【表紙】 横浜市一般廃棄物処理基本計画(素案) 横浜市   目次 01 第1 計画策定の基本的な考え方 01 1 計画策定の趣旨 02 2 計画の位置づけ 03 第2 ごみ処理の現状と課題 03 1 これまでの取組 07 2 現在の課題 13 3 現在の課題を踏まえた方向性 15 第3 基本理念と基本方針 15 1 基本理念 15 2 計画期間 15 3 基本方針 16 4 目標・進行管理 18 5 市民・事業者・行政の役割 20 6 処理量の見込み 21 第4 政策と具体的取組 21 政策1 プラスチック対策の推進 25 政策2 食品ロス削減の推進 28 政策3 環境学習・普及啓発の推進 31 政策4 多様な社会ニーズへの対応 35 政策5 安定したごみの収集・運搬・処理・処分 37 政策6 将来を見据えた施設整備 40 <資料編> 第1 計画策定の基本的な考え方 1 計画策定の趣旨  我が国の廃棄物行政を取り巻く社会状況は、時代とともに変化してきました。戦前の公衆衛生の観点による適正処理に始まり、高度経済成長期の大量生産・大量消費・大量廃棄に対応した焼却・埋立処分を中心とした廃棄物対策から、3R(リデュース(Reduce発生抑制)・リユース(Reuse再使用)・リサイクル(Recycle再生利用))の推進を含めた施策に舵を切ってきました。  本市においては、2003(平成15)年1月に策定した「横浜G30プラン(以下「G30プラン」という。)」に基づき、分別・リサイクルを進め、ごみの大幅な削減を達成しました。そして、2011(平成23)年1月に「ヨコハマ3R夢プラン(以下「3R夢プラン」という。)」を策定し、3Rの中でもっとも環境にやさしいリデュースの取組に重点を置いた施策を進めてきました。  現在では、2030(令和12)年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標、いわゆるSDGsが掲げられています。加えて、地球規模の課題である気候変動や生物多様性の損失の解決に向け、温室効果ガスの排出を実質ゼロとしていく「脱炭素社会の実現」が喫緊の課題となっています。  本市でも、地球温暖化対策の推進とともに、市内経済の循環と持続可能な発展を目指す「横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例」を2021(令和3)年に制定するなど、2050(令和32)年までの脱炭素化を目指す「Zero Carbon Yokohama」の実現に向けた取組を加速させています。  こういった時代の変化を踏まえ、とりわけ海洋汚染や温室効果ガスの主な排出要因であるプラスチック対策の重要性が高まっていることから、3R夢プランの計画期間終了を待たず、脱炭素社会の実現に向けた施策を盛り込んだ「横浜市一般廃棄物処理基本計画(2023(令和5)年度~2030(令和12)年度)(以下「本計画」という。)」を新たに策定します。あわせて、SDGsの達成に資する食品ロス削減の取組、廃棄物処理施設の老朽化対策や超高齢社会への対応など、時代の変化に伴う様々な課題に着実に対応していきます。本市の最大の強みである市民・事業者・行政の協働のもと、力強く取組を進めることで、誰もが快適に暮らし、将来世代に良好な環境を引き継ぐことを目指します。 ここに図1があります。 横浜市一般廃棄物処理基本計画の変遷の図です。 最初の一般廃棄物処理基本計画の期間は1993(平成5)年度に策定されて、2002(平成14)年度までの計画でした。 次のG30プランは2002(平成14)年度に策定されて、2010(平成22)年度までの計画でした。 さらに次の3R夢プランは2010(平成22)年度に策定されてました。 今回の計画はそれに続くもので、2030(令和12)年度までの期間を想定しています。 図1の説明は終わりです。 2 計画の位置づけ  本計画は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)」第6条第1項により、市域内の一般廃棄物の処理について定めるもので、2030(令和12)年度までを見通した中長期的な計画です。 【参考】廃棄物処理法に基づき定めることが必須の項目 ・一般廃棄物の発生量及び処理量の見込み ・一般廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項 ・分別して収集するものとした一般廃棄物の種類及び分別の区分 ・一般廃棄物の適正な処理及びこれを実施する者に関する基本的事項 ・一般廃棄物の処理施設の整備に関する事項  「食品ロスの削減の推進に関する法律(以下「食品ロス削減推進法」という。)」第13条第1項の規定による食品ロス削減推進計画や2019(令和元)年に策定した「よこはまプラスチック資源循環アクションプログラム」、産業廃棄物の適正処理に関する施策も含む、廃棄物行政における総合的な計画とします。  なお、「横浜市の持続的な発展に向けた財政ビジョン」・「横浜市中期計画」・「行政運営の基本方針」との整合を図るとともに、「横浜市環境管理計画」や「横浜市地球温暖化対策実行計画」などの環境関連の計画とも理念を共有しています。 ここに図2があります。 本計画と関連する計画等の関係の図です。 一般廃棄物処理基本計画は廃棄物処理法などに基づいており、環境管理計画に紐づく分野別計画となっています。 図2の説明は終わりです。   第2 ごみ処理の現状と課題 1 これまでの取組  本市では、2003(平成15)年1月に策定した「G30プラン」に基づき、全量焼却・埋立処分を中心とした廃棄物対策からの転換を図り、市民・事業者・行政の協働のもと、分別・リサイクルを進めることで、ごみの大幅な減量を達成してきました。  そして、「G30プラン」を礎に、さらなる環境負荷の低減と循環型社会の実現に向け、2011(平成23)年1月に「3R夢プラン」を策定し、ごみの発生そのものを抑制する「リデュース」をはじめとした3Rの取組を進め、ごみ量は削減傾向を維持しています。 (1) 市民の皆様が主体的に行った取組 ・分別・リサイクルはもちろんのこと、マイバッグ・マイボトルの持参、詰替え商品の購入、食品ロス削減、土壌混合法による生ごみの堆肥化など、市民の皆様による様々な3Rの取組が進んでいます。 ・ごみや資源物を排出する集積場所は、場所の選定から日々の清掃、ネットなどの物品の購入・管理まで市民の皆様により行われています。集積場所の維持管理が安定的に行われていることが、ごみや資源物の効率的な収集につながっています。 ・家庭から出される古紙・古布については、市内全域で、地域の自主的な取組である資源集団回収によりリサイクルが行われています。 ・地域での自主的な清掃活動や清掃イベントへの参加など、市民の皆様の日頃からの活動に支えられ、まちの美化が保たれています。 (2) 事業者の皆様が主体的に行った取組 ・事業者の皆様の事業活動に伴って生じたごみ(事業系ごみ)について、事業者自らの責任において、減量・リサイクルを行い、適正な処理をしています。 ・製造・販売事業者などの皆様による自主回収・再資源化を行うことで、減量・リサイクルが進んでいます。 ・木くずのバイオマス燃料化や食品廃棄物のリサイクルループの構築、ペットボトルからペットボトルへの水平リサイクルなど、環境と経済の観点から様々な資源循環の取組を進めています。 ・廃棄物処理する事業者の皆様においても、家庭から出される缶・びん・ペットボトルなどの収集・運搬、資源集団回収における資源物の収集・運搬、事業系ごみの処理など、市内で発生するごみの適正処理とリサイクルを進めるうえで重要な役割を担い、市内の静脈産業をしっかりと支えています。 (3) 行政が主体的に行った取組 ・家庭から出されるごみ(家庭系ごみ)の安定的な収集・運搬の実施、廃棄物処理施設の適切な維持管理や計画的な補修により、ごみの適正処理を行っています。 ・新型コロナウイルス感染症の流行や災害発生など、いかなる時も安全で安定したごみ処理を継続できるよう、取組を進めています。 ・ごみ出しが困難な方に対する支援やまちの美化の取組など、市民の皆様のニーズを踏まえた取組を進めています。 ・市民の皆様が環境への関心を高め、3R行動に取り組んでいただけるよう、地域での出前講座や様々な媒体を活用した広報を行っています。 ・小学4年生を対象とした副読本の配布、焼却工場での見学受入れなど、環境教育や環境学習を進めています。 ・プラスチック対策や食品ロスの削減に向けて、地域での説明会や店頭啓発における市民の皆様への働きかけや、事業所への立入調査などの機会における事業者の皆様への呼びかけを行っています。 (4) 3R夢プランの振り返り 2011(平成23)年1月に策定した3R夢プランのもと、3Rの推進により環境への負荷を低減し、将来の子どもたちに良好な環境を引き継いでいくことを目指し、市民・事業者・行政の協働のもと、取組を進めてきました。 ア 計画目標 (ア) もっとチャレンジ・ザ・3R  ごみと資源の総量を2025(令和7)年度までに10%以上削減(2009(平成21)年度比) (イ) ごみ減量からはじめよう脱温暖化  ごみ処理に伴う温室効果ガス排出量を50%以上削減(2009(平成21)年度比) (ウ) ごみ処理の安心と安全・安定を追求  ごみ処理のすべての段階で、安心と安全・安定を追求 (エ) 具体的施策 ・環境学習・普及啓発 ・リデュース(発生抑制)の推進 ・家庭系ごみ対策 ・事業系ごみ対策 ・ごみの処理・処分 ・きれいなまちづくり ・その他 イ 計画目標に対する進捗 (ア) ごみと資源の総量(目標:2025(令和7)年度までに10%以上削減)  ごみと資源の総量の2022(令和4)年度の実績は、基準年度である2009(平成21)年度に比べ、9.0%削減となっています。食品ロスの削減やマイバッグの利用、容器包装の軽量化・薄肉化など、市民・事業者の皆様の様々な3Rの取組により、削減傾向を維持しています。 ここに図3があります。 ごみと資源の総量の推移(2009~2022年度)の図です。 2009年度には127.5万トンであったものが、2022年度には116.0万トンであり、削減傾向となっています。 図3の説明は終わりです。 (イ) ごみ処理に伴う温室効果ガス排出量※1(目標:2025(令和7)年度までに50%以上削減)  ごみ処理に伴う温室効果ガス排出量の2022(令和4)年度の実績は、基準年度である2009(平成21)年度に比べ、15.2%削減となっています。焼却工場において焼却するごみに含まれるプラスチック類の量に大きく影響を受け、ごみ処理において温室効果ガス削減が進んでいるとは言い難い状況です。 ※1 3R夢プランにおける温室効果ガス排出量は、ごみの焼却や施設でのエネルギー使用、車両の走行などに伴い排出される量からごみ発電によるCO2削減効果を加味して算出 ここに図4があります。 ごみ処理に伴う温室効果ガス排出量(2009~2022年度)の図です。 2009年度は28.2万トンの排出量で、2022年度には23.9万トンになっています。 図4の説明は終わりです。 (ウ) ごみ処理の安心と安全・安定を追求  安定的なごみの処理を継続しており、ごみの分別収集・リサイクルに対する市民満足度は「バス・地下鉄などの便」に続き、2位となっています(2022(令和4)年度横浜市民意識調査、15年連続2位)。また、地震や豪雨などの被害を受けた都市に対し、災害廃棄物の処理に関する支援を行ってきました。 【参考】3R夢プランにおける施策の実施状況(資料編46ページに掲載しています。) 2 現在の課題 (1) ごみや資源物の排出状況と市民の皆様の環境意識の推移  ごみの減量・リサイクルに関心がある市民の割合は、60%前後で推移しており、主な資源物の分別協力率※2も横ばいで推移していることから、分別・リサイクルの取組が市民の皆様に一定程度定着していると考えられます。また、3R夢プラン策定以降、市民1人1日あたりのごみと資源の排出量(原単位)は削減傾向にあり、3Rに対する意識が広がってきていることが読み取れます。 