場づくりが必要です。  (5) 支援機関同士の情報共有・連携強化を通じた支援体制の強化 * 支援機関や関係機関・団体、地域活動者の特性に応じたコーディネート機能が高められ、それぞれが連携・協働しながら地域福祉保健活動の推進に向けて役割を果たしています。今後は、複雑化、多様化する地域課題に対応するため、より一層コーディネート機能を強化していくことが必要です。 * 住民・住民組織と地域にある社会福祉法人等の施設、企業、NPO、学校等の連携・協働の取組が広がっていますが、更に地域のニーズに応じて連携先の強みを生かした取組を行うためには、単発的な取組から継続的な連携へと広げていくことが求められます。 * 複合的な生活課題についての検討では、分野を超えた様々な関係機関・団体や地域住民が参加し、協働した取組が行われていますが、今後は特に区域での課題共有等を進めるなどが必要です。  (6) 学校と地域が一緒になって子どもを育てるための取組 * 地域子育て支援拠点の整備が進みました。今後は、地域での親子の居場所を利用したことがない親子を、身近な支援の場へとつなぐ取組などアウトリーチの活動を進めることが必要です。 * 子どもの頃から地域の中でつながる場や機会が広がっていますが、今後は学校や地域が一緒になって青少年や若い世代の地域とのつながりを持続的に形成、発展させていくことも必要です。  (7) 一人ひとりの関心・参加意欲、個性に着目した多様な活動機会の創出 * 多様な世代や人々が交流しつながる場や機会が徐々に広がってきていますが、新たな交流の方法や開催方法を工夫し、市民参加の裾野を更に広げていく必要があります。 * 特に住民一人ひとりが楽しむことができる活動を広げ、社会参加につなげることが重要であり、福祉保健活動という枠にとらわれない自由な活動を推進していくことも必要です。 * また、地域活動の活性化に向けて支援制度や活動のノウハウの周知を促進するとともに、制度を利用しやすくする必要があります。 * それぞれの主体の強みや特徴を生かし連携・協働を促進していくために、様々な活動団体、参加者同士がつながる交流の機会や場を更に増やしていく必要があります。 【25ページ】 第 3 章  第5期計画の方向性 1 全体像と基本理念 2 目指す姿 3 目指す姿と取組のつながり 【26ページ】 1  全体像と基本理念  第5期横浜市地域福祉保健計画の全体像は以下のとおりです。  計画推進を通じて目指す全市に共通する目標像を「基本理念」として設定しました。  基本理念の達成に向けた地域像として「目指す姿(P.27)」を3つのキーワードに整理し、目指す姿に  向けた具体的な取組を「推進のための取組(P.29)」として記載しました。  さらに、計画の推進にあたり主に支援機関が共通して持つべき視点・姿勢を「推進の視点(P.81)」としてまとめています。  第5期横浜市地域福祉保健計画(愛称 よこはま笑顔プラン)  計画期間 2024(令和6)年度〜2028(令和10)年度   基本理念 計画の推進を通じて目指す目標像 誰もが安心して自分らしく健やかに暮らせる「よこはま」をみんなでつくろう  目指す姿1 認めあい  目指す姿2 つながり  目指す姿3 ともに  推進のための取組   1 身近な地域で支えあう仕組みづくり  2 地域における福祉保健活動を推進するための基盤づくり  3 多様性を尊重した幅広い市民参加の促進  推進の視点  1 地域住民と支援機関・関係機関の協働により、地域福祉保健を推進する  2 一人ひとりの暮らしに着目して支える  3 既存の枠組みにとらわれず解決に向けて取り組む 【27ページ】 2  目指す姿  1.認めあい   〜お互いに尊重し、安心して自分らしく暮らせる地域〜 * 地域には様々な立場や背景の人がいます。その中には、その存在が十分に認識されず、孤立しがちになるなどの生きづらさを抱えた人もいます。また、社会や生活環境の変化により、あるがままの自分でいることが難しくなっている人もいます。 * どのような人でも、安心して自分らしく暮らしていくためには、身近な地域で「受け入れられている」、「ここにいていい」と感じられることが必要です。 * 同じまちの中で一人ひとりの多様性を広く受け入れ「お互いを知り、認めあい、尊重する」ことで、誰もが安心して自分らしく暮らせる地域社会を目指します。 2.つながり   〜気にかけあい、支えあい、健やかに暮らせる地域〜 * 一人ひとりの「つながり」の形は多様です。近所の人と世間話をする、ひとり暮らしの方を日頃から気にかけている、共通の趣味を持った者同士で集まる、生活の中で様々な困難を抱えている人が近隣の住民や専門職のサポートを受ける。これらはいずれも暮らしの中にあるかけがえのない「つながり」といえます。 * 交流する場や機会を通じて、人と人との「つながり」をつくることは、暮らしを生きがいのある充実したものとし、心身の健康にも良い効果をもたらすことが期待されます。 * 人と人との「つながり」が、心身の健康や役割の創出などを通して支えあいへと発展し、暮らしやすい地域の実現へと近づきます。 * 一方で、コロナ禍の影響や社会環境の変化により、これまでに比べて、つながりや気にかけあう機会が減少してしまっている地域もあります。 * 今改めて身近な地域でつながることの大切さを共有し、お互いに気にかけあい、支えあえる地域を目指します。  3.ともに   〜助けが必要な人も、手を差し伸べる人も、ひとりで抱え込まない地域〜 * 困りごとを抱えながら暮らしている人の中には、「周囲に知られたくない」、「誰に頼れば良いか分からない」など、助けてと言えない人も多くいます。その一方で、「困っている人に気付いていても、どうすればよいか分からない」、「どう支援したらよいか分からず、抱え込んでしまっている」といった人もいます。 * 助けが必要な人も、手を差し伸べる人も、孤立することなく、周囲に相談できる環境を地域の中に整えていくことが必要です。 * 「住民同士のつながり」や「行政・関係機関等の分野を超えた連携」の推進など、あらゆる人や主体が「ともに」取り組んでいくことで、ひとりで抱え込まない地域を目指します。 3  目指す姿と取組のつながり  第5期横浜市地域福祉保健計画では、取組が「目指す姿」に至るまでの流れを整理するために、ロジックモデルを作成しました。「目指す姿」を“最終アウトカム”とし、第5期横浜市地域福祉保健計画の取組とどのようにつながっているか示しています。(「ロジックモデル」についての詳細な説明は、84ページを参照) 例 活動(5期の取組) アウトカムの達成に向けた取組の内容 日常的なつながりを通じた住民による支えあいの充実    直接アウトカム 取組の結果として生じた変化・効果 困りごとを抱えた人に気づく機会が増える    中間アウトカム 取組の結果として生じた変化・効果 住民の支えあいが充実する    最終アウトカム 取組が目指す最終的な状況 認めあい つながり ともに  【29ページ】 第 4 章  推進のための取組  1 身近な地域で支えあう仕組みづくり  2 地域における福祉保健活動を推進するための基盤づくり  3 多様性を尊重した幅広い市民参加の促進 【30ページ】 『第4章 推進のための取組』の見方  ・全体の方向性 「推進のための取組」(3つ)ごとに全体の方向性を記載  ・現状・課題 (1)(2)・・・ごとに横浜市としての現状と課題を記載  ・取組のポイント 現状・課題を受けた「取組のポイント」を記載  ・取組 市・市社協が行う取組を、以下の5項目に分けて記載  情報発信・啓発、連携強化・ネットワーク構築、事例・ノウハウの共有、人材育成・確保/体制強化、交流等の場の充実  ・指標 活動指標と関連する直接アウトカム指標を記載 【31ページ】 1  身近な地域で支えあう仕組みづくり 【全体の方向性】 日常的なつながりを通じた住民による支えあいの充実に取り組むほか、地域の課題解決に向けた住民・支援機関・関係機関の連携を促進していきます。 また、高齢化の進展等を見据えて認知症や障害のある人の権利擁護を推進するとともに、生活困窮、いわゆる「8050問題」、ひきこもり状態にある人やヤングケアラー、ダブルケア等、その家族への支援などにも取り組みます。 あわせて、子育て世帯が孤立しないよう地域における子育て支援の場や機会を拡充します。  (1) 日常的なつながりを通じた住民による支えあいの充実 <現状・課題> > 自治会町内会や地区社協、民生委員・児童委員等を中心とした見守りやサロン活動等に加え、子どもの居場所や移動販売等の活動の場を通して、世代を超えた幅広い対象者を意識した地域主体の見守りの取組が進んでいます。 > その一方で、コロナ禍で急増した困窮者からの相談の背景に、困ったときに相談できる相手がおらず、つながりが乏しい社会的孤立状態に置かれている人が多くいることも明らかになっています。 > 周りの住民は、身近に困っている人がいるということを知らなかったり、異変に気付いてもそれを誰に伝えたらよいのか分からず、抱え込んでいたりするという現状もあります。 > 困っている人が地域の中で孤立しないこと、また、何らかのきっかけで困りごとを抱えたときに、安心して自ら支援を求めることができるよう、これまで取り組まれてきた見守り・支えあいの活動だけでなく、地域全体でお互いに気にかけあうことのできる関係を広げていくことが大切です。 > 世代や障害、国籍等、様々な立場や背景を超え、身近な地域での日常的な「つながり」を通じた地域ぐるみの緩やかな見守り体制を構築していく必要があります。 取組のポイント ・身近な地域で気にかけあい、困りごとを抱えた人への気付きを広げる ・日常的なつながりを通じた見守りの体制づくり ・安心して地域生活を送るための支えあいの充実 【32ページ】 <取組> 情報発信・啓発 > 隣近所の人の様子や暮らしをさりげなく気にかけあうような、緩やかな見守りが大切であることの周知啓発<市> > 困りごとは多様であり、身近な地域にも困っている人がいるという視点を共有するための情報発信<市> > 周囲の人の変化に気付いたときに、身近な支援者や支援機関、行政等につなげる大切さの周知啓発<市> > 様々な支援機関・関係機関や当事者団体などの相談窓口の周知<市> > 地域住民に幅広く地域福祉保健の取組、活動を知ってもらうためのPR<市> > 社会的孤立等、地域と支援機関が協働して受け止め、解決していく必要のある課題の提示と取組推進の支援<市・市社協> 連携強化・ネットワーク構築 > 一人ひとりの身近な「気付き」を共有するための地域住民がつながるきっかけづくり<市・市社協> > 地域で様々な役割を担う人達が、困りごとを抱えている人を連携して見守る体制づくりに向けた支援<市・市社協> > 認知症等の高齢者や障害のある人の外出中のトラブルや事故などを防ぐ、緩やかな見守り支援にむけた連携の仕組みづくり<市・市社協> 事例・ノウハウの共有 > 住民と企業、商店、施設、NPO等、地域にある様々な主体による見守りの事例集約と共有<市・市社協> 人材育成・確保/体制強化 > 地域の特性に応じた様々な課題に対する支援を通じた地域のつながりづくり<市・市社協> > 地域における見守り機能強化に向けた市域の取組の検討<市・市社協> > 住民・企業・商店等を対象とした見守り活動に協力するサポーターの養成<市・市社協> > 障害等への理解を深め、本人の意思決定と見守りを進めていくための取組の検討、拡充<市・市社協> > 地域活動に幅広く活用される、誰でも参加ができるといった特徴を生かした共同募金の拡充<市社協> > 個別支援級の通学や余暇などの付き添い等をきっかけとした、身近な地域のつながりづくりの推進<市社協> > 災害時要援護者支援等を通じた、平時からの地域主体の見守り活動の支援<市・市社協> > コロナ禍で顕在化した課題の解決に向けた住民の支えあいによる取組の継続・拡充支援<市社協> 【33ページ】 交流等の場の充実 > 住民相互の見守り、気付き、助けあいにつながる身近な地域における居場所づくりの推進<市社協> > サロン、お茶会、趣味活動等の様々な交流の場が、地域の見守りにもつながる意識の共有<市> > 地域ぐるみで子どもを育てる場の充実<市> > 日常の様々な活動の中で、認知症や障害のある人等と交流し理解を深める機会や場の創出<市> > 防災訓練・美化活動等、地域住民同士が顔を合わせ交流ができるような場への支援<市> > 立場や背景、価値観の違いなどを互いに尊重し、必要なときに支えあうことができる関係づくりに向けた身近な地域の中で日常的に交流できる機会、場づくりの推進<市> <指標> (活動指標) 現状値(R4年度) 地域の取組を共有する機会の数 52件 (関連する直接アウトカム指標) 現状値(R4年度) @困りごとを抱えた人に気付く機会が増える 指標:つながりを目的とした地域主体の取組数 617件 A住民同士の日常のつながりが増える 指標:把握されている住民主体の交流・居場所の数 8,060か所 評価指標については、84ページを参照 【34ページ】 トピックス:ヤングケアラーへの支援  法令上の定義はありませんが、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもとされています。   例えば  ・家族に代わり幼いきょうだいの世話をしている  ・家計を支えるために労働や家の金銭管理をしている。  ・アルコール薬物ギャンブル問題を抱える家族の対応をしている。   (参考)一般社団法人日本ケアラー連盟  ヤングケアラーと子どもの人権  家族のお世話をすること、そしてその子どもたちの想いは、決して否定されるべきものではありません。しかし、年齢や成長に見合わない重い責任や負担が続くことで、子どもらしい生活が送れず、辛い思いをしてしまう場合もあります。  全ての子どもたちが元気で健やかに育まれるよう、子どもや家庭が抱える問題の背景をしっかり捉え、社会全体で解決に向けて考えていくことが大切です。  ヤングケアラーに関する実態把握調査(令和4(2022)年度)から見えた子どもたちの姿  世話をしている家族が「いる」子どもは、小学5年生で20.3%、中学2年生で13.5%でした。  そのうち、自分がヤングケラーであると思う子どもは、小学5年生で8.6%(全体の約1.7%)、中学2年生で6.5%(全体の約0.9%)でした。  ヤングケアラーへの地域での取組(鶴見区:一般社団法人Omoshiroの取組)  ひとり親のお母さんや精神疾患を抱えたお母さんなど、サポートが必要な家庭とその子どもに対して、「親子まるっと」で伴走していくことを大切にしながら、生活・就労・学習・居住支援などに関する事業を通して、ヤングケアラー支援を行っています。 