一方、家庭から出される燃やすごみの内訳をみると、生ごみのおよそ半分はまだ食べられるにも関わらず廃棄されている食品(食品ロス)となっているほか、分別の対象であるプラスチック製容器包装や古紙などが含まれています。  事業所から出される燃やすごみについても、約50%を生ごみが占めているほか、資源化可能な古紙や産業廃棄物であるプラスチックが含まれていることから、発生抑制(リデュース)を進めたうえで、資源化可能なものは分別・リサイクルすることで、ごみとなるものを極力減らしていくことが重要です。 ※2 排出された資源物の総量のうち、正しく分別され資源化された量の割合 ここに図5があります。 ごみの減量・リサイクルに関心がある市民の割合(2018~2022年度) 数値は60%前後となっています。 出典:「2022年度環境に関する市民意識調査」(横浜市環境創造局)における「環境や環境の取組に関心がある」かつ「ごみの減量・リサイクルに関心がある」と回答した割合の図です。 図5の説明は終わりです。 ここに図6があります。 主な資源物の分別協力率の推移(2009~2022年度)の図です。 プラスチック製容器包装は65%前後で推移しており、びん、缶、ペットボトルは95%以上で推移しています。 図6の説明は終わりです。 ここに図7があります。 市民1人1日あたりのごみと資源の排出量の推移(2009~2022年度)の図です。 2009年度には676g/人・日でしたが、2022年度には569g/人・日と107gも削減しています。 図7の説明は終わりです。 ここに図8があります。 家庭から出される燃やすごみの組成※3及び食品ロスの状況(2022年度)の図です。 家庭から出される燃やすごみの33.9%は生ごみで、そのうち48.1%が食品ロスとなっています。 図8の説明は終わりです。 ※3 湿基準で表示しています。 ここに図9があります。 事業所から出される燃やすごみの組成※4(2022年度)の図です。 事業所から出される燃やすごみの51.1%は生ごみ、19.5%は資源化可能な古紙、7.9%は産業廃棄物のプラスチックが占めています。 図9の説明は終わりです。 ※4 湿基準で表示しています。 (2) 本市及び国内外の状況 ア 人口及び世帯数の推移と推計  本市の人口は2021(令和3)年をピークに減少に転じており、今後も緩やかに減少していくと見込んでいます。一方、高齢者人口は今後も増加していくと見込んでおり、高齢者のごみ出しの支援に対するニーズが高まることが予想されます。  また、世帯数は増加傾向にあり、集積場所の箇所数についても増加する可能性があります。  今後、生産年齢人口(15-64歳)の減少が加速すると、ごみ処理の分野においても担い手不足の懸念があることから、安定的なごみの収集やごみ出し支援のニーズへの対応を継続するため、DX※5などの技術導入を図り、効率性の向上や働き方改革につなげていく必要があります。 ※5 デジタル(Digital)と変革を意味するトランスフォーメーション(Transformation)を掛け合わせた造語で、様々なモノやサービスがデジタル化により便利になったり効率化され、その結果デジタル技術が社会に浸透することで、それまでには実現できなかった新たなサービスや価値が生まれる、社会やサービスの変革を意味する ここに図10があります。 人口の推移及び今後の見通し推計(2011~2030年)の図です。 2011年以降増加しており、2021年をピークに微減していく推計です。 図10の説明は終わりです。 ここに図11があります。 年齢3区分別人口の推移及び今後の見通し推計(2011~2030年)の図です。 2011年以降、65歳以上が増加しており、今後も65歳以上の人口が増加していく推計です。 図11の説明は終わりです。 ここに図12があります。 世帯数の推移及び今後の見通し推計(2011~2030年)の図です。 2011年以降世帯数が増加しており、今後も増加していく推計です。 図12の説明は終わりです。 イ 老朽化が進む廃棄物処理施設の状況と本市の財政状況  本市の廃棄物処理施設の多くは、昭和後期から平成初期にかけて建設しており、老朽化が進んでいます。日々の維持管理や計画的な修繕、さらには長寿命化対策を実施し、可能な限り廃棄物処理施設を長く使用するための取組を進めたうえで、耐用年数を踏まえた適切な再整備などが必要です。  一方で、市全体の財政状況をみると、社会保障経費は増加傾向にあり、施設等整備費も公共施設の保全更新需要などにより、高い水準で推移しています。今後は、人口の減少に伴い市税収入が減少することが見込まれるため、財政状況はより一層厳しくなることが予想されます。 将来にわたって安全で安定的なごみ処理を継続していくため、厳しい財政状況にあっても、歳出削減と歳入確保に着実に取り組みつつ、老朽化が進む廃棄物処理施設の整備や長寿命化対策工事を適切に実施していく必要があります。 ここに図13があります。 廃棄物処理施設の稼働年数(2030年時点)の図です。 40年以上が8施設、35年以上は6施設となっています。 図13の説明は終わりです。 ここに図14があります。 市予算の性質別推移(2003~2022年度)の図です。 社会保障経費は2003年度は19%で2,533億円でしたが、2022年度には34%で6,662億円に増加しています。 出典:「横浜市の持続的な発展に向けた財政ビジョン」(5ページ)より抜粋しています。 図14の説明は終わりです。 ウ 廃棄物行政に関わる国内外の状況  近年、国内外で深刻な気象災害等が頻発しており、今後、地球温暖化による気候変動の進行に伴い、豪雨や猛暑のリスクが更に高まると予想されています。このような中、廃棄物処理法に基づく「廃棄物処理基本方針」が2023(令和5)年6月に変更され、廃棄物分野における脱炭素化の推進が初めて盛り込まれました。  本市が一事業者として排出している温室効果ガスのうち、約4割を廃棄物処理事業が占めており、その9割はプラスチックなど石油由来のごみの焼却により発生しています。