【35ページ】 トピックス:地域住民と共に取り組む見守りの仕組みづくり「旭区ご近助ほっこり活動」 ご近所との「つながり」の希薄化が進む中で、様々な生活課題を抱える人が誰にも相談できずに孤立し、子どもの虐待などの問題が深刻化するケースがあります。「ご近所さんを見守るのは大変。責任も重い」と感じている方、「ご近所さんの名前も知らない、話したこともない」という方も少なくないと思われますが、旭区社会福祉協議会では「旭区ご近助ほっこり活動」に地域住民と連携しながら取り組んでいます。 「旭区ご近助ほっこり活動」とは、日常生活の中で「ちょっと気になる」、「なにか心配」という方を「お互いさま」の気持ちでそっと気にかけたり、声をかけたりするゆるやかな見守り、つながりづくりの仕組みです。自治会町内会をはじめ、民生委員・児童委員、地区社協、友愛活動員、見守り組織、サロンや移動販売など、各地域にある組織や活動を有効に活用して実施されています。そして、既存の活動の見守りから抜けがちな、子育て世帯、ひとり親世帯、生活困窮者、障害者、単身世帯などについても、見守りができるよう各地域で工夫し、できるところから、できる範囲で活動を広げています。 「見守り=小さな変化に気付く」には、直接お話をすることだけでなく、様々な方法があります。 例えば、普段は新聞紙や郵便物が溜まっていないのに「ポストに郵便が溜まっている」、いままでゴミ出しを間違うことがなかったのに「ゴミが上手に分別されていない」、毎朝雨戸を開けていたのに「雨戸が締めっぱなし」などです。 「旭区ご近助ほっこり活動」は第4期旭区地域福祉保健計画「きらっとあさひプラン」の中で、地区社協を中心に地域の見守り意識を高められるよう、見守り活動の講義や取組事例報告、意見交換などを行っています。 特別なことではなく、「ご近所さんをちょっと気にかけたり、挨拶をしたり、相談できたりする人を増やすことが、子どもから高齢者まで誰もが安心して暮らせるまちになる」と考え進められています。 【36ページ】 トピックス:民生委員・児童委員 民生委員・児童委員は、地域からの推薦に基づき、厚生労働大臣から委嘱を受け、全国で約23万人、横浜市内で約4,500 人が活動しています。 それぞれの担当する区域において、子育てや介護など生活上の相談に応じ、必要な支援を受けられるよう、地域ケアプラザなどの専門機関につなぐ「つなぎ役」としての役割を担っています。民生委員・児童委員の中でも、子どもや子育て家庭への支援については主に主任児童委員が担当しています。 民生委員制度は、これまで社会情勢に応じて様々な活動に取り組み、長い歴史と実績を有しています。近年は、個人や世帯を取り巻く環境が変化し、民生委員・児童委員活動への期待や役割はますます大きくなっています。民生委員・児童委員が活動しやすい環境づくりを進めるとともに、民生委員・児童委員のみならず、様々な地域団体や人材、関係機関が連携・協力して、地域の見守りや支えあいの取組を更に広げる必要があります。 トピックス:災害時要援護者支援の取組  横浜市では、平成19(2007)年度から、自力での避難が困難な方(災害時要援護者、以下「要援護者」という。)の円滑な避難支援に向けて地域の皆様とともに取り組んできました。 例えば、行政が保有する情報をもとに、特に避難行動が困難と思われる方々の名簿を作成し、個人情報の取扱い等を定めた協定を締結いただいた自治会町内会等に、この名簿を提供しています。 一方で、名簿の提供を受けているものの、「名簿を活用した取組が進まない」といったご相談をいただきます。 冊子「共助による災害時要援護者支援の活動事例集」は、名簿を活用した具体的な取組を進めている地域の事例をご紹介しています。震災だけでなく、風水害に触れた事例もあります。 普段から顔の見える関係を築いていくことが、要援護者支援の取組の一歩です。防災、減災活動に向けて、本冊子を身近な地域にあてはめて活用してください。 【37ページ】  (2) 課題解決に向けた住民、支援機関、関係機関・団体の連携 <現状・課題> > 地域での見守り活動などは、自治会町内会や地区社協、民生委員・児童委員等関係者を中心に日常的な取組として行われており、それにより困りごとを抱えた人の気付きにつながっています。新型コロナウイルス感染症の影響下では、地域での日常的なつながりがあることで、身近な人の困りごとに気付き、地域と関係機関が協力した食支援の取組などがありました。 > 地域には、いわゆる「ごみ屋敷」や「8050問題」、ヤングケアラー、ダブルケア、ひきこもりなどの生活課題を抱えた人もいます。その生活課題解決のためには、既存の制度やサービスだけでは、対応することが難しい場合もあります。 > 課題の背景には、社会的孤立に起因する課題が隠れていたり、制度の狭間や複合的な課題により適切な支援に結びついていないなど、様々な要因が複雑に絡んでいることが考えられます。 > 支援が必要な人が、生活課題が深刻化する前に適切な支援につながるには、地域と支援機関・関係機関の連携した対応が必要であり、関係者同士や人と社会資源などをコーディネートする役割が重要です。また、困り事があったときに相談しやすい環境づくりも大切です。 > 複雑多様化した困りごとを抱えた人の支援は多岐にわたるため、地域住民や一部の機関だけでは支えきれないことがあります。 > 困りごとを抱えた人を支援するときに、ひとりで抱え込むのではなく、地域住民と関係機関が連携して受け止め、それぞれが得意なことや役割を発揮し、その人の暮らしに寄り添いながら伴走支援をすることが大切です。 取組のポイント  困りごとを抱えた人を住民、支援機関、関係機関・団体が連携して支援する  各関係機関が持つ力を発揮できるようなコーディネート機能の充実  支援する人がひとりで抱え込まずに、つながって受け止める体制づくり  複合的な課題に対応するためのネットワークの構築 <取組> 情報発信・啓発 > 関係機関・活動団体等が、お互いの特徴や役割の理解を深めるための情報発信<市> > 支援を必要とする人に早期に気付き、的確な支援につなげるために、行政や支援機関・関係機関の相談先の明確化や制度の周知、情報提供<市> > 専門職を対象に、担当分野にとどまらず、まずは一歩踏み出し相談を受け止める意識の醸成<市・市社協> 【38ページ】 連携強化・ネットワーク構築 > 住民・住民組織と支援機関・関係機関等が連携・協働した地域課題の把握・共有・検討・解決の仕組みづくり<市・市社協> > 連携・協働が必要な機関、施設との調整やネットワーク化への支援<市> > いわゆる「ごみ屋敷」や「8050問題」、ヤングケアラー等、複合的な課題への相談・支援体制の構築<市・市社協> > 複合的な課題を抱えた人を支援するため、各地域の状況にあわせた地域住民と専門職による情報共有やネットワークづくり<市> > 困っている人が、自分ひとりで抱え込まずに「助けて」と言える環境づくり<市> > 地域で活動している人が課題を抱え込まずに安心して活動できるよう、活動者同士のつながりを意識したネットワークづくり<市> > 事業・施策を通じた見守り・支援が必要な人の早期発見・課題解決のための支援や協働<市> > 移動支援や買い物支援等、ネットワークを構築して、課題を解決する取組につなげるための共通課題の共有<市社協> > 区域を超えて取り組む課題の明確化と、その対応に向けたネットワークの構築<市社協> 事例・ノウハウの共有 > 複合的な課題や困りごとを抱えている人への支援方法に関する事例の共有<市> > 既存のネットワークを生かした、地域と支援機関の情報共有、課題解決事例・ノウハウの集約と発信<市・市社協> > 地域と支援機関・関係機関が課題解決に向けて連携して取り組んだ事例の紹介<市> > 住民・住民組織と企業、NPO、施設、関係機関等、地域にある様々な主体による見守りの事例の集約や共有〈市・市社協〉 > 地域の状況に合わせた地域住民と支援機関との情報共有の仕組みづくりの推進<市・市社協> > 地域住民と支援機関の連携による取組の更なる発展を目的とした事例発表の実施<市社協> > 社会的孤立や生活困窮等、解決に向けた検討が必要な共通の地域課題の共有<市社協> > 地域活動における個人情報の正しい理解、取り扱い・活用方法の周知<市・市社協> 人材育成・確保/体制強化 > 地域では解決できないような生活課題や困りごとを抱えている人が、いつでも気軽に相談できる人材の育成<市> > 地域をよく知る人等と一緒に、課題解決のポイントやノウハウについての研修や広報等による働きかけ<市> > 関係団体・関係者に対する、連携の必要性やコーディネート力の向上を目的とした研修の実施(コーディネートの必要性や手法等)<市・市社協> 【39ページ】 > 地域と行政・専門職をつなげる関係機関におけるコーディネート役の育成・強化<市> > 専門職だけではなく地域福祉保健活動に関わる全ての行政職員に対する研修の実施<市> > 行政をはじめ、地域ケアプラザや基幹相談支援センター、地域子育て支援拠点等、支援機関及び関係機関の専門職が、制度の狭間の課題に対して、その専門性を生かし積極的に支援に関わるためのネットワーク化<市・市社協> > 地域住民と関係機関が協働した個別支援及び早期発見の仕組み、生活課題への支援策の検討等について、区社協や地域ケアプラザの理解を深める人材育成<市社協> 交流等の場の充実 > 地域に関する様々な情報を共有し、関係者同士で意見交換できる交流の場づくり<市> <指標> (活動指標) 現状値(R4年度) (複合的な課題を抱えた人を支援するため、)地域住民と専門職による会議の開催数 1,819回 (関連する直接アウトカム指標) 現状値(R4年度) C孤立している人が身近な地域でつながる機会がある 指標:・生活困窮者自立支援制度相談者数 10,642人 ・社会的孤立の防止につながる地域主体の取組数 243件 G地域における個別の困りごとを関係者が連携して受けとめられる(支援者がひとりで抱え込まない) 指標:民生委員・児童委員が困りごとを相談されたときの相談先と連絡調整回数(委員相互・その他関係機関) 445,859回 ※ 評価指標については、84ページを参照 【40ページ】 トピックス:分野を越えた関係機関連携(西区「みんなの相談窓口」) 社会的に孤立し、生活に困難を抱えながらも誰にも相談できず、生活問題が複雑化し、高齢、障害、子ども等、単一制度のみでは解決が難しい複合的な課題を抱えている方が増えています。 西区内の相談機関のネットワークとして、地域活動ホームが中心となって「地域センター会議」を立ち上げ、西区役所や地域ケアプラザを含め、高齢、障害、こども、生活困窮など各分野の相談窓口となっている15の機関が参画しています。 困りごとをどの機関に相談しても、参画機関へつなげられるように「西区みんなの相談窓口」を掲げ、PRのクリアファイルの配布、連携事例集の発行、地域のイベントでの出張相談窓口の設置、参画機関の相談員のスキルアップ研修などを行ってきました。 今後も多くの支援機関、関係機関が異なる分野の相談でもまずは受け止め、連携した相談支援を行い、だれもが自分らしく暮らせる地域共生社会の実現のための一翼を担うことが期待できます。 〜西区みんなの相談窓口(15の参画機関)〜 地域活動ホーム、基幹相談支援センター、精神障害者生活支援センター、中途障害者地域活動センター、横浜市障害者就労支援センター、区内4箇所の地域ケアプラザ、地域子育て支援拠点、児童家庭支援センター、警察署、区社会福祉協議会、市民活動支援センター、西区役所(福祉保健課、生活支援課、高齢・障害支援課、こども家庭支援課) トピックス:住民、関係機関が連携したマンション内での見守り・共有の仕組みづくり 青葉区荏田地区にある築50年を過ぎたマンション。住民同士「お互いさま」の気持ちで助け合いながら暮らしてきましたが、高齢化などによりひとりでは解決できないことが増えてきました。 同じ頃、地域ケアプラザにも心配で気になる方がいるという住民からの相談が増えてきました。そこで、住民や民生委員とともにマンション内の「住民支え合いマップ」(※1)を作成すると、日常的に自然な助け合いができていることが見えてきました。 これまでは住民それぞれが受けていた相談を、皆で共有し、解決に向けて相談できる場として「ききょうの会」を発足。2か月に1度の定例会には毎回地域ケアプラザも同席し、気軽に相談できる関係ができてきました。住民と関係機関がともに気にかけあいながら、適切なタイミングで専門職の支援にもつなげることができるようになっています。住民もメンバーや地域ケアプラザと相談しながら、ひとりで抱え込まずに皆で見守り、支えあえることで、「肩の荷が下りた」、「安心感が増した」と感じています。 ※1)住民支え合いマップ 地域の支え合いや見守り活動に向けて、支援が必要な方と、その方と関わりのある方とのつながりを地図上に起こし、関係性を把握するもの。 【41ページ】 トピックス:進んでいます。ひきこもり理解促進の取組 「ひきこもり」は誰にでも起こり得ることであり、特別なことではありません。 「ひきこもり」とは、社会的な参加の場面が狭まり、自宅以外での生活の場が長期にわたって失われている状態を表す言葉です。職場での人間関係、心の不調、病気、障害、親の介護など、きっかけは様々であり、誰にでも起こり得ることです。このことを、多くの地域住民の方に知ってもらうため、各区の生活支援課生活困窮者支援担当や社会福祉協議会が中心となり、「カンパニュラの夢」というDVDを活用し、民生委員・児童委員や地区社協の方などを対象とした上映会を行っています。 ひきこもりは周りの理解がないことから誰にもSOSを出せずに 社会から孤立していることが問題だということ 「ひきこもって問題がある人」ではなく「地域でともに生きている人」 だということ 〜 みなさんの地域でも、ひきこもりへの理解を進め、 誰もが生きやすい社会・地域づくりについて、考えてみませんか 〜 トピックス:精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築について 精神障害の有無に関わらず、誰もが安心して暮らし続けられるには、医療・保健・福祉をはじめとする関係者が連携し、地域での取組を進めていくことが必要です。このため、区福祉保健センター、生活支援センター、基幹相談支援センターを核とした「協議の場」において、事例を通じた地域の課題を共有し、関係者が、共通の認識のもと、課題解決に向けて取組を進めていきます。 地域ごとの課題に対して特性を踏まえた対応ができるよう、これまでの社会資源を十分に活用しながら、ネットワーク機能の見直しや新たな支援者とのつながりを構築する等、支援者間の連携により、よりよい支援体制となるよう、地域づくりを進めます。 協議の場のイメージ 個別支援・事例検討 区における関係者の協議 市における関係者の協議 これらがそれぞれの役割を果たしていきます。 【42ページ 43ページ】 参考 圏域別 住民と支援機関が共に見守り支えあう仕組み  圏域別に地域住民と支援機関・関係機関との連携による、相談・支援、生活課題・地域課題の把握・共有・検討・解決の仕組みづくりを進めます。 @支援が必要な事に気付き、共有する仕組み  近隣〜自治会町内会での取組 ■近隣住民が、見守り活動や日頃のつながりを通して 「ご近所の方の様子が変わった」や「少し心配な子がいる」といったことに気づいたら、民生委員・児童委員を中心とした地域関係者・地域組織と共有します。地域関係者・地域組織は、必要に応じて支援機関、関係機関・団体と情報を共有します。 ■支援機関、関係機関・団体は、地域のサポートが必要な人について、民生委員・児童委員等と共有します。 ■支援を必要とする人が孤立せず、支援する側もひとりで抱え込むことがないよう、つながって受け止める体制を作ります。 A困りごとや課題の対応に向けた具体策を検討する仕組み  地区連合町内会や日常生活圏域での取組 ■困りごとを抱える人や地域の課題に対し、どのように寄り添い、支えられるか等について、検討する場を設けます。 ■例えば、地域ケアプラザなどがコーディネート役となり、関係機関・団体や民生委員などの地域関係者とともに情報共有し、困りごとへの対応策や、つながり続けることを目指すアプローチ(伴走型支援)などを検討します。 ■地域関係者・地域組織、関係機関・団体、支援機関が検討を積み重ねることで、複合的な課題にも対応できるようなネットワークを構築していきます。 B新たな支援策や制度の整備に向けて検討する仕組み  区域の取組 ■区域の各分野別ネットワークから寄せられる報告や、既存の枠組みでは解決できない課題の提起等を踏まえ、区内の支援機関・団体等による実務者レベルの検討会議を開催します。 ■検討会議では、解決できない要因を明確にし、新たな仕組みや制度の整備を検討します。 ■検討結果については、区の福祉保健施策や局の支援策等に反映します。 【44ページ】  (3) 身近な地域における総合的な権利擁護の推進 横浜市成年後見制度利用促進基本計画については地域福祉保健計画の一部として位置づけ、第4期に引き続き、本計画の一部として一体的に策定・推進します。 権利擁護は、高齢者・障害のある人も含めた全ての人の権利を尊重し、自己実現・自己決定を支援していくことです。成年後見制度利用促進も含め、児童虐待や消費者被害など、個人の権利や利益が侵害されることがないよう取組を進めます。 <現状・課題> > 高齢化が進むことで、判断能力が低下したり、認知症を発症する人も増えています。また、精神保健福祉手帳や愛の手帳(療育手帳)を所持する人の増加傾向が続いています。認知能力の低下や障害により判断能力が十分でない人に対する虐待や権利侵害を防ぐためには、権利擁護支援が必要です。 > 権利擁護支援や成年後見制度利用促進の取組の中心的な役割を担う中核機関(よこはま成年後見推進センター)が設置され、成年後見制度利用促進の取組は少しずつ広がっていますが、制度利用が必要と見込まれるにも関わらず、実際に制度を利用する人は、まだ少ない状況です。 > 身寄りのない人や高齢者のみの世帯、また、虐待など深刻化、複雑化する課題を抱えた人も増加しています。認知症等で判断能力が低下した本人だけでなく、その家族を含めた支援を必要とする人の身近な関係者に、権利擁護支援や成年後見制度の理解を広げ、課題が深刻化する前に支援につなげていくことが必要です。 > 障害や認知能力の低下により判断能力が十分でなくても、状況に合わせた適切な支援を受け、能力を生かしながら、地域の中で安心して生活が送れるよう取組を進めていく必要があります。そのためには、支援を行う支援機関・関係機関同士がお互いの役割を理解し、地域連携ネットワークを構築していくこと、また、支援を必要とする人の意向を尊重する意思決定支援が大切です。 > 児童虐待は、子どもの心身の発達に深刻な影響を及ぼす重大な権利侵害です。全国の児童虐待相談対応件数は増加が続いており、子育ての大変さを保護者だけで抱え込まないように、地域の中で声かけや支援の輪を広げ、社会全体で支えていくことが必要です。 取組のポイント  地域共生社会の実現に向けた権利擁護支援の充実  権利擁護支援を推進する地域連携ネットワークの拡充   (横浜市成年後見制度利用促進基本計画) 【45ページ】 <取組> 情報発信・啓発 > 幅広い市民に成年後見制度を知ってもらうための分かりやすい制度案内<市・市社協> > 対象者に合わせたパンフレットや動画等を用いた広報媒体の作成<市・市社協> > 身近な地域で権利擁護の取組や成年後見制度を知ってもらうための幅広い周知<市・市社協> > 高齢者・障害のある人と接する機会の多い身近な支援者への制度理解の推進<市・市社協> > 障害福祉における権利擁護支援についての普及啓発<市・市社協> > エンディングノートやあんしんノート等、終活支援、任意後見制度等の自己決定の後押しをする取組の推進<市・市社協> > 意思決定支援と権利侵害の回復支援を基盤とした権利擁護に関する普及啓発<市・市社協> > 詐欺被害等の相談も踏まえた、消費生活総合センターや警察とも連携した普及啓発<市・市社協> > 「子どもの権利」、「体罰によらない子育て」、「ヤングケアラー」等に関する広報・啓発の推進<市> 連携強化・ネットワーク構築 > 相談支援機関を中心とした、本人に寄り添った身近な地域での権利擁護支援チームの形成<市・市社協> > 区協議会(成年後見サポートネット)を基盤とした地域における関係機関同士のネットワークの構築<市・市社協> > 適切な制度運用や改善のための、中核機関を中心とした市域における連携強化<市・市社協> > 適切な後見人等の選任・交代のための、司法、関係機関・団体等との連携強化<市・市社協> > 後見人等を孤立させない権利擁護支援チームの形成や地域連携ネットワークの構築<市・市社協> > 権利擁護事業を実施する区社協あんしんセンターへの支援<市・市社協> > 市「障害者後見的支援制度」等、本人の意向に沿った見守りネットワークの構築・拡充<市・市社協> > 要保護児童対策地域協議会や横浜市子どもの貧困対策に関する計画推進会議等子どもの支援に関する会議の開催<市> 事例・ノウハウの共有 > 区協議会(成年後見サポートネット)における事例検討など、関係者での課題分析や共有<市・市社協> > 事例集などを用いた、支援者の共通理解を得るための意識の醸成と研修等の実施<市・市社協> > 地域を基盤とした権利擁護支援の実践に関する集約と共有<市・市社協> 【46ページ】 人材育成・確保/体制強化 > 権利擁護支援に関わる相談支援機関のスキルアップのための研修の実施<市・市社協> > 本人の状況に合わせた適切な権利擁護支援につなげるための仕組みづくり<市・市社協> > 意思決定支援のガイドラインの理念に基付いた支援体制の構築<市・市社協> > 認知症や障害など本人の状況に応じた意思決定支援の推進<市・市社協> > 身寄りのない高齢者への支援策の検討<市・市社協> > 成年後見人等として活動している親族(親族後見人)の支援<市・市社協> > 地域で権利擁護を担う「市民後見人」の養成・活動支援・受任促進<市・市社協> > 法人後見を担う団体や新たに法人後見を行う団体等への活動支援<市・市社協> > 成年後見制度利用支援事業における、本人・親族申立ての際の費用の検討及び報酬助成についての検討<市> <指標> (活動指標) 現状値(R4年度) 区協議会(区成年後見サポートネット)参加者数 3,024人 (関連する直接アウトカム指標) 現状値(R4年度) D意思決定に支援が必要な人も、地域の中で自分らしく暮らせる 指標:相談支援機関における権利擁護に関する相談取扱件数 2,864件 ※ 評価指標については、84ページを参照 トピックス:市民後見人 市民後見人とは、横浜市では市が実施する市民後見人養成課程を修了した方が、「横浜市市民後見人バンク」へ登録し、その後家庭裁判所から成年後見人等として選任された方としています。 横浜市では認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な方であっても尊厳を持って住み慣れた地域で暮らし続けることを可能とする「共に生きる」社会の実現を目的として、地域における権利擁護推進の一翼を担う市民後見人の養成・活動支援に取り組んでいます。 市民後見人は身近な存在として、本人の意思を丁寧に把握しながら成年後見人等として活動をする強みがあり、養成課程修了後も各種研修に参加し、研鑽を続けています。 2023年3月末時点で、のべ90人を超える市民後見人が成年後見人等として、本人に寄り添った活動を行っています。 【47ページ】 トピックス:成年後見制度利用促進と権利擁護支援における地域連携ネットワーク 成年後見制度利用促進 成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害等により財産管理や日常生活に支障がある人の法律行為を支える制度です。家庭裁判所から選任された成年後見人等が本人の意思を尊重しながら福祉サービスの契約手続きや財産の管理などを行うものです。 国・第二期成年後見制度利用促進基本計画[2022年度〜2026年度(5か年)]では、「地域共生 社会」の実現に向け、本人を中心にした支援・活動における共通基盤の考え方として「権利擁護支援」を位置づけた上で、権利擁護支援の地域連携ネットワークの充実などを成年後見制度利用促進の取組として進めることとしています。 成年後見制度の詳しい内容や相談先は、よこはま成年後見推進センターウェブサイト内の「ご存じですか 成年後見制度」パンフレットをご覧ください。 判断能力が十分でない状況にあっても、必要な支援を受けながら地域で安心して生活できるよう、様々な支援・活動のネットワークを生かして取組を進めていきます。 権利擁護支援における地域連携ネットワーク 権利擁護支援の地域連携ネットワークの構築は、「@権利擁護が必要な人の発見・支援」、「A早期からの相談・対応体制の整備」、「B意思決定支援・身上保護を重視した後見活動の支援」を目的としています。 横浜市では、この地域連携ネットワークを展開するために、対象者を支える「チーム」と、区ごとに実施する「協議会」の基本的仕組みを位置づけ、市域の機能として中核機関「よこはま成年後見推進センター」がネットワークの調整・推進を担い、横浜市成年後見制度利用促進基本計画を推進しています。チームの中心を担う相談支援機関(区福祉保健センター、地域包括支援センター、基幹相談支援センター)には、本人や家族、身近な支援者からニーズが集約され、権利擁護支援の検討(アセスメント)とチームづくりを展開します。中核機関はチームへの専門職派遣や申立書の書き方支援、成年後見人 等候補者調整会議による第三者後見人のマッチング、不正防止に関する成年後見人等への苦情相談対応等、相談支援機関をバックアップする役割を担っています。 【48ページ】 トピックス:子どもの権利を守ろう!/STOP!子ども虐待 「横浜市子供を虐待から守る条例」は、子どもが虐げられ、傷つくことが決してないように、全ての市民が一体となって地域の力で子どもと家庭を支える環境づくりを推進するため、平成26(2014)年に施行されました。令和元年(2019)に児童虐待防止法が改正され、親権者による体罰の禁止が明文化されたことなどを踏まえ、令和3(2021)年10月に本条例の一部改正を行いました。 体罰など子どもの品位を傷つける行為がなく、全ての子どもがひとりの人間として尊重され、健やかに成長することができる社会の形成に取り組むことなどを追記しています。 横浜市民を対象に「子どもに対するしつけと体罰に関するアンケート」を令和2(2020)年度と4(2022)年度に実施しました。 体罰を容認しない方の割合が前回調査よりも12.9%増加し62.5%になりました。体罰によらない子育てへの理解が、少しずつ広がっています。 トピックス:地域の中での見守り体制の構築〜横浜市障害者後見的支援制度〜  横浜市障害者後見的支援制度は、障害のある人が地域で安心して暮らすために、「身近な地域での本人の見守り体制を構築すること」、「本人の思いに寄り添い、希望に基づく生活の実現をともに考えること」を柱とした横浜市独自の制度です。 【49ページ】  (4) 生活困窮者支援を通じた地域づくり 生活困窮者自立支援制度の基本理念の一つである「生活困窮者支援を通じた地域づくり」を実現するため、生活困窮者自立支援方策を本計画の一部として位置づけ推進していきます。 生活困窮者支援は、経済的な自立だけではなく、日常生活や社会生活の自立など、その方の状態に応じた自立を目指しています。そのために、生活困窮者の早期把握や見守りのための地域ネットワークを構築するとともに、「支える・支えられる」ではない「相互に支えあう地域」の構築を本計画と一体的に推進します。 <現状・課題> > 経済的な困りごとや生活の困りごとを抱えている人の多くは、社会的に孤立し、自ら必要な情報を取得したり、自ら声を上げ相談したりすることが困難な状況にあります。 > コロナ禍の影響など社会情勢の変化に伴い、顕在化した新しい相談者層の多様なニーズに適切に対応していく必要があります。 > 生活困窮者自立支援制度は、比較的新しい制度のため、地域や支援機関・関係機関へ引き続き制度周知を行い、認識を深める必要があります。 > 困窮状態にある人は様々な課題を抱えているため、一つの制度や一機関だけで解決できないことが多く、複数の関係機関や地域の新たな社会資源同士がつながり、連携していく必要があります。 > 困窮状態にある人の「それぞれの自立」に向けた支援やつながりが途切れることがないよう、生活保護制度との切れ目のない一体的な支援を行うことが求められています。 