脱炭素化の観点から、プラスチック対策を進めていくことが重要です。  2022(令和4)年4月には、気候変動問題や海洋プラスチックごみ問題などへの対応として、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(以下「プラスチック資源循環法」という。)」が施行されました。プラスチック資源循環法は、プラスチックという「素材」に着目し、製品の設計から処理までのライフサイクル全体における3R+Renewable(リニューアブル)※6を基本原則とし、プラスチックの資源循環を促進するための措置を盛り込んだ法律となっています。プラスチックをはじめ、3R+Renewableの取組を進めることで、循環経済へ移行していくことが社会全体に求められています。 ※6 3R(リデュース・リユース・リサイクル)に加え、資源循環をより持続可能な取組としていくため、製品の素材を再生プラスチックや紙・バイオマスプラスチックなどの再生可能な資源に切り替えていく取組のこと(参考:コラム「3Rから3R+Renewableへ」29ページ) ここに図15があります。 ごみ処理に伴い発生する温室効果ガス※7の状況(2020年度)の図です。 市の事業に伴い発生する温室効果ガスの内訳でごみ処理分野は39%を占めており、その内90%がプラスチックなど石油由来のごみの焼却による排出によるものとなっています。 図15の説明は終わりです。 ※7 3R夢プランにおける温室効果ガス排出量(5ページの図4)とは算出方法が異なる ここに表があります。 廃棄物行政に関わる横浜市と国内外の主な出来事の表です。 2011年1月に3R夢プランが策定された以降の主な出来事を示しています。 世界的には2015年にSDGsが国連で採択されました。 国内では2019年に食品ロス削減推進法、2022年にはプラスチック資源循環法が施行されました。 表の説明は終わりです。 3 現在の課題を踏まえた方向性 (1) 更なる行動変容の加速化  ライフスタイル・ビジネススタイルの転換に向け、市民・事業者の皆様の意識を変えていくための働きかけを行うことで、3Rの推進に向けた具体的な行動変容につなげてきました。ごみ量のみならず、資源物も含めたごみと資源の総量(総排出量)は削減傾向を維持しており、3Rに対する意識が市民・事業者の皆様に広がってきています。  これまで培ってきた3Rに対する意識醸成のもと、脱炭素社会の実現・SDGsの達成に向けた具体的な行動の変容へ、もう一段加速化させることが重要です。 (2) 効果的な脱炭素施策の推進  3R夢プランでは、ごみ処理に伴う温室効果ガス排出量の50%削減という高い目標を設定し、分別の呼びかけや、焼却工場における安定的な発電などの取組を進めてきました。一方、燃やすごみの中には、分別の対象であるプラスチック製容器包装が、一定量含まれており、温室効果ガス排出量の目標に対し、削減が進んでいない状況です。  脱炭素社会の実現に向け、プラスチックごみの分別・リサイクルの拡大をきっかけに、使い捨てとなるプラスチックの使用削減や代替素材を使用した製品の利用など、プラスチックごみの削減を一層進めていくことが重要です。 (3) 安定したごみ処理の継続と多様化する市民ニーズへの対応  南本牧廃棄物最終処分場(第2ブロック)については、南本牧第5ブロック廃棄物最終処分場の供用開始までに残容量が不足すると見込まれていましたが、高密度化工事の実施や焼却灰の資源化を実施することで、残容量を確保し、埋立処分を継続してきました。  また、2020(令和2)年から2022(令和4)年に猛威を振るった新型コロナウイルスの影響下にあっても、ごみの収集を1日たりとも止めることなく継続するなど、ごみ処理の安心と安全・安定を追求してきました。  ごみの処理は、安心安全な市民生活と市内経済を支えていくために、必要不可欠な行政サービスです。厳しい財政状況にあってもごみ処理を安定的に行っていくため、歳出削減と歳入確保に着実に取り組み、廃棄物処理施設の老朽化対策や再整備に必要な財源を確保していく必要があります。加えて、DXによる行政サービスの向上と効率化、高齢化に伴うごみ出し支援のニーズ増加への対応や災害への備えなど、多様なニーズを踏まえた取組を進めていくことが重要です。 第3 基本理念と基本方針 1 基本理念  将来にわたってごみの処理を安定的に継続していくとともに、SDGsの達成はもちろん、脱炭素社会の実現や循環経済の移行に向け、果敢に挑戦していきます。  さらに、ごみの処理を通じて、環境、経済、社会的な課題解決に向け、市民・事業者の皆様と共に考え、取り組んでいくことで誰もが快適に暮らし、将来世代に良好な環境を引き継いでいきます。 2 計画期間 2023(令和5)年度~2030(令和12)年度の8年間 3 基本方針 (1) 基本方針1 SDGsの達成と脱炭素社会の実現  2030(令和12)年度温室効果ガス排出量50%削減(2013(平成25)年度比)やSDGsの達成、また、2050(令和32)年「Zero Carbon Yokohama」の実現に向けて、プラスチック対策及び食品ロスの削減を重点的に進めていきます。  さらに、プラスチック対策や食品ロス削減の取組は、海洋プラスチックごみ問題や、世界の飢餓・貧困など様々な社会課題とも関係しており、課題解決に向けて、市民・事業者の皆様と共に考え、具体的な取組を積み重ねていくことで、未来の子どもたちに良好な環境を引き継いでいくことを目指します。  なお、ごみと資源の総量の削減は、環境負荷やごみ処理コスト低減などに資することから、継続して進めていく必要があり、リデュースをはじめとした3R行動につながるよう、環境学習や普及啓発の取組を推進します。 (2) 基本方針2 市民ニーズへの対応と安定したごみ処理  誰もがごみのことで困らない、住みよいまちに向けて、引き続きごみの収集・運搬を着実に実施します。  また、施設の適切な維持管理や、老朽化が進む廃棄物処理施設の整備を着実に進めることで、環境に配慮したごみ処理を将来にわたって安定的に行っていきます。  さらに、ごみ出しが困難な方への支援やまちの美化、災害対策など、多様なニーズを踏まえた取組を進めます。   4 目標・進行管理 (1) 目標  横浜市役所が事業活動により排出する温室効果ガスのうち、ごみ処理に伴って排出される量は約4割を占めており、その大半は、石油由来のプラスチックが焼却されることに起因しています。プラスチックをリサイクルすることで温室効果ガスの排出を抑制するとともに、脱炭素社会の実現に向けて、より一層の行動の変化を促していく必要があります。  今回、市民の皆様が脱炭素の取組についての成果を実感いただき、次の一歩を踏み出していただくために「燃やすごみに含まれるプラスチックごみの量を2030(令和12)年度までに2万トン削減する(2022(令和4)年度比)」目標を設定しました。 (2) 進行管理  基本理念の実現に向け、2つの基本方針に基づき施策を推進します。  本計画の推進にあたっては、燃やすごみに含まれるプラスチックごみの削減状況や施策の推進状況、市民・事業者の皆様の意識・行動変容の状況などを踏まえ、定期的に評価を行います。  目標については、計画の進捗状況や社会状況の変化などを踏まえ、必要に応じて見直しを行います。  また、本市を取り巻く状況に大きな変動があった場合には、計画全体を見直します。 ここに図16があります。 本計画の体系図です。 基本方針ごとに3つの政策が紐づけられており、目標を達成することで基本理念の実現を目指すことを示しています。 図16の説明は終わりです。 <コラム>温室効果ガス削減目標と本計画の目標の関係  「地球温暖化」ではなく「地球沸騰化」とまで言われる今、本市が持続可能な都市として発展していくためには、脱炭素化の強力な推進が不可欠です。  本市は、2030(令和12)年度までに本市の事業活動で生じる温室効果ガス排出量を50%削減(2013(平成25)年度比)することを目指しており、本計画に掲げる「燃やすごみに含まれるプラスチックごみの量を2万トン削減」を達成した場合、市役所全体の排出量のうち約5.5%を削減(廃棄物処理事業では約14%削減)できると見込んでいます。  今後、プラスチックと他素材との複合素材や合成繊維、合成ゴムなどのリサイクルのほか、CCU※8などの脱炭素技術、収集業務における環境負荷低減車両の導入など、現在は技術が確立していない施策を推進することで、廃棄物処理事業においても2030(令和12)年度の温室効果ガス排出量50%削減や2050(令和32)年の脱炭素社会の実現に貢献していきます。 ※8 Carbon dioxide Capture and Utilization(⼆酸化炭素の分離・回収、利⽤)の略 <コラム>3R夢プランで目標としていた「ごみと資源の総量」の位置づけ  これまで、G30プランではごみのリサイクル、3R夢プランではごみそのものを減らすリデュースの取組を進めるなど、「ごみの量」や「ごみと資源の総量」の削減を目標としていました。  本計画では、廃棄物処理法に基づく「廃棄物処理基本方針」の変更(2023(令和5)年6月)により、ごみの減量にとどまらずごみ処理を通じて、脱炭素社会の実現といった社会の要請にも応えることが求められています。  そこで、本計画では、脱炭素社会の実現に向けた取組であるプラスチックごみの分別・リサイクル拡大の成果を市民の皆様に実感していただくため、「燃やすごみに含まれるプラスチックごみの削減量」という具体的でわかりやすい目標としました。  引き続き、市で処理する「ごみの量」や市民・事業者の皆様から排出される「ごみと資源の総量」について、環境負荷やごみ処理コストの低減の観点からも削減を進めるとともに、施策検討の基礎データなどにも活用していきます。 5 市民・事業者・行政の役割  市民・事業者・行政の更なる協働のもと、プラスチック対策・食品ロス削減をはじめとした資源循環の取組を推進することで、脱炭素社会の実現やSDGsの達成、循環経済への移行に貢献していきます。市民・事業者の皆様には、高い環境意識のもと、多様で主体的な取組を進めていただいており、今後こうした取組が活性化し広がっていくよう、行政は働きかけや支援、コーディネートを行います。 ここに図があります。 市民・事業者・行政の役割の概念図です。 市民・事業者・行政が協働して、脱炭素社会の実現やSDGsの達成などに貢献していくことを示しています。 図の説明は終わりです。 (1) 市民の皆様の役割  市民は、自らが暮らすまちや環境問題に関心を持ち、理解を深めることを通じて、日々の生活や行動を見つめ直し、より環境にやさしい行動を主体的に選択する、環境配慮型のライフスタイルへの転換を一層進めていきます。現在、そして未来の横浜を築いていく担い手としての意識を持ち、互いに協力・連携しながら、3R+Renewableやまちの美化に取り組みます。 <具体的取組> ・環境に配慮された製品等を進んで選択・購入します。 ・使い捨てを減らし、ごみになる不要なものは受け取りません。 ・ものを長く使い、まだ使用可能なものは人に譲るなど、大切にします。 ・資源物の回収・リサイクルに積極的に協力し、ごみになるものを可能な限り減らします。 ・ポイ捨てをしないのはもちろんのこと、地域の担い手としてまちの美化活動に積極的に参加します。 (2) 事業者の皆様の役割  事業者は、事業活動のあらゆる段階において、それぞれの業態に応じた3R+Renewableの取組を選択することで、資源のより循環的・効率的な利用を進めます。環境にやさしい製品等の製造・販売や、より環境負荷の低いサービスの提供に前向きに取り組むことに加え、積極的な情報発信を行うことで、市民の皆様の意識や行動の変容を促し、持続可能なビジネスモデルを構築していきます。 <具体的取組> ・ごみの発生抑制と分別・リサイクルを積極的に進め、なお残るごみは適正に処理します。 ・製品への再生材の使用、包装の簡素化、分解・分別が容易な設計の導入などに積極的に取り組みます。 ・市民の皆様が環境にやさしい製品やサービスを選択できるよう、自らの環境への取組や製品についての情報発信を積極的に行います。 ・自主回収や店頭回収により、市民の皆様のリサイクルへの関心を高め、参加する機会を創出するとともに、より効率的なリサイクルを推進します。 (3) 行政の役割  行政は、環境学習・普及啓発や情報提供を通じて、市民・事業者の皆様の主体的な3R+Renewableの取組を引き出す土壌づくりを進めるとともに、事業者の皆様との連携のもと、資源の循環的・効率的な利用に向けた仕組みを構築し、市民の皆様の参加を促していきます。  また、将来世代に過大な負担を残さないよう、ごみ処理の全ての段階において環境負荷の低減を図るとともに、計画的な施設整備と歳入確保・歳出削減に取り組み、将来にわたり安全で安定的なごみ処理体制を構築していきます。 <具体的取組> ・市民・事業者の皆様の主体的な行動につながる環境学習や普及啓発、情報提供を行います。 ・資源物の多様な回収・リサイクルルートを確保し、市民の皆様に周知することでリサイクルを推進するとともに、安定的かつ適正に資源化されるよう、働きかけを行います。 ・3R+Renewableを進めてもなお残るごみは、環境に配慮し適正に処理します。 ・老朽化が進む廃棄物処理施設の再整備を計画的かつ着実に進めるとともに、安定的かつ効率的なごみ発電や資産活用による歳入確保、処理の効率化など歳出削減に取り組み、財政面での安定を図ります。 6 処理量の見込み (1) ごみと資源の処理量の見込み 今後もリデュースをはじめとした3R行動を推進していくことに加え、人口減少が見込まれていることから、総排出量の減少が続くと見込んでいます(処理量の見込みの算出方法については、資料編47ページ)。 ここに図があります。 ごみと資源の処理量について2022年度実績と2030年度見込みの図です。 2022年度は家庭系ごみ量は57万トン、家庭系資源化量は25万トン、事業系ごみ量は28万トンの実績です。 2030年度は家庭系ごみ量は51万トン、家庭系資源化量は22万トン、事業系ごみ量は29万トンを見込んでいます。 図の説明は終わりです。 ここに表があります。 ごみと資源の処理量の2030年度見込みの内訳の図です。 総排出量は1023千トンで、最終処分量は116千トンを見込んでいます。 表の説明は終わりです。 (2) し尿・浄化槽汚泥等の処理量の見込み  本市においては水洗化率がほぼ100%となっています。し尿・浄化槽汚泥等の処理量は過去5年間、横ばいとなっており、今後も同様の傾向が続くものと見込んでいます。 ここに図17があります。 し尿・浄化槽汚泥等収集量の推移(2018~2022年度)の図です。 2030年度に浄化槽汚泥等は2.7万トン、し尿は0.7万トンを見込んでいます。 図17の説明は終わりです。 第4 政策と具体的取組 基本方針1 SDGsの達成と脱炭素社会の実現 政策1 プラスチック対策の推進  脱炭素社会の実現に向け、使い捨てプラスチックの削減(リデュース)に取り組み、不要になったものは適切に分別・リサイクルするなど、市民・事業者の皆様による主体的なプラスチックの3R+Renewableの取組を促進していくことで、温室効果ガスの排出につながるプラスチックごみの焼却量削減を進めます。  また、プラスチックごみによる海洋汚染問題への対応として、海洋流出防止に向けた取組を進めます。 1 発生抑制(リデュース)の推進 具体的取組 (1) 使い捨てプラスチックの削減 ・小売店等と連携した市民の皆様向けキャンペーンの実施 ・保育園、幼稚園、学校や地域における出前講座の実施 ・代替素材を使用した製品の利用促進に向けた取組 ・リユース食器の利用促進に向けた取組 ・SNS等を活用した広報・啓発の実施 (2) マイボトルの利用促進 ・マイボトルスポットの利用促進に向けた取組 ・マイボトルスポット登録事業者と連携したキャンペーンや店内告知等、利用促進に向けた取組 2 分別・リサイクルの推進 具体的取組 (1) プラスチックごみの分別・リサイクルの拡大 ・プラスチック製容器包装とプラスチック製品の一括回収の実施 ・地域での説明会の実施や説明動画の発信など、新しい分別ルールの広報・啓発の実施 ・新しい分別ルールに対応した分別案内アプリ等の更新 ・分別ルールの継続した広報・啓発の実施 ・様々な環境行動の実践につながる集中的キャンペーンの実施 (2) 店頭回収・自主回収の推進 ・店頭回収や自主回収の実施状況の把握及び参加促進に向けた取組 ・市民の皆様が利用しやすいウェブサイトの構築及び情報発信 ・自主回収に取り組む事業者の支援 ・自主回収を促進するための指導方針の整理及び公表 (3) 脱炭素化に向けた更なるリサイクル拡大の検討 ・プラスチックと他素材の複合製品や合成繊維・合成ゴムなどのリサイクル検討 ・大臣認定ルート※9を活用したリサイクルの検討 ※9 市町村が製品プラスチックを含むプラスチックごみの再商品化計画を策定し、環境大臣および経済産業大臣の認定を受けることで、独自にリサイクルを行うことができる仕組み 3 事業者等への働きかけ 具体的取組 (1) 事業者の主体的な取組の支援 ・発生抑制や代替素材の導入等、事業者の優れたプラスチック対策の取組の紹介・発信 ・使い捨てとなるプラスチック製品(スプーン、フォーク、ストロー等)を提供する事業者に対する働きかけの実施 (2) 排出事業者への働きかけ ・発生抑制や代替素材導入の促進 ・温室効果ガス削減効果の高いリサイクルの推奨                                                 ・大規模事業用建築物や、プラスチック資源循環法における多量排出事業者等に対する働きかけの実施 (3) 市役所の率先行動 ・横浜市役所が排出するプラスチックごみの発生抑制、リサイクル推進 ・代替素材を使用した製品の積極的な利用 ・「GREEN×EXPO 2027」など市内で開催されるイベント等でのごみの発生抑制、分別・リサイクルの推進 (4) 分別排出の推進 ・排出事業者に対する立入調査や焼却工場における搬入物検査の実施を通じたプラスチックごみの適正排出の推進 4 海洋流出対策 具体的取組 (1) ごみのポイ捨てや海洋流出防止に向けた広報・啓発 ・プラスチック問題をテーマとした講演会、イベントの開催 ・近隣市と連携した海洋プラスチックごみ削減に向けた取組の推進 ・ポスターや動画等を活用した広報・啓発及び環境学習との連動 ・ポイ捨ての状況を定量的に把握する方法及びデータを活用した広報・啓発の検討 ・来街者へ向けたポイ捨て防止の啓発 ・行動デザイン(ナッジ※10)を活用したポイ捨て防止の取組の検討 ・河川周辺のポイ捨てごみ調査の実施 (2) 地域活動の推進 ・地域や企業、団体との連携による地域での美化活動の推進 ・スポーツイベントなどと合わせたごみ拾いイベントの実施 ・クリーンアップ活動SNSを通じた清掃活動の活性化 ※10 行動科学の知見の活用により、人々が自分自身にとってより良い選択を自発的に取れるように手助けする政策手法 <コラム>プラスチックごみの分別・リサイクルの拡大  本市が一事業者として排出している温室効果ガスのうち、約4割を廃棄物処理事業が占めており、その9割はプラスチックごみの焼却により発生しています。脱炭素社会の実現に向け、プラスチック対策の取組により、燃やすごみに含まれるプラスチックごみを減らしていくことが重要です。  そこで、プラスチック製品を分別・リサイクルの対象に加え、プラスチック製容器包装とあわせて「プラスチック資源」として収集する取組を、2024(令和6)年10月に9区※11で開始し、2025(令和7)年4月からは全市域で実施します。プラスチックごみの分別・リサイクルは市民生活に身近な脱炭素化に向けた取組であり、各家庭で取り組んでいただけるよう、丁寧に呼びかけていきます。 また、現在の技術ではリサイクルが困難な、金属などとの複合品、合成繊維・合成ゴムなどの分別拡大に向けた検討を行うとともに、拡大生産者責任の考え方に基づき、分別収集・中間処理も含めた全ての費用を事業者が負担する制度に見直すよう国への働きかけを進めています。 ※11 中区、港南区、旭区、磯子区、金沢区、戸塚区、栄区、泉区、瀬谷区 ここに図があります。 「プラスチック資源」として収集するものの例の図です。 プラスチック製容器包装とプラスチック製品が同一の袋で排出することができることを示しています。 図の説明は終わりです。 <コラム>海洋プラスチック対策  プラスチックは、軽量で丈夫、加工もしやすいことから、さまざまな製品や容器包装などに幅広く利用されています。  一方で、優れた耐久性・安定性ゆえ、プラスチックは、自然界で分解されにくいという特徴があります。このため、不法投棄やポイ捨て、屋外に設置されたプラスチック製品が風雨や紫外線などで劣化して飛散するなど、意図的・非意図的に関わらずプラスチックが自然界に流出してしまうと、河川等を通じて海にたどり着き、海洋汚染につながります。このまま対策をとらなければ、2050(令和32)年までに海洋プラスチックごみの量が魚の重量を上回るとも言われており、生態系への影響が懸念されています。  私たちの生活に多くの利便性と恩恵をもたらした素材であるプラスチックは、今やなくてはならないものとなっており、全てのプラスチックの使用を中止することは現実的ではありません。しかし、プラスチックによる環境汚染の拡大を食い止めるとともに、既にある汚染を改善していくことは、世界共通の喫緊の課題です。  プラスチック対策の取組を進めていくうえでは、市民・事業者の皆様に具体的に行動していただくことが重要です。本市では、 ・事業者の皆様と連携したプラごみ削減キャンペーン ・ポイ捨てと海洋汚染の関連性についての啓発 など、様々な機会をとらえて市民・事業者の皆様に取組の呼びかけを行っています。また、 ・地域における集積場所改善の取組支援を通じたプラスチックの飛散防止 ・横浜港の港湾区域における海上漂流物や海底に堆積したプラスチックごみ等の回収・運搬・処分 ・市内沿岸や河川におけるマイクロプラスチック※12の実態調査 など、海洋汚染の防止や実態把握に向けた取組を進めています。 また、海中ごみ・海岸漂着ごみの7割から8割は陸地で発生しており、河川を通じて流れ着くものであることから、根本的な解決のためには、広域的な視点での取組が必要です。本市でも、近隣する都市と連携した清掃・啓発活動などを行い、海洋プラスチックごみの削減に向けた取組を進めています。 ※12 大きさが5mm未満の微細なプラスチック類のこと 政策2 食品ロス削減の推進  市民・事業者の皆様の間で「食」を大切にする価値観が醸成され、食品の製造・流通・販売・消費のあらゆる場面における食品ロスの削減に向けた具体的な取組の実践と定着につながるよう、働きかけを行います。  また、先進的な取組の波及・普及を図ることで、市域全体での食品ロス削減につなげていきます。発生抑制の取組を進めてもなお残る生ごみについては、有効利用を進めます。 1 価値観の醸成ときっかけづくり 具体的取組 (1) 「食」を大切にする価値観の醸成 ・保育園・幼稚園・学校や地域における出前講座の実施(再) ・環境問題や食育の視点を採り入れた広報・啓発の実施 ・土壌混合法とあわせた野菜の栽培・収穫体験の支援 (2) 実践行動に向けたきっかけづくり ・単身者、子育て世帯をはじめとした、ターゲットに合わせた広報・啓発の実施 ・データに基づく分かりやすい広報・啓発の実施 ・市民・事業者の皆様によるフードバンク・フードドライブ活動の支援 (3) 重点期間における集中的な取組 ・SNS等を活用した集中的な広報・啓発の実施 ・食品ロス削減月間にあわせたイベント等の開催 ・季節行事に合わせた広報・啓発の実施 2 場面に応じた実践行動の推進 具体的取組 (1) 買い物時の実践行動の推進 ・賞味期限・消費期限の理解促進 ・買い物前の在庫チェック、適量購入の呼びかけ (2) 調理時の実践行動の推進 ・使い切りレシピの広報や実演講座の開催 ・フードサルベージ※13やリメイクレシピの紹介 ・食材を無駄にしない調理器具の活用・紹介 ※13 食品ロスにならないよう、余っている食材を活用して調理し、食べきること (3) 食材保存の実践行動の推進 ・冷蔵庫収納術、冷凍庫活用方法を学ぶ講座の開催 ・食材に合わせた保存方法の紹介 ・ローリングストックや定期的な食品の在庫確認の呼びかけ (4) 外食時の実践行動の推進 ・適量注文、食べきり行動の呼びかけ ・ナッジを活用した取組の実施   3 多様な主体との連携・共有 具体的取組 (1) 事業者と連携した取組の推進 ・小売店と連携したイベントや店頭啓発の実施 ・飲食店、小売店等と連携したナッジを活用した取組の実施 ・フードシェアリングやフードドライブなど、何もしなければ食品ロスとなってしまう食品の活用促進に向けた事業者の取組支援 ・事業者の先進的な取組の共有・推進 (2) 国際機関等との連携 ・食をテーマとしたイベントや講演会の開催 ・市内に拠点を置く国際機関と連携した環境学習の実施 4 事業者への働きかけ 具体的取組 (1) 食べきり協力店事業の推進 ・登録店舗増加に向けた働きかけ ・食べきり協力店の市民周知、利用促進 ・大規模商業施設や商店街における登録の働きかけや利用促進等の集中的な取組 (2) 飲食店・小売店等における取組の推進 ・立入調査等の機会を活用した情報提供、働きかけ ・事業者の取組状況の把握と効果的な削減施策の検討 (3) 先進事例の波及・普及 ・食品ロス削減に率先して取り組む事業者の先進事例の広報 ・優良事業者の表彰 (4) 製造業の事業者への働きかけ ・食品廃棄物を多量に排出する製造業の事業者を対象とした取組状況の調査及び削減に向けた働きかけの実施 5 生ごみの減量・リサイクル 具体的取組 (1) 食品廃棄物のリサイクルに向けた働きかけ ・飼料化、肥料化、バイオガス化等の様々な手法によるリサイクルの推奨 ・大規模事業所等を対象としたリサイクル促進の働きかけ (2) 土壌混合法の普及啓発 ・地域や区役所等での土壌混合法講習会の開催 ・実施団体への器具貸出や必要物品の支援 <コラム>食品ロスの削減と効果   本来食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」は世界で約13億トン/年※14発生している一方、8億人以上の方が飢えや栄養不足に苦しんでいる※15と言われています。  世界では、一人ひとりが十分に食べられるだけの食料が生産されているにも関わらず、食料が必要な人のもとに届いていない現状があります。世界人口も増加傾向であり、「食」の重要性は、今後益々高まっていくことが予想されます。  自分たちの生活を守るため、豊かな地球を未来に残すため、私たち一人ひとりが「食べること」について考え、行動することが大切です。  食品ロスの削減を進めることは、生ごみの減量、ごみ処理に係るエネルギーや処理費用の削減の効果だけでなく、環境や食育、地産地消、飢餓、貧困、福祉など、SDGsの様々な目標の同時達成にもつながります。 ※14 FAO「世界の食料ロスと食料廃棄(2011年)」 ※15 2022年版「世界の食料安全保障と栄養の現状』 ここに図があります。 WFPハンガーマップの図です。 図の説明は終わりです。 ここに図があります。 消費者庁資料を基に作成した食品ロス削減とSDGs目標との関連の図です。 食品ロスの問題を解決することで、気候変動対策や飢餓の撲滅などの課題解決につながることを示しています。 図の説明は終わりです。 政策3 環境学習・普及啓発の推進  「誰もが快適に暮らし、将来の子どもたちに良好な環境を引き継いでいく」ため、市民・事業者の皆様がより一層環境に関心を持ち、3R行動などの具体的な取組の実践につながるよう、環境学習や普及啓発の取組を行います。  さらに、「GREEN×EXPO 2027」の開催を契機に、SDGsやGX※16の実現に向けた市民・事業者の皆様の取組を加速させていきます。 ※16 グリーントランスフォーメーションの略で、化石燃料をできるだけ使わず、温室効果ガスを発生させないクリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動のこと 具体的取組 (1) 小学校や地域等との連携や説明会(出前講座)の実施 ・ごみの処理を学習する小学4年生全員を対象とした副読本の配布 ・焼却工場の施設見学と併せた環境学習の実施 ・副読本のデジタル対応や映像の活用など、デジタル技術を活用した効果的な環境学習の検討 ・保育園、幼稚園、学校や地域における出前講座の実施(再) ・転入者や高齢者、子育て世帯など、ターゲットに合わせた広報・啓発の実施 ・企業や大学等との連携による環境学習プログラムの充実 ・環境事業推進委員と連携した情報発信や取組の推進 (2) 廃棄物処理施設における環境学習の充実 ・小学4年生などを対象とする焼却工場や最終処分場、資源選別施設の見学をはじめ、映像を活用した講義等による環境学習の実施 ・総合的な環境学習拠点の整備 (3) 多様なツールや機会を活用した情報提供 ・スマートフォンアプリやチャットボットによるごみの分別案内 ・ホームページやSNSを活用した情報発信 ・ターゲットに合わせた広告媒体を活用した広報 ・事業者向け講習会や立入調査等の機会を捉えた3R+Renewableについての情報提供 (4) 3Rに関する表彰等の実施 ・横浜環境行動賞「ヨコハマ3R夢(改称予定)」推進者表彰の実施 ・小・中学生を対象としたポスターコンクールの実施 (5) 環境プロモーションの実施 ・キャッチコピー、ロゴ等を活用した広報・啓発の実施 ・「GREEN×EXPO 2027」と連携した環境プロモーションの実施 <コラム>3Rから3R+Renewable(リニューアブル)へ  3Rの取組には優先順位があり、まずはリデュース(発生抑制・ごみになるものを買わない、受け取らないなどの取組)、次にリユース(再使用・使用しなくなったものを他の人に譲るなどの取組)、そしてリサイクル(再生