取組のポイント  複合的課題に対応するための多機関連携  社会的孤立状態の予防、解消  支援者の孤立予防  「支える側」、「支えられる側」にとらわれず、誰もが地域の一員としての居場所や役割を持てる地域づくり <取組> 情報発信・啓発 > 誰でも経済的困窮や社会的孤立の状態になりうることがあり、特別なことではないという意識の醸成と相談しやすい地域づくり<市> > 困りごとを抱えながら自ら相談できない人に、身近な人(家族・親族・友人など)が、相談につなげることができるよう、広く市民に向け様々な媒体を活用した制度周知や講座等を実施<市> 【50ページ】 > 問題が深刻化・複雑化する前に自ら対応することができるよう、広く市民を対象にした各種支援制度の周知や講演会の実施<市> 連携強化・ネットワーク構築 > 複合的課題や既存制度では解決できないニーズに対して、多機関で連携しながら支援するためのネットワーク構築<市> > 困窮者施策をより効果的に進めるための課題共有や役割分担及び庁内関係部署の連携の促進 <市> > 身近なところで、支援が必要な人に気付き、必要な支援につなぐことができる「気付きのネットワーク」、及び身近な地域で見守り支えあうことができる「支援のネットワーク」づくり<市> 事例・ノウハウの共有  > 包括的相談支援体制の実現に向け様々な関係機関と分野を超えて連携するための、支援事例や取組の共有<市> > 市内関係者間における個別支援や地域づくりの好事例やノウハウの共有及び活用促進<市> > 生活困窮者自立支援制度と生活保護制度、双方の強みを生かした自立支援実現のためのノウハウの共有<市> 人材育成・確保/体制強化  > 身近なところで支援が必要な人に気付き、必要な支援につなぎ、連携して支援する担い手を育成するための制度周知及び研修の実施(支援機関・関係機関、地域の支援者向け)<市> > 対象者の属性にとらわれず、複雑化・多様化したニーズを受け止め、庁内一丸となって支援するための人材育成及び庁内連携強化<市> > 生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の間で、切れ目のない一体的な支援を行うための意識醸成及び人材育成<市> > 公的サービスの利用だけでなく、地域資源へのつなぎや創出も含め、社会的に孤立している人の支援を実現できる人材の育成<市> > コロナ禍における寄付を活用した支援や食支援などのノウハウを生かした、生活困窮に関連する課題解決に向けた取組の検討実施<市社協> 交流等の場の充実 > 一人ひとりに寄り添った、それぞれの自立の形を実現するためのサポート(様々な形の社会参加の実現)<市> > 社会的に孤立している人が、人とつながることのできる多様な場の創出<市> 【51ページ】 <指標> (活動指標) 現状値(R4年度) 生活困窮者自立支援制度支援会議の参加者数 1,082人 (関連する直接アウトカム指標) 現状値(R4年度) C孤立している人が身近な地域でつながる機会がある 指標:・生活困窮者自立支援制度相談者数 10,642人 ・社会的孤立の防止につながる地域主体の取組数 243件 G地域における個別の困りごとを関係者が連携して受けとめられる(支援者が1人で抱え込まない) 指標:民生委員・児童委員が困りごとを相談されたときの相談先と連絡調整回数(委員相互・その他関係機関) 445,859回 ※ 評価指標については、P.84を参照 トピックス:地域のネットワークが広がる取組 〇 生活困窮者を早期に把握するための「気付きのネットワーク」づくり、自立した生活を支えるための「支援のネットワーク」づくりを地域の関係機関等と協働して区ごとにすすめています。 〇 ネットワーク構築支援事業では「孤立しがちな人へのアプローチ」や「地域の居場所づくり」をテーマとした講座の実施、居場所マップや普及啓発ツールを作成するなど、生活にお困りの方を地域で支えるためのネットワークを広める取組を行っています。 〇 横浜市では「横浜市生活困窮者セーフティネット会議(関係機関が情報共有等を行う支援会議)」を市域・区域で行っています。区役所内外の多くの関係機関が一堂に集まり、地域課題や不足する 社会資源等を共有、 課題解決に向けた取組を検討する場となっており、ネットワークの強化につながっています。 また、区地域福祉保健計画のプロジェクト会議をセーフティネット会議と位置づけている区もあり、区役所全体で区民の困りごとを早期把握する体制を整える仕組みづくりを行っています。 会議に参加する関係機関が増えていくことで、気付き・支援のネットワークが広がっていきます。 【52ページ】 トピックス:生活困窮者等への食を通じた地域づくりの仕組み 〇生活困窮者や制度の狭間で必要な支援が届かず、社会的に孤立をしている方などを支える地域づくりの一環として、食支援の仕組みが市域で広がっています。食支援とは、寄付でいただいた食糧をお渡しすることによって顔を合わせたり、会話をしたりしながら、関係機関や住民との関係づくりをすることを目指しているものです。横浜市社協では、2017年から食支援の取組を始めました。 〇仕組みのひとつとして、 株式会社セブン‐イレブン・ ジャパンから、セブン‐イレブン店舗の改装時等に発生する商品(冷蔵・冷凍以外)を横浜市社協が受領し、福祉施設や、区社協を通じて相談者や地域活動団体等に提供する取組を2018年より行っています。いただいた商品は食糧だけではなく日用品もあり、生活に必要な身の周りのものをお渡しすることで生活の安定や安心感につながっています。 〇また、市民団体として食糧の寄贈受入れと配分を担っている「公益社団法人フードバンクかながわ」からも定期的に寄付をいただき、市内の障害事業所が、社会貢献活動の一環として区社協への配送業務を担っています。配送を通じ、障害のある方自身が、社会の役に立っていることを実感できる機会となっています。また、配送業務に携わる時間は、車内で障害のある方と職員がゆっくり話すことができる貴重な時間にもなっています。 〇これらの仕組みがあったことで、コロナ禍で急速に生活困窮者が増えた際にも、迅速に食糧を届け、支援することができました。 〇市域の仕組みのほか、各区では身近な商店やスーパー、農家などからの寄付や住民から食糧を集めるフードドライブといった取組が行われています。 また、地区社協などの地域団体が行う食糧配分会も各地で実施され、食を通じたつながりづくりや支えあいの輪が広がっています。 【53ページ】 2  地域における福祉保健活動を推進するための基盤づくり 【全体の方向性】 地域では人口減少・少子高齢化等により地域活動の担い手不足等の課題があります。地域で活動している関係組織・団体の支援に取り組むほか、社会福祉法人・企業・学校等の福祉保健活動への参画を支援します。また、区役所、区社協、地域ケアプラザ等が協働して地域を支えるための基盤づくりを進めます。  (1) 地域における関係組織・団体の体制の強化  <現状・課題> > 市内には253の地区連合町内会、256の地区社協、263の地区民生委員児童委員協議会(以下、「地区民児協」という。)(2022.4.1現在)が組織されており、これまで身近な地域における見守りをはじめとした様々な取組を積み重ねてきました。 > 自治会町内会の加入率の低下や、民生委員・児童委員をはじめとした委嘱委員の充足率の低下が見られます。また、団体によっては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等による活動の縮小・休会・解散などがあり、地域のつながりや交流の機会が持ちづらくなっています。 > 地域には、特定のテーマ(目的)や課題の解決に取り組む団体、障害当事者団体等、様々な団体が活動しています。課題として、メンバーの減少や高齢化により思うように活動ができない、必要としている人に情報が届かない、活動資金の不足によって継続が難しいなどの声があります。 取組のポイント  自治会町内会、地区社協、地区民児協等の活動や運営の継続・拡充に向けた支援  地域における福祉保健活動の推進に向けた関係組織・団体の協力体制づくり  新たな活動の立ち上げや継続・拡充に必要な支援の充実 【54ページ】 <取組>  情報発信・啓発  > 新たな取組を始める際の活動に関する支援制度について、市役所関係局課の連携による周知 <市> > 事例を用いて、誰もが役割を持って主体的に参加できる地域の居場所等の意義や効果の集約と発信<市社協>  > 地域活動団体支援の一環となる共同募金等の周知<市社協> > 地域にある様々な活動団体情報の発信<市社協>  連携強化・ネットワーク構築 > 高齢者、障害のある人、子ども・若者等の地域の活動団体が、分野を越えて連携し、顔の見える関係性を構築するための支援<市> > 他団体や社会貢献活動を行っている企業との連携・協働による課題解決策の提案<市> > 地域で活動する関係組織・団体の継続・拡充に向けた連携支援<市社協> > 区域を越えて活動する団体の連携・協働による課題解決の場づくりや協働事業の提案<市社協> 事例・ノウハウの共有 > 地区連合町内会、地区社協、地区民児協等による、地域の主体的な取組の立ち上げ・継続・発展を更に支援できるよう、様々な連携事例・ノウハウの集約と発信<市・市社協> > 団体が自立し活動していくために必要な資金確保の手法等、支援策の提供<市> > 検討会等で整理された地区社協活動の充実・強化に向けた方向性の「地区社協のてびき」等への反映、方針の策定<市社協> > 地区社協活動の充実・強化に関する事例の集約と発信<市社協> > コロナ禍による地域の変化を踏まえた人材確保事例の共有と発信<市社協> > 活動の組織化における支援事例の集約と発信<市社協> > 身近な地域福祉保健活動団体同士による連携・協力といった事例の集約と情報発信<市社協> > 活動団体等が様々な活動に取り組めるよう、財源獲得を含む課題解決手法の検討・情報提供 <市・市社協> 人材育成・確保/体制強化 > 地域活動者を対象としたフォローアップ研修やリーダー層に向けた研修の充実<市・市社協> > 各種地域活動の持続可能な運営のための負担軽減に向けた支援<市> > 各種地域活動の役割を補いあえる人材の確保に向けた支援<市> > 既存の活動時間や内容にとらわれない、働く世代が地域活動に参加しやすい体制づくり <市・市社協> 【55ページ】 > 関係組織・団体のデジタル技術の有効活用の推進<市> > 「ネットワーク機能を生かして困りごとを抱える人を支える」という地区社協の目的・方向性の共有 <市社協> > 地区社協活動の充実・強化の方針に関する区社協及び地区社協向け研修<市社協> > コロナ禍による地域の変化を踏まえた地区社協支援<市社協> > 区域、地区連合町内会圏域等における地域人材の発掘・養成に係る事例の集約と発信<市社協> > ニーズに合わせた助成金制度の見直し<市社協> 交流等の場の充実 > 地区連合町内会、地区社協、地区民児協等の地域の活動団体と行政や関係機関がお互いの強みを生かし協働する場の創出<市> > 各種制度や枠組みを超えた取組の検討のための場づくり<市> <指標> (活動指標) 現状値(R4年度) 地域活動者を対象としたフォローアップ研修やリーダー層に向けた研修の実施回数 245回 (関連する直接アウトカム指標) 現状値(R4年度) B住民同士が地域課題の解決に向けて話しあえている 指標:協議体の開催数(生活支援体制整備事業) 682回 E多様な主体による地域活動が広がる 指標:・地域貢献活動を実施している社会福祉法人数 ・民間事業者と連携した見守り参加事業者数 222法人 56事業者 F多様な主体が地域課題を共有している 指標:地域ケアプラザが事務局機能を果たしている地域福祉団体・機関とのネットワーク数 781件 ※ 評価指標については、84ページを参照 【56ページ】 トピックス:子どもの居場所団体等の連携を通じた地域づくり  ○現在、南区では28の団体(2022年12月時点)が「子どもが居場所につながり地域で見守りはぐくむ地域づくり」を目指して食事提供や学習支援等を通じた活動をしています。  ○令和4(2022)年から区全体を4エリアに分けたエリア会議を開催し、活動上の課題を共有し解決に向けた検討や団体の強みを生かした連携を進めています。  このエリア会議により、車を所持している団体がフードバンクかながわ等から受け取った寄付品をエリア内の他団体に配送する取組が生まれ、団体同士の助け合いに繋がっています。最近では、映画会などの合同イベントの開催、SNSを活用した情報発信、障害者が担い手として活躍する機会が創られるなど、エリア内の連携・取組が広がっています。  ○今後は、担い手不足、子どもたちにも分かりやすい啓発媒体の必要性といったエリア別会議であがっている課題について、区域で検討し取り組んでいく予定です。 トピックス:災害時における情報伝達のデジタル化  ○神奈川区の大口仲町池下町会では、災害時の安否確認や電子回覧板といった機能があるアプリを2021年4月から運用しています。大口仲町池下地区はひな壇状の宅地造成で丘陵地が多く、歩行路が狭いうえ30メートルもの高低差で勾配がきつい地域です。会長は災害発生時の共助に不安を覚え、災害時支援チームを結成し、要援護者と支援チーム員(要援護1世帯につき2人)をグループ化しましたが、緊急時に従来の電話連絡では情報伝達に時間がかかりすぎるため、「結ネット」というスマホアプリを導入しました。このアプリの特徴は、平常時には町内会の情報のほか、市や区のHPにアクセスでき、もしものときには「災害モード」になり、緊急の連絡がリアルタイムでできるようになることです(イメージ図参照)。  ○アプリの活用により、災害時には支援チームなど近所の助け合いがスムーズに行えることが期待されます。これまで「災害モード」を使うほどの大災害は起きていませんが、実際の地震の際には情報伝達の迅速化が実現しました。  ○また、アプリでの情報発信を始めたことで、公園清掃等の行事参加者が増えたり、こども会役員の仕事が軽減するなどの効果も出ているとのことです。 【57ページ】  (2) 社会福祉法人・企業・学校等の主体的な参画に向けた支援 <現状・課題> > 昨今の社会環境の変化に伴い、社会福祉法人は、社会福祉事業に係る福祉サービスの供給確保の中心的役割を果たすとともに、他の事業主体では対応できない様々な福祉ニーズを充足することにより、地域社会に貢献していくことが求められています。 > 地域と社会福祉法人・企業等が連携した取組が広がっていますが、コロナ禍の影響を受け、今までの取組が思うように進められなくなりました。 > 子どもの頃から地域とつながることにより、地域に愛着を持ち、地域ぐるみで子育てをしていく風土づくりへとつながることから、学校を核とした地域づくりの視点が重視されています。 > 多様な主体が地域のニーズや連携先の強みを生かした取組を行うためには、支援機関のきめ細かな支援が必要であり、単発的な取組から継続的な連携を通じた地域づくりへと広げていくことが求められています。 > 地域課題解決に向けた取組に、多様な主体がそれぞれの役割や特徴を生かして、参画できるような支援機関によるコーディネートが必要です。また、様々な活動団体や活動者がつながる交流の機会や場を更に増やしていくことで、互いに気軽に相談できる関係づくりを支援していくことが必要です。  取組のポイント  社会福祉法人・企業による地域貢献活動の促進  地域と学校の連携・協働の推進  多様な主体が連携して地域課題を解決するための支援 <取組> 情報発信・啓発 > 社会福祉法人が地域の活動団体と連携・協働する意義や必要性の周知<市> > 市社協の会員施設の種別ごとの部会や研修等、様々な機会を通じた地域貢献活動の意義や必要性の周知<市社協> > 企業・商店等へ向けた地域の課題、必要な支援についての情報発信<市> > イベントなどを通じた子どもの頃から地域に興味・関心を持ってもらうための情報発信<市> 連携強化・ネットワーク構築 > 地域課題の解決に向けた地域、社会福祉法人・施設、企業・商店、NPO等のコーディネート <市社協> > 社会福祉法人・施設、企業・商店、NPO等の強みを生かした社会貢献のコーディネートと先駆的な 取組の実践<市・市社協> 【58ページ】 > 地域と学校、関係機関が連携した、不登校やひきこもり、ヤングケアラー等への対応に向けた検討・対策の実施<市・市社協> > 多様な主体が連携し、継続的に取組が進められるよう、支援機関によるコーディネートの促進<市> > 地域の課題共有や解決の検討に向けた区社協と会員施設の連携強化支援<市社協> > 寄付の仕組みを生かした多様な主体による課題解決へ向けたコーディネート<市社協> > 災害ボランティアセンターの設置・運営に関する検討やシミュレーション等を通じた、関係機関の連携強化<市・市社協> 事例・ノウハウの共有 > 社会福祉法人・施設の地域貢献活動の推進に向けた、課題の整理と提案<市社協> > 学校・市民利用施設・社会福祉法人、企業・商店等、それぞれの特徴を生かした地域での活動事例の集約と発信を通じた地域づくりの方向性や視点の共有<市社協> > 市内外の企業による取組事例や様々なデータの提供等による、多様な主体と地域がつながるための取組支援<市> > 各地域に向けて多様な主体が既に協働している先進事例を周知する場の提供や周知方法の検討・実施<市> > NPOと地域、関係機関等が連携した、生活課題、地域課題への対応事例の集約と発信<市社協> > 市社協の会員組織としてのネットワークなどを活用した地域活動、地域づくりを協働する事例の集約とその分析を通じた視点・取組の方向性の共有ノウハウの集約<市社協> 人材育成・確保/体制強化 > 社会的な課題や地域課題の解決に向けた住民と企業が連携した取組等、多様な主体の連携に関する新たな事業の試行実施<市社協> > 不登校やひきこもり、ヤングケアラー等の学齢期の課題対応に向けた、地域と学校、関係機関による検討と対応策の実施<市・市社協> > 課題や地域ニーズの把握と多様な主体の活動をマッチングできるような人材・団体の育成<市> > 市社協の会員施設や団体と連携した福祉人材の確保・育成支援<市社協> 交流等の場の充実 > 地域協議会の設置、開催を通じた社会福祉法人が地域と共に地域の福祉ニーズを検討する機会の提供<市> > 様々な活動団体や活動者がお互いの強みや経験を知る、つながる交流の機会や場づくり<市> 【59ページ】 <指標> (活動指標) 現状値(R4年度) ・共創「リビングラボ」の活動団体数 15団体 ・横浜市市民協働条例に基づく協働事業数 242事業者 (関連する直接アウトカム指標) 現状値(R4年度) E多様な主体による地域活動が広がる 指標:・地域貢献活動を実施している社会福祉法人数 222法人 ・民間事業者と連携した見守り参加事業者数 56事業者 F多様な主体が地域課題を共有している 指標:地域ケアプラザが事務局機能を果たしている地域福祉団体・機関とのネットワーク数 781件 ※ 評価指標については、P.84を参照 トピックス:民間企業と連携した見守りネットワーク事業「いそまる」 磯子区社協では企業、商店などの異業種の民間事業者と連携し、ゆるやかな見守り体制の構築や協力事業者同士のつながりを進めていくことを目指し、見守りネットワーク事業を推進しています。 きっかけは生命保険会社から区社協へ地域貢献活動の相談があったことです。生命保険会社の営業職は、顔なじみの顧客の異変や、街中で気にかかる人を見かけた際に相談機関につなぐなどできることで協力したいとのことでした。そこで、業務を通じたゆるやかな見守りをしながら、個人情報に配慮しつつ異変を感じた住民の様子を関係機関と共有することなどを定めた協定を締結しました。協定ではほかにも、営業職のスキルアップを目的とした研修の開催や、協力事業者同士のネットワークづくりを目的とした連絡会を開催することも定めています。 このネットワークは、区内の協力事業者が気になる人を重層的に見守ることを目指し、名称を「磯子で見守る」ことを意識し、「いそまる」と名付け、ロゴマークを作成しました。 また、動物病院とも協定を締結し、多頭飼育をしている飼い主の背景にある、認知症や高齢による寂しさなどの相談について、地域ケアプラザなどの支援機関と情報共有をしています。 地域に根差した様々な企業、商店と連携しながら、きめ細かい見守りのネットワークが広がることを目指しています。 【60ページ】 トピックス:まちと学生がつながり・つながる“まちづくり”「まち×学生プロジェクト」 2015年10月、神奈川区六角橋地区を中心としてまち(自治会)、地域ケアプラザ、大学生が協働し「まちづくり」を考え創るプロジェクト「まち×(かける)学生プロジェクト」が発足しました。 〇きっかけは「同じまちに住む学生にもまちづくりに参加してもらいたい」という要望でした。まちと学生が直接顔を合わせて話し合う中で、『学生とまちの情報共有の場』『学生のイベントにまちが』『まちのイベントに学生が』そのような関係性を構築することで、よりよいまちづくりができるのではないかと動き出しました。 〇地道な関係づくりの成果として「六(ろく)神(じん)祭(さい)」をはじめ認知症啓発活動を地元商店街や企業等と協働して取り組む「オレンジプロジェクト」、まちの誰もがまちづくりに参画できる「キャンドルナイト」等、 様々な活動が発展し、まちのあらゆる人がつながる大きな“支えあいの輪”が生まれています。 〇コロナ禍(非常時)には、平時に培ってきた関係があればこそ自治会、商店街、大学、市社協、ケアプラザ等多くの団体が結束し、コロナ禍で生活に困る学生の食・職支援「まちSHOKU」を実施しました。学生の「食」支援だけでなく、まちの「職(仕事)」を応援し、「お互いさまでつなぐ」、「地域でともに生活する」をコンセプトに、コロナ禍でも活動の形を変えながら活動を継続し現在に至っています。2022年には持続可能な団体活動の継続の為、「NPO法人格」を取得しました。 〇「世代や立場を超えて一緒になってまちを盛り上げる」そして既存のコミュニティを活性化させ、よりよい社会を実現させるため、地域の中であらゆる団体が協働し“つながり”を持てるまちづくりの推進を行っています。 【61ページ】  (3) 区役所・区社協・地域ケアプラザ等の協働による地域を支える基盤づくり <現状・課題> > 区役所・区社協・地域ケアプラザ等の支援機関は、地区別支援チームを組織し、各職種の専門性を生かして地区別計画の策定・推進に関わり、地域を支援しています。 > それぞれの支援機関の総合力を発揮して住民・関係機関等との協働による課題把握・解決への取組を進めています。 > 地域における生活課題は複合化・複雑化しているため、区役所・区社協・地域ケアプラザ等において一層連携・協力し、解決を図ることが大切ですが、共有・検討・解決を図る場づくりは十分とは言えない状況です。 > 支援機関は、目指す地域像を共有し、その達成に向けて各機関が果たすべき役割を確認しながら、地域を継続的に支援する体制づくりが引き続き必要です。  取組のポイント 地域特性を踏まえた地域支援の推進 個別支援と地域支援の一体的な推進に向けた地区別支援チームの総合力の発揮 包括的な支援の体制づくりに向けた関係機関の連携・協働 <取組> 情報発信・啓発 > データ活用の推進など、住民や関係機関が協働により地域課題を解決するための基盤を構築 <市> > 生活困窮、いわゆる「8050問題」、ヤングケアラー等、複合化・複雑化した課題への地域支援の必要性について、講座等で周知<市> 連携強化・ネットワーク構築 > 区役所・区社協・地域ケアプラザの各事業担当者会議や職員研修の実施による組織間・職種間の連携促進<市・市社協> 事例・ノウハウの共有 > 生活困窮、いわゆる「8050問題」、ヤングケアラー等、複合化・複雑化した課題の対応事例の共有<市・市社協> 【62ページ】 > 「地域ケアプラザ業務連携指針」に基づく地域ケアプラザの職種間連携事例の集約と共有 <市・市社協> > 区役所・区社協と地域ケアプラザの連携による地域支援実践事例の集約と情報発信<市社協> > 区社協、地域ケアプラザの実践に基づく手引きの作成・見直し<市社協> > 行政等から地域に提供される情報を地域支援に有効活用していくための手法の提示<市社協> 人材育成・確保/体制強化 > 支援機関が、地域の課題を住民目線で捉え、支援者として関わるスキルを身につけるための研修の実施<市・市社協> > 職員のコーディネート力の向上を目的とした区社協、地域ケアプラザ向け研修の実施 <市・市社協> > 地域のニーズに合わせた地域ケアプラザの機能の検討<市> > 複合化・複雑化する課題に対する支援機関としての解決策の検討と施策化<市・市社協>  > 地区別支援チームの総合力を発揮し、個別支援と地域支援を一体的に進めるための視点の共有 <市・市社協>  > 多機関連携により支援が必要な人を地域につなげる意識の醸成と情報の共有<市> > 地区別計画の策定・推進支援のための研修、会議等の実施<市・市社協> > 身近な地域のつながり・支えあい活動推進事業等を通じた、地域における切れ目のない支援とそれが実現できる地域づくりへの実践の方向づけ・支援<市社協> <指標> (活動指標) 現状値(R4年度) 地域福祉保健計画に関する職員研修の実施回数 80回 (関連する直接アウトカム指標) 現状値(R4年度) G地域における個別の困りごとを関係者が連携して受けとめられる(支援者がひとりで抱え込まない) 指標:民生委員・児童委員が困りごとを相談されたときの相談先と連絡調整回数(委員相互・その他関係機関) 445,859回 H個別課題解決の視点を持った地域支援ができている 指標:個別課題を見据えた地域支援の検討をした地区別支援チーム数 255件 ※ 評価指標については、84ページを参照 【63ページ】 トピックス:地域ケアプラザ 〜地域の身近な福祉・保健の拠点〜  地域ケアプラザは、高齢者、子ども、障害のある人など、誰もが地域で安心して暮らせるよう、身近な福祉・保健の拠点として様々な取組を行っている横浜市独自の施設です。概ね中学校区を目安に、市内の各地域に設置されています。  地域の皆様の福祉・保健活動やネットワークづくりを支援するとともに、住民主体による支えあいのある地域づくりを支援しています。また、地域の中での孤立を防ぎ、支援が必要な人を把握して支援していくとともに、地域の課題を明らかにして地域住民と一緒に解決に取り組んでいます。  人を支える支援には、「専門的な支援(事業所や専門機関が提供するサービス等)」と「地域住民による支援(地域住民による自主的な取組や支えあい活動)」があり、日々の暮らしを切れ目なく支えるために、両者は一体的に行われる必要があります。地域ケアプラザは、個人を直接支援するだけでなく、その人に対して、「専門的な支援」と「地域住民による支援」を両輪で進められるよう、それぞれの取組や活動等を支援しています。  地域ケアプラザには複数の職種が配置されているため、それぞれの専門的な知識や視点を生かして各事業を連動させ、地域ケアプラザ全体で地域に根差した取組を行っています。 【64ページ】 3  多様性を尊重した幅広い市民参加の促進 【全体の方向性】 障害のある人や外国人、性的少数者など、様々な立場や背景、価値観の違いといった多様性を理解し、尊重しあえる地域づくりを進めます。 また、身近な地域で交流し、つながり、社会に参加する機会を創出・拡充するとともに、一人ひとりの状況に合わせた健康づくりを推進します。 デジタル技術の活用など、アフターコロナも含めた新たな時代や環境の変化に即したつながりづくり等も検討・創出します。  (1) 多様性を理解し、尊重しあえる地域づくり <現状・課題> > 誰もが自分らしく暮らしていくためには、一人ひとりの立場や背景を踏まえて、それぞれの生き方や存在を相互に理解し、尊重しあえる意識をより一層高めていくことが大切です。 > 障害のある人や外国人、性的少数者など、様々な立場や背景のある人に対する偏見や差別があることで助けを求めにくい状況や、家族が抱え込んでしまっている状況があります。 > 福祉教育や啓発活動を通して、多様性の理解や困難な状況にある人を受け止める地域づくりが進められていますが、生きづらさの背景は多様化かつ複合化しており、より多くの人に理解を広めていく必要があります。 > 障害当事者同士や団体、相談支援機関の交流やネットワークは広がりつつあるものの、障害によるコミュニケーションの難しさもあり、障害のある人の中にはつながりが希薄であると感じている人もいます。 > 同じ地域で尊重しあって暮らすためには、日常の中でつながり、互いの状況を踏まえ、得意なことや不得意なことを理解し、支えあう関係性が育まれていくことが大切です。 取組のポイント 立場や背景、価値観の違いを理解し、尊重しあえる風土づくり 日常のつながりの中での相互理解の推進 【65ページ】 <取組> 情報発信・啓発 > 学校での多様性の理解につながる周知、啓発<市> > 地域住民の多様性の理解につながるような活動等の周知<市> > ソフトとハードが一体となった地域づくりの推進、多様性を尊重し、安心して自由に生活できる福祉のまちづくり等に関する情報提供及び理解促進<市> > 困ったときに、互いに支えあう関係づくりを構築できるよう、市と区の連携による関係機関や地域に向けた啓発<市> > まちづくり等、福祉保健に限らず関連する他分野と連携した地域づくりの推進と支援制度の周知<市> > 障害への理解の促進と活動機会の拡充に向けた、障害者施設等の自主製品販売や作業受注に関する情報発信<市・市社協> > 障害のある人等の当事者講師による理解促進の取組拡充<市社協> > 多様性への理解を促進するための啓発ツールの作成と頒布<市・市社協> 連携強化・ネットワーク構築 > 国際交流ラウンジ、市民協働推進センター、市民活動・生涯学習支援センター、市民利用施設等の様々な社会資源と関係機関等の多文化共生と地域福祉のつながりを意識したネットワーク構築 <市> 事例・ノウハウの共有 > 多様性への理解を促進するため、安心、安全に地域活動を続けられる工夫等の取組事例の共有  <市> > 多様性への理解を促進するプログラムの検討と運用方法の提案<市社協> 人材育成・確保/体制強化 > 地域の中で高齢者、障害のある人、子ども・若者、外国人等との出会いやつながる機会の創出 <市・市社協> > 障害への理解を進めるため、障害のある人等による当事者講師の養成<市社協> 交流等の場の充実 > 同じ悩みを持った人や仲間とつながる場の提供<市> > 多様性を理解しあう関係づくりに向けた、障害のある人等との共通体験の場の拡充<市社協> > 世代や障害、国籍等様々な人が、立場や背景を超えて参加できる緩やかな場の創出<市> 【66ページ】 <指標> (活動指標) 現状値(R4年度) 多様性理解啓発プログラム実施回数 206回 (関連する直接アウトカム指標) 現状値(R4年度) I多様な立場や背景、価値観の違いを知る機会が増える 指標:・学校の福祉教育の参加者数 ・福祉のまちづくりの研修参加者 新たに集計 285人 ※ 評価指標については、P.84を参照 【67ページ】 トピックス:支え手としての当事者団体の取組  「横浜市障害者社会参加推進センター」では、障害の有無にかかわらず、誰もが家庭や地域で明るく暮らせる社会づくりに向けて、「障害者自らによる様々な社会参加促進施策」を実施し、地域における自立生活と社会参加を推進しています。  その中でも、ピア相談事業は、障害者本人やその家族が相談員となって、同じような環境や悩み、経験を生かして困りごとの相談に応じています。ピア相談のご利用者からは、「当事者同士で相談できたことによる安心感やよく話を聞いてもらい、当事者目線による地域の社会資源やサービスにかかる情報提供をしてもらえた」といった感想が寄せられており、当事者同士ならではのきめ細かい相談が行われています。  そのほか、当事者としての視点を踏まえたパンフレットや動画の作成、学校・地域・事業所等が福祉学習を行う場合の講師(障害当事者等)の紹介やDVD教材の貸出等の相談に応じるなど、地域に向けた普及啓発などにも取り組んでいます。 トピックス:当事者団体と協力して実施する啓発の取組と当事者支援事業  LGBTなど性的少数者は私たちの身近に存在しています(人口の3〜10%)。しかし、学校や職場、家族、そして地域社会からの誤解や偏見などを恐れ、周囲に悩みを伝えたくても伝えられずにいる人もいます。  性的少数者が抱える課題にきめ細やかに対応するためには、柔軟な行動力等を生かして啓発や相談に取り組む当事者団体との連携が不可欠です。横浜市では、市内の当事者団体と丁寧に対話しながら、様々な施策に取り組んでいます。 《当事者団体と連携・協力している取組の一部》  性的少数者やその家族などの悩みや困りごとにまつわる展示等、多様な性について「自分に身近なこと」として考えるきっかけづくり  性的少数者の方々が悩みを誰にも相談できずに孤立し、ひきこもりや自死という深刻な状況に追い込まれることを防止することを目的とした、市内の当事者団体による性的少数者専門の相談窓口や当事者同士の交流スペースの提供 ※ 「働き方と暮らしの多様性と共生」研究チーム(2019 年)「大阪市民の働き方と暮らしの多様性と共生にかんするアンケート」、株式会社LGBT 総合研究所(2019 年)「LGBT 意識行動調査2019」、電通ダイバーシティ・ラボ(2018)「LGBT 調査2018」 など トピックス:福祉のまちづくりの推進  横浜市では、福祉のまちづくり条例に基づき、平成11(1999)年から「横浜市福祉のまちづくり推進指針(以下「推進指針」という。)」を策定しています。  令和3(2021)年に公表した新しい推進指針(令和3(2021)年度〜7(2025)年度)では、福祉のまちづくりにあまり関わりがなかった人にも親しんでいただけるよう「ふくまちガイド」という愛称をつけました。  ふくまちガイドは、主に福祉のまちづくりを推進し、横浜が目指す姿である 「ビジョン(未来像)」、ビジョンを実現するための大切な考え方である4つの「ポリシー(理念)」、ポリシーを踏まえ、ビジョンを実現するための「アクション(行動)」で構成されています。  横浜は、開港当初から国内外の様々な文化を受け入れて発展してきました。  その中で培われた多様性を大切にする風土を将来につなげ、横浜に関わる全ての人のアクション(行動)を積み重ねることで、ふくまちガイドが目指す 「安心して自由に生活できるインクルーシブ(全ての人が受け入れられ、参加できる)なまち」の実現につながります。  福祉のまちづくりは、障害のある人もない人も、子どもから大人まで誰もが安心して自由に生活できるよう、市、事業者、市民の三者が連携して推進することが求められています。  皆さんも、ふくまちガイドをきっかけに、ちょっとしたことから始めて、地域の活動に拡げてみませんか。 【68ページ】 トピックス:世代や国籍を超えてつながる、地域のみんなの居場所「ぷらっとkiricafe」  2023年1月、地域コミュニティカフェ「ぷらっとkiricafe」は、緑区霧が丘にオープンしました。 「地域の人が繋がれる、誰でもぷらっと立ち寄れるカフェ」がコンセプトとなっており、多世代(お子様からご年配の方)・多国籍の方など誰でも気軽に立ち寄っておしゃべりしながら、コーヒーやランチを楽しんでいただける場所としてNPO法人霧が丘ぷらっとほーむが運営しています。  この場所ができるきっかけになったのは、「みどりのわ・ささえ愛プラン(緑区地域福祉保健計画)」の話し合いで霧老連(シニアクラブ)の課題として「居場所づくり」が提案されたことでした。  昭和50年代にベッドタウンとしてできたまちは、年月が経ち、少子高齢化やインド人移住者の増加により、多世代・多文化が混ざり合う特色のあるまちへと変化しました。  居場所づくりの取組を進める中で、「シニア世代」、「子育て世代」、「多文化共生」の団体が出会い、三者が協働するNPO法人「霧が丘ぷらっとほーむ」が設立されました。  平日(月火木金)はランチ、土曜はモーニングの営業をしており、曜日によって、日本語教室や学習支援などの時間もあります。その他にも楽しく、ためになる多世代・多文化交流イベントや地域の学びあいの機会になるような様々なイベントが開催されています。  カフェでは、地域に暮らすシニア世代、子育て世代、月曜日にはインドのお母さんが一緒においしい料理を作りながらキッチンを支え、ホールスタッフとしても活躍しています。 シニア世代の男性がランチに訪れ、スタッフとも話が弾んでいたり、学校帰りに子ども達が立ち寄って声をかけてくれるなど、自然と交流ができ、笑顔があふれる場所です。  また、普段出会えない立場の人々の交流の場であり、インド人の子どもたちにシニアの人が折り紙を教えるなど、世代も国籍も超えたつながりが生まれるきっかけにもなっています。  霧が丘地区では地域に住む様々な立場の人がつながり、「楽しむ」、「小さな困ったことを助け合う」、「学び合う」という、地域に住む人みんなで解決できる仕組みを作ることで、人の温かさが感じられる地域を目指しています。 【69ページ】  (2) 交流・つながり、社会に参加する機会の創出と拡充 <現状・課題> > 就労地と居住地の分離や、世帯の少人数化などにより、地域における住民相互の「つながり」が徐々に希薄化しています。日々の暮らしの中で、多様な世代や様々な状況にある人が地域で知りあい、つながる仕掛けや働きかけが必要です。 > 令和3年度横浜市市民意識調査では、何かの形で社会に役立つことをしたいと考える人が6割近くいる一方、参加している地域活動が「特にない」と回答した人も約6割となっています。多くの人が自分ができる範囲で地域福祉活動に関わる機会を増やし、地域のニーズとつなげ、誰でも社会貢献ができることを改めて発信していくことが求められています。 > 横浜市の在住外国人は10万人を超え、今後更なる増加が見込まれます。就労や地域活動などに取り組みたいと考える外国人も多く、地域を支える存在になれるような環境整備が求められています。 > コロナ禍においては、SNSによる情報発信やオンライン会議等といった新たな方法によるつながり づくりが生まれました。また、身近なつながりや支えあいが途絶えないよう、地域で培ってきた取組の意味を再確認する動きもありました。さらに、これまで地域活動をしていなかった人も、寄付などを通じた新たな参加が生まれました。 > 市内では趣味やスポーツ等、様々な生涯学習・市民活動が行われています。身近な地域で交流し、つながることは、地域の課題や変化に気付くきっかけになります。気付きを自分事として捉えて、できることから取組を広げることで、自分の居場所や生きがいが見つかり、支えあう地域へとつながっていきます。様々な活動の中にある福祉保健活動としての要素を大切にする必要があります。 > 多様な世代が身近な地域でつながっていくためには地域で子どもを育てるという視点を重視し、こどもの頃から地域とつながるきっかけづくりが必要です。また、乳幼児期から学齢期・青年期、働く世代、高齢者や障害のある人、一人ひとりの状況や価値観に合わせた多様なつながりのきっかけづくりが求められています。 > 地域活動の担い手不足や多様化する地域課題に向きあうため、地域福祉保健活動に関わる人材の裾野を広げていく必要があります。 取組のポイント 身近な地域で交流し、つながることの大切さの共有 多様な世代や背景の人と人、人と組織がつながる場や機会の拡充 生きがい・楽しみと福祉保健活動の一体的な推進 子どもの頃から地域とつながるきっかけづくり 時代や環境の変化に即したつながりづくりの検討・創出 【70ページ】 <取組> 情報発信・啓発 > 地域の支えあいの取組や福祉保健活動の趣旨の地域住民・関係機関・団体への発信・啓発 <市社協> > 地域福祉保健計画の理念、目指す姿の広報・啓発<市> > できる事から気軽に参加できる活動の情報発信<市> > 一人ひとりの価値観や生活状況にあった多様な選択肢のある地域活動について情報発信<市> > 趣味やスポーツ等の実施内容をはじめ、曜日や時間帯、所要時間等、きめ細かな参加メニュー情報の集約・提供<市社協> > デジタル技術を活用した幅広い世代に向けた地域活動の情報発信<市> > 地域学校協働本部、学校・地域コーディネーターの目的や役割について地域住民、関係機関・団体へ理解の促進及び周知<市> > あらゆる人に役割や出番があるといった地域づくりの方向性の発信<市社協> > 寄付を身近に感じ、多くの市民が参加したいと思える寄付文化の醸成に向けた取組<市社協> 連携強化・ネットワーク構築 > 乳幼児、小中高生、若者、妊婦、子育て世代等が地域とつながるための、地域子育て支援拠点、青少年の地域活動拠点、保育所、幼稚園、学校等と地域が連携した取組の推進<市・市社協> > 地域と学校、社会福祉法人、企業・商店、NPO等のつながりづくりの支援<市> > 学校運営協議会等の仕組みを活用し、地域と小学校・中学校が協働し、より良い地域社会を実現するための支援策の推進<市> > 学校・地域コーディネーター等の機能を生かした、小中高生の地域の活動への参加の促進<市> 事例・ノウハウの共有 > 誰もが役割を持って主体的に参加できる地域の居場所等の意義や効果、事例の集約と共有 <市社協> > 自身の興味関心が社会参加や自らが地域活動の担い手になることへとつながる環境づくりに関する情報の集約と発信<市社協> > 趣味や生きがい活動と福祉保健活動を一体的に進める取組事例の集約と共有<市社協> > 職業上の得意分野を生かした地域貢献活動の取組事例の共有<市> 人材育成・確保/体制強化 > 社会参加や地域貢献に関する市民向けの研修、ワークショップ等の開催<市> > 各地域活動者を対象としたフォローアップ研修やリーダー層に向けた研修の実施<市・市社協> > ボランティア活動を通じた社会参加プログラムの検討と支援メニューとしての提案<市社協> 【71ページ】 > 職業上のスキルや専門知識を生かした人材の活用<市> > 市民活動・生涯学習支援センターの地域課題に合わせたコーディネート機能の強化<市> > 趣味や特技等を生かして、地域活動に関わってもらえるような地域の人材とのつなぎ役の育成 <市> > 子どもの居場所に関する団体・関係機関への活動支援、研修等の実施<市・市社協>  > 学校・地域コーディネーターの養成講座の実施と学校への配置<市> 交流等の場の充実 > 乳幼児から高齢者まで幅広い世代、外国人、障害のある人等、様々な人が個人の状況、価値観に合わせて、誰もが参加しやすく地域とつながりを持てるための多様な交流の場や機会の創出 <市・市社協> > 防災訓練等の地域の活動・行事への高齢者、障害のある人、妊婦、子ども、外国人等、様々な状況にある人の参加・参画の促進<市・市社協> > それぞれの活動の特徴を生かしながら多世代交流や見守り等につなげられるような可能性の検討、活動の支援<市・市社協> > 地域活動の新たな手法、デジタルの活用へ向けた支援<市> > 子ども食堂や学習支援、地域のフリースペース等、子どもの居場所の実態把握と拡充支援 <市・市社協> <指標> (活動指標) 現状値(R4年度) 地域活動への参加のきっかけとなる講座の開催回数 165回 (関連する直接アウトカム指標) 現状値(R4年度) J幅広い市民参加に向けて、これまで参加できなかった人が参加できる地域活動が広がっている 指標:・市民協働推進センター及び区市民活動支援センターの相談件数 16,761件 ・市民意識調査で「市民が地域活動に参加している」と回答した割合 41.1% Kつながりや交流による健康づくりを行う人が増える 指標:通いの場への参加率 10.6% L身近な地域に健やかに過ごすための場所や機会が増える 指標:健康づくり、保健活動の視点を重視した地域主体の取組数 821件 ※ 評価指標については、P.84を参照 【72ページ】 トピックス:ボランティア体験を通じて地域ぐるみで青少年を育む 〜青少年の地域活動拠点の取組〜 ○「青少年の地域活動拠点」は市内に7か所あり、中高生世代が安心して気軽に集える居場所と、社会参加プログラム等の体験活動や多世代交流等の機会を提供する場です。 ○都筑区青少年の地域活動拠点「つづきMYプラザ」では、「都筑区青少年指導員連絡協議会」と連携して、小学5年生〜高校生を対象に、夏休みボランティア体験活動「はぁとdeボランティア」を実施しています。2008年度から開始し、2022年度まで延べ1,265か所の体験先で、3,211名の青少年がボランティア活動をしました。 ○ボランティア体験は、青少年が、地域とつながり、社会参加を通して成功体験を積み重ね、自己肯定感を持つきっかけとなります。 ○大人たちは、青少年がボランティア活動に参加し、多世代交流、多様な協働体験を通して、社会性、自主性を身に付けることを応援します。また、青少年の受入れ先に、青少年への理解を持ってもらえるよう働きかけ、地域ぐるみで青少年を育てます。 ○青少年の地域活動拠点と青少年の成長を支える青少年指導員、そして地域が連携し、未来を担う少年を育む「はぁとdeボランティア」は、地域の可能性に気付き、新たなエネルギーを生む、地域に欠かすことのできない取組となっています。 トピックス:国際交流ラウンジにおける相互理解・活躍促進の取組 ○急速な在住外国人人口の増加に伴い、文化や習慣の違いなどにより、地域で暮らす在住外国人と日本人との間に誤解や溝が生じることがあります。 ○このため、身近な多文化共生の拠点である「国際交流ラウンジ」のうち、外国人の集住が進む一部の区では、スタッフが外国人と日本人の相互理解や外国人の活躍促進の取組を進めています。 ○具体的には、自治会町内会の会合へスタッフが参加し、外国人との共生に際し生じている困りごとをヒアリングした上で、在住外国人への生活ルールの普及啓発に努めるとともに、日本人と外国人が交流を持つ機会を設けることなどを通じて、相互の理解を深め、互いに安心して暮らせるまちづくりを進めています。 ○あわせて、在住外国人の地域活動への参画を促す取組も行い、誰もが自分らしく活躍できるまちづくりや地域活性化に取り組んでいます。 ○例えば、なか国際交流ラウンジでは、学習支援教室の卒業生である外国につながる若者が活動グループとして地域のお祭りや清掃活動などに参加しているほか、映画製作等などにも取り組み、若者の自己表現の機会としても機能しています。 【73ページ】 トピックス:学生の学びを生かしたボランティア活動 〇学校法人岩崎学園情報科学専門学校の先生から、「学生が学んでいることを生かして地域の困りごとの解決につなげたい」、「地域の方と交流することで学生にとって貴重な経験としたい」との相談をきっかけに、地域の高齢者を対象としたSNS活用のスマホ講座を開きました。コロナ禍で対面できる機会が持てない中でしたが、SNSやオンラインミーティングなどで準備を重ねた結果、手作りのテキストなどを用いた学生による講座は、参加者に大変好評でした。 〇講座に参加した高齢者から「デジタル社会に置いていかれるのではないか不安」と聞いた学生からは、「これからの授業の中で高齢者がICTのツールやサービスを練習するためのアプリを作ってみたい」といった今後につながるような感想がありました。 トピックス:趣味をきっかけとした地域活動への参加(レコード鑑賞会) 「レコード鑑賞会」の活動は平成30(2018)年「地域づくり塾かなざわ」での最終課題「新たな社会資源を生み出す」の企画の中から誕生しました。コロナ禍でも密にならないよう工夫し、毎月第2火曜日に金沢区にある瀬戸町内会館で活動を続けています。 寄贈していただいたレコードや、懐かしいレコードを持ち寄り、音楽を聴きながらおしゃべりを楽しむ「レコード鑑賞会」。ジャンルは歌謡曲からジャズまで取り揃え、どなたでも楽しめるようにしています。当時の思い出や、それ以外のお話でも自由にお話しながらの仲間づくり。 参加者から「懐かしい曲に心が和む」、「生活に張り合いができている」、「外出する機会ができて嬉しい」との声が寄せられるなど、地域での良い人間関係ができました。また、高齢者の参加も多いため、見守りの機会にもなっています。 「レコード鑑賞会」が地域活動に参加していただけるきっかけになればよいと考えています。 【74ページ】  (3) つながりを通じた健康づくりの推進 <現状・課題> > 健康づくりの活動は、世代を超えて身近な地域で広がり、市民の社会参加の機会となり、生きがいにもつながっています。 > コロナ禍の影響で地域の健康づくり活動の場や機会が減少し、心身の健康状態の低下や社会的孤立の増加が懸念されました。日常の人とのつながりを通じた健康づくりの重要性が再認識されました。 > 健康に関心がない人や、地域とつながりのない人へ健康づくりの働きかけが届きにくい現状があります。人と人のつながりを通じて、身近で気軽な健康づくりの活動を多くの市民に広めていく必要があります。 > 病気や障害のある人もない人も、全ての人が、一人ひとりの状況に合わせて健やかに過ごせるための環境づくりが必要です。 > 人と人のつながりを通じた健康づくりの推進の意識の醸成は、徐々に広まりつつありますが、更に多くの住民に意識の定着を図り、健康づくりの活動を広げていくことが必要です。 > うつ病、依存症などこころの病気に対する誤解や偏見をなくしこころの健康の保持増進に努めていけるよう環境づくりが必要です。 取組のポイント 様々な状況にあっても一緒につながることができる健康づくりの推進 一人ひとりの状況に合わせて健やかに過ごすための環境づくり 地域住民、関係団体、医療機関、教育機関、企業・商店など様々な主体による健康づくりの推進 <取組> 情報発信・啓発 > 乳幼児から高齢者まで、ライフステージに合わせた運動や食事、睡眠等の適切な生活習慣について、学校、医療機関、関係機関、企業等を通じた周知・啓発<市> > 身近な場所で気軽に参加できる健康づくりに関するイベント、講座等の情報の周知<市> > 地域で健康づくりに関わる機関・団体・グループの活動内容の周知<市> > 気軽に参加できる交流の場、イベント等の場所での健康づくりに関する情報の普及・啓発<市> > 疾病の早期発見のために、特定健診やがん検診の定期的な受診の勧奨<市> > 生涯にわたって健康な歯・口腔を維持するため歯科健診の定期的な受診の勧奨<市> > 様々な分野の活動者に向けた、地域でのつながりを通じた健康づくりの考え方の広報・啓発<市> 【75ページ】 > 障害等の状態に合わせた運動や食事、睡眠等の適切な生活習慣について、医療機関、関係機関、企業等を通じた周知・啓発<市> > 市民へ向けた、人とつながりを保つこと、普段の生活の中で生きがいや楽しみを見つける事の重要性の周知・啓発<市> > こころの健康について症状が深刻化する前の段階での見守りや相談・受診につながるように、地域での理解の促進<市> > 自殺対策、依存症対策についての市民に向けた広報・啓発<市> > SNSなど様々な手法を活用した若い世代への健康情報の普及啓発<市> > 災害、感染症等の予期せぬ危機的な事態でも健康を維持するための行動、備えの啓発<市> 連携強化・ネットワーク構築 > 地域での仲間づくりを通した健康づくり活動の組織化支援<市・市社協> > 地域の活動者、企業、商店街、医療機関、教育機関、関係機関等との連携を通じた幅広い世代や様々な状況の人への健康づくりの推進<市> > 保健活動推進員や食生活等改善推進員等の、地域や様々な分野の活動団体や関係機関同士のつながりづくり<市> 事例・ノウハウの共有 > 地域と学校、関係機関、企業等の具体的な健康づくりの取組事例の紹介<市> 人材育成・確保/体制強化 > 保健活動推進員や食生活等改善推進員等、健康推進に関わる団体・関係機関、地域住民への健康課題の変化や地域の課題についての情報提供や研修等の実施<市・市社協> > 健康づくりに関わるグループ、団体の活動継続の支援<市> 交流等の場の充実 > 保健活動推進員や食生活等改善推進員、地域活動団体と連携した身近な地域での健康づくり活動の推進<市> > 老人クラブ(シニアクラブ・シルバークラブ)や地域の親子の居場所等と連携した健康づくり講座の推進<市社協> > デジタル技術を活用した健康講座や交流の場の開催<市> 【76ページ】 <指標> (活動指標) 現状値(R4年度) 保健活動推進員・食生活等改善推進員の研修実施回数 186回 介護予防人材の発掘と支援の実施回数 165回 (関連する直接アウトカム指標) 現状値(R4年度) Kつながりや交流による健康づくりを行う人が増える 指標:通いの場への参加率 10.6% L身近な地域に健やかに過ごすための場所や機会が増える 指標:健康づくり、保健活動の視点を重視した地域主体の取組数 821件 ※ 評価指標については、P.84を参照 トピックス:港南区「笹寿会」(老人クラブ)の「自立と支援」をモットーにつながり、交流、まちづくり 〇 港南区「笹寿会」は笹下台団地で活動しています。現在高齢化率44%のこの団地は、丘の上に位置し、高齢化による住民の外出困難、孤立・孤独化、交流頻度の低下といった課題があります。そのため「笹寿会」では「自立と支援」をモットーに解決手段を考案・実現してきました。 〇 取組例@ 「ささカフェ」 住民の孤立・孤独化を防ぐため月1回、集いの場づくりとして「ささカフェ」を開催。最初からこうすべきという決まりを作らず、アイディアなどを生かして、変化を楽しみながら活動を続けています。富士山が見えるこの場所で、お茶を飲みながら皆で集まり交流しています。 〇 取組例A 「ささげ台マルシェ」                          朝市「ささげ台マルシェ」は移動車店舗による食料品、地域の手工芸品・パンなども購入できます。外出して立ち寄り、自然に交流の機会となっています。この取組により、団地内で様々な世代の交流が増え、地域の活性化にもつながっています。 〇 取組例B 「ラジオ体操」、「モルック」 マルシェの日に合わせ、同じ場所で「ラジオ体操」と「モルック(北欧発アウトドアスポーツ)」も同時に開催。楽しく交流しながら、健康維持増進になっています。 【77ページ】 トピックス:つながりで健康づくり〜保健活動推進員、食生活等改善推進員の地域の取組〜 〇 横浜市保健活動推進員として、横浜市長から委嘱を受けた約3,800名の市民が活動しています。 地域の健康づくりの推進役で、行政の健康づくり施策のパートナーです。2023年には、制度発足か ら75周年を迎えました。 〇 自ら健康づくりを実践するとともに、家族や周囲の人に広め、地域全体で健康づくりを実践できるようなきっかけづくりや、健康づくりを継続するための支援を行っています。企画開催にあたっては、区福祉保健センターはもちろんのこと、地域のネットワークを生かし、医師・歯科医師・薬剤師、地域ケアプラザやスポーツセンター等の専門家の協力を得ながら取り組んでいます。 〇 市や区における活動報告会等で、お互いの取組を発表し合い、切磋琢磨しながら、活動の視野を広げています。地域のつながりを生かし、楽しむことも大切にする健康づくりの活動は、保健活動推進員らしさであり、横浜市にとってかけがえのないものとなっています。 保健活動推進員の地域の取組 食生活等改善推進員(ヘルスメイト)の地域の取組 〇 食生活等改善推進員(愛称:ヘルスメイト)は、「私たちの健康は、私たちの手で」のスローガンのもと、地域ぐるみの健康づくりを目指し全国で活動するボランティアグループです。各区福祉保健センターで実施する食生活等改善推進員養成講座を修了した市民で構成されています。 〇 46道府県、5市に協議会がある全国組織で、全国で約11万人、横浜市では市内18区全てに組織されており、約1,300人の推進員がいます。子どもから高齢者までの全ての世代を対象に、食を通じた健康づくりを推進するため、健康課題やニーズを踏まえて、地域に密着した活動を行っています。 【78ページ】 【79ページ】 第 5 章  推進体制 1 推進体制 2 推進の視点 3 計画の評価方法 【80ページ】 1  推進体制 @ 策定・推進委員会【附属機関】  市民委員、各分野の活動関係者及び学識経験者等で構成し、地域福祉保健計画の策定・推進・評価に関する検討及び決定を行います。 A 横浜市地域福祉保健計画・横浜市地域福祉活動計画検討会  横浜市と市社協が共同で事務局を運営し、地域福祉保健計画と地域福祉活動計画の策定・推進・評価に関する意見交換を行い検討を進めます。   また、必要に応じテーマ別検討会を設置し、重点的に検討を進めます。 B 関係局区検討プロジェクト   市の関係局区が連携して、地域福祉保健の推進に向けた取組を総合的・横断的に進めるための検   討、連絡調整を行います。  計画の推進にあたっては、行政・社協・地域ケアプラザが、生活課題や地域課題の解決に向けたコーディネートの中心を担います。また、各区、各地区で地域福祉保健計画を推進していく際も、区役所・区社協・地域ケアプラザの三者が連携しながら、その役割を果たしていきます。  しかしながら、地域づくりは支援機関だけで行うものではありません。横浜の地域社会には、多様な人材と活発な市民の力が豊富にあります。また、地域住民だけでなく、施設、企業・商店、NPO、学校等、地域には様々な主体の参画も進んでいます。  住民・支援機関・関係機関等が連携し、住民主体の地域運営が行われるよう、協働して取組を進めていきます。 【81ページ】 2  推進の視点  社会情勢や家族機能の変化等を背景に生活課題が複雑・多様化する中で、社会的孤立や制度の狭間の問題、複合的な課題など、一人ひとりの状況に合わせて包括的に対応していくことが求められています。  地域福祉保健計画は、高齢者、障害のある人、子どもといった分野別計画を横断的につなぎ、地域の視点から共通する理念、取組推進の方向性を地域住民と支援機関、関係機関で共有し、地域における暮らしの充実を目指すものです。誰もが孤立することなく、一人ひとりの困りごとを受け止め、支えあう地域づくりに向けて、地域福祉保健計画の推進を通して、支援機関が共通して持つべき視点・姿勢を「推進の視点」として整理します。    (1) 地域住民と支援機関・関係機関の協働により、地域福祉保健を推進する  地域においてこれまで築いてきた身近な支えあいを継続し更に高めていくためには、地域の課題に気付き解決するまでの過程において、地域住民の主体的な参画が不可欠です。暮らしの中での変化への気付きや、生活の延長線上での声かけ、気にかけあいといったことは、同じ地域に暮らしているからこそできるものです。  支援機関は、そうした地域住民の主体性を大切にしながらも、住民任せとせず、地域とともに課題や目指す姿を共有し、合意形成を図りながら、解決に向けて主体的に取り組みます。  また、横浜の地域社会には、多様な人材と活発な市民の力が豊富にあります。地域住民だけでなく、施設、企業・商店、NPO、学校等、地域の関係者を幅広く捉え、それぞれが参画できるよう働きかけていきます。  (2) 一人ひとりの暮らしに着目して支える  なんらかの「支え」が必要になっても、これまでの生活やつながりを途切れさせることなく自分らしく暮らしていくためには、地域との関係性の継続・構築も踏まえた上で、制度やサービスと地域住民の支えあいを一体的に捉えて支援する必要があります。また、地域共生社会の目指す、支え手・受け手を超えた双方向の関係性は、これまでの暮らしの中にこそ、その人なりの強みや出番につながるヒントがあります。  一人ひとりの価値観やどのように暮らしていきたいのかという思いに着目し、これまでの暮らしやつながりを大切にします。 【82ページ】  (3) 既存の枠組みにとらわれず解決に向けて取り組む  地域では、様々な創意工夫により、数多くの支えあいの取組が生まれています。しかし、地域で新たな取組を始めようとしたときに、既存の制度や規制により、思うように進められないといったケースもあります。  また、社会の変容や生活課題の複雑・多様化により、これまでの支援制度では解決できない課題が増えています。  支援機関は既存の制度や業務の枠組みの中で捉えるのではなく、課題解決に向けて、各組織内、関係機関との連携を強化し、分野横断的な体制を整えながら、施策化や事業化も含めて、粘り強く取り組みます。 【83ページ】 3  計画の評価方法  (1) 計画の評価時期 * 第5期横浜市地域福祉保健計画の評価は、2026(令和8)年度に中間評価を実施し、計画期間後半の取組の推進方策に反映させます。 * その後、計画推進の最終年度の2028(令和10)年度には計画期間全体を通しての推進状況について最終評価を行い、次期の計画策定に生かしていきます。  (2) 評価の基本的な考え方 * 地域福祉保健計画の策定・推進にあたっては、取組を定めて進めていくとともに、その取組の進捗や成果・効果等を定期的に振り返り、確認した上でその後の活動に生かしていくことが重要となります。 * その一方で、第5期横浜市地域福祉保健計画の目指す姿である「認めあい」、「つながり」、「ともに」は、第5期横浜市地域福祉保健計画に記載された取組以外にも様々な取組と合わせて目指すものです。 * また、誰もが安心して自分らしく健やかに暮らせる地域づくりは長い年月をかけて進めていくものであり、第5期横浜市地域福祉保健計画の計画期間である5年間では、その成果を適切に測ることが困難です。 * したがって、評価については、「取組の良し悪しを判断する」のみではなく、「どのような変化があったか」、「次期計画に向けて何が必要か」を関係者間で話し合い、取組の推進や次期計画策定に生かすことを重視します。  (3) ロジックモデルを活用した評価 * 第5期横浜市地域福祉保健計画の評価では、取組と目指す姿の関係を明確にし、関係者間でのコミュニケーションを促進することを目的に、ロジックモデルを活用した評価を実施します。 * ロジックモデルは、取組が目標に至るまでの流れを、フローチャートの形で論理的に説明するものです。 * ロジックモデルを評価に取り入れることで、以下のような効果が期待できます。 > 目的と手段の因果関係をビジュアルで示すことができ、その考え方を関係者間で共有することができます。 > 目指している状態を明確に定義することで、妥当な評価指標を設定することができます。 > 取組が総覧化されるので、足りない取組や不要な取組に気付くことができます。 * 第5期横浜市地域福祉保健計画のロジックモデルは、次のページに示しています。 【84ページ】 第5期横浜市地域福祉保健計画のロジックモデル  以下のロジックモデルでは、第5期横浜市地域福祉保健計画の目指す姿である、「認めあい」、「つながり」、「ともに」と各取組の因果関係を図示しています。取組によって生じる変化・効果(アウトカム)を段階的に示し、最終的な目標(最終アウトカム)にどのようにつながっているかを整理しています。 活動 (5期の取組) 1(1) 日常的なつながりを通じた住民による支えあいの充実 指標 地域の取組を共有する機会の数 1(2) 課題解決に向けた住民 関係機関 団体の連携 指標 (複合的な課題を抱えた人を支援するため、)地域住民と専門職による会議の開催数 1(3) 身近な地域における総合的な権利擁護の推進 指標 区協議会(区成年後見サポートネット)参加者数 1(4) 生活困窮者支援を通じた地域づくり 指標 生活困窮者自立支援制度支援会議の参加者数 2(1) 地域における関係組織 団体の体制の強化 指標 地域活動者を対象としたフォローアップ研修やリーダー層に向けた研修の実施回数 2(2) 社会福祉法人 企業 学校等の主体的な参画に向けた支援 指標 ・共創リビングラボの活動団体数 ・横浜市市民協働条例に基づく協働事業数 2(3) 区役所 区社協 地域ケアプラザ等の協働による地域を支える基盤づくり 指標 地域福祉保健計画に関する職員研修の実施回数 3(1) 多様性を理解し、尊重しあえる地域づくり 指標 多様性理解啓発プログラム実施回数 3(2) 交流 つながり 社会に参加する機会の創出と拡充 指標 地域活動への参加のきっかけとなる講座の開催回数 3(3) つながりを通じた健康づくりの推進 指標 ・保健活動推進員、食生活等改善推進員の研修実施回数 ・介護予防人材の発掘と支援の実施回数 直接アウトカム 1 困りごとを抱えた人に気付く機会が増える 指標 つながりを目的とした地域主体の取組数 2 住民同士の日常のつながりが増える 指標 把握されている住民主体の交流居場所の数 3 住民同士が地域課題の解決に向けて話しあえている 指標 協議体の開催数(生活支援体制整備事業) 4 孤立している人が身近な地域でつながる機会がある 指標 ・生活困窮者自立支援制度相談者数 ・社会的孤立の防止につながる地域主体の取組数 5 意思決定に支援が必要な人も、地域の中で自分らしく暮らせる 指標 相談支援機関における権利擁護に関する相談取扱件数  6 多様な主体による地域活動が広がる 指標 ・地域貢献活動を実施している社会福祉法人数 ・民間事業者と連携した見守り参加事業数 7 多様な主体が地域課題を共有している 指標 地域ケアプラザが事務局機能を果たしている地域福祉団体、機関とのネットワーク数 8 地域における個別の困りごとを関係者が連携して受けとめられる 指標 民生委員 児童委員が困りごとを相談された時の相談先と連絡調整回数(委員相互、その他関係機関) 9 個別課題解決の視点を持った地域支援ができている 指標 個別課題を見据えた地域支援の検討をした地区別支援チーム数 10 多様な立場や背景、価値観の違いを知る機会が増える 指標 ・学校の福祉教育の参加者数 ・福祉のまちづくりの研修参加者 11 幅広い市民参加に向けて、これまで参加できなかった人が参加できる地域活動が広がっている 指標・市民協働推進センター及び区市民活動支援センターの相談件数 ・市民意識調査で「市民が地域活動に参加している」と回答した割合 12 つながりや交流による健康づくりを行う人が増える  指標 通いの場への参加率 13 身近な地域に健やかに過ごすための場所や機会が増える 指標 健康づくり、保健活動の視点を重視した地域主体の取組数  中間アウトカム A 住民の支えあいが充実する 指標 市民意識調査(近所との付き合い方)で「困ったとき、相談したり助け合ったりする」と回答した割合 B 困りごとを抱える人が安心して自分らしく暮せる 指標 市民意識調査(満足している公共サービス)で福祉的支援の項目を回答した割合 C 多様な主体の連携 協働による、地域課題の解決に向けた活動が充実する 指標 地域とNPO法人、企業等が連携した取組の実施数 D 住民 関係機関 団体が連携して、複雑 多様化した課題を抱えた人に継続的に寄り添い、関われている 指標 住民を含む関係機関、団体の見守り情報共有の場の数 E 住民が多様性を理解し、尊重しあえる 指標 市民意識調査で「文化の違いや多様性を認め合う風土」/「高齢者や障害者も暮らしやすい」を回答した割合 F 住民のつながりを通じて健康が増進される 指標 市民意識調査(主観的な健康観)で「満足」と回答した割合 最終アウトカム 認めあい(お互いに尊重し、安心して自分らしく暮せる地域) つながり(気にかけあい、支えあい、健やかに暮らせる地域) ともに(助けが必要な人も、手を差し伸べる人も、ひとりで抱え込まない地域) 活動から直接アウトカム、中間アウトカム、最終アウトカムに至る流れの例は次のとおりです。 活動(5期の取組) アウトカムの達成に向けた取組の内容 ・日常的なつながりを通じた住民による支えあいの充実 直接アウトカム 取組の結果として生じた変化、効果 ・困りごとを抱えた人に気づく機会が増える ・住民同士の日常のつながりが増える 中間アウトカム ・住民の支えあいが充実する 最終アウトカム ・認めあい つながり ともに 活動(5期の取組) アウトカムの達成に向けた取組の内容 ・課題解決に向けた住民、関係機関団体の連携 ・生活困窮者支援を通じた地域づくり 直接アウトカム 孤立している人が身近な地域でつながる機会がある 中間アウトカム 困りごとを抱える人が安心して自分らしく暮らせる 最終アウトカム 認めあい つながり ともに 活動(5期の取組) アウトカムの達成に向けた取組の内容 ・課題解決に向けた住民、関係機関団体の連携 ・生活困窮者支援を通じた地域づくり ・区役所、区社協、地域ケアプラザ等の協働による地域を支える基盤づくり 直接アウトカム地域における困りごとを関係者が連携して受け止められる(支援者がひとりで抱え込まない) 中間アウトカム 住民、関係機関、団体が連携して複雑、多様化した課題を抱えた人に継続的に寄り添い、関われている 最終アウトカム 認めあい つながり ともに 活動(5期の取組) アウトカムの達成に向けた取組の内容 ・身近な地域における総合的な権利擁護の推進 直接アウトカム 取組の結果として生じた変化、効果 ・意思決定に支援が必要な人も、地域の中で自分らしく暮らせる 中間アウトカム 困りごとを抱える人が安心して自分らしく暮らせる 最終アウトカム ・認めあい つながり ともに 活動(5期の取組) アウトカムの達成に向けた取組の内容 ・地域における関係組織、団体の体制の強化 直接アウトカム 住民同士が地域課題の解決に向けて話しあえている。 中間アウトカム 困りごとを抱える人が自分らしく暮せる 最終アウトカム 認めあい つながり ともに 【85ページ】  (4) 評価内容・手順 @ 評価に必要な情報の収集 * ロジックモデルの「5期計画の取組」では、地域や関係機関・支援機関がどのような取組をどれくらい実施できたかという観点から定量データ(数値で把握できる情報)と定性データ(数値で表せない質的情報)を把握します。 * 「直接・中間アウトカム」では、取組が地域にどのような変化をもたらしたか、抱えている課題と解決に必要なことは何かという観点から必要な定量データと定性データを把握します。 * 定性データは、地域や関係機関・支援機関の取組や課題について、区役所等を対象としたヒアリング(もしくは紙面調査)により情報を収集します。 A 定量評価・定性評価の実施 * 上記で収集したデータを基に、ロジックモデルの「中間アウトカム」ごとに評価を実施します。 * 評価結果を踏まえて、「最終アウトカム」について最終評価(定性的なまとめ)を行います。取組の進捗状況とその結果や成果、地域や住民の変化、課題などについて総合的に振り返ります。 * 関係者間での話し合いを通じて、最終評価を確定します。確定した最終評価は、住民・関係機関・支援機関等で共有するとともに、今後の取組推進にも活用します。 【71ページ】 参考:ロジックモデルとは何か 第5期横浜市地域福祉保健計画の評価で活用するロジックモデルとは、取組が目標に至るまでの流れをフローチャートの形で論理的に説明するものです。ロジックモデルの考え方は、様々な場面で活用することができます。ここでは、「地域のお祭り」を題材とした簡易な例でロジックモデルについて説明します。 「地域のお祭りが盛り上がる」を最終アウトカムとしたロジックモデルの例です。最終アウトカムは、事業において達成したい最終的な状況を指します。ロジックモデルを作成する際には、原則として最終アウトカムの検討から始め、目指す状況を達成するために必要なことを逆算して検討します。 今回の例では、「地域のお祭りが盛り上がる」という最終アウトカムを「お祭りに遊びに来る人が増える」・「お祭りの企画内容が充実する」という2つの中間アウトカムに落とし込み、更に「お祭りを知る人が増える」といったより具体的なアウトカム(直接アウトカム)を設定しています。そして、直接アウトカムを達成するために必要な取組を左側に整理しています。 このようにロジックモデルを作成することで、計画した取組と目指す状況の関係が適切か、必要な取組が網羅されているかどうかについて関係者で検討することが容易になります。 取組 アウトカムの達成に向けた取組の内容 ・ポスターを掲示する ・チラシを配布する ・SNSでの周知を行う 直接アウトカム ・お祭りを知る人が増える 中間アウトカム ・お祭りに遊びに来る人が増える 最終アウトカム ・地域のおまつりが盛り上がる 取組 ・トイレを増やす ・交通整理を行う バリアフリールートを作る 直接アウトカム ・参加への障壁画減る 中間アウトカム お祭りに遊びに来る人が増える 最終アウトカム 地域のお祭りが盛り上がる 取組 ・地域の団体や飲食店に周知する ・学校の部活に依頼する 直接アウトカム 出店、企画への応募者が増える 中間アウトカム お祭りの企画内容が充実する 最終アウトカム 地域のお祭りが盛り上がる 取組 ・地域の企業に協賛を依頼する 直接アウトカム 予算が増える 中間アウトカム お祭りの企画内容が充実する 最終アウトカム 地域のお祭りが盛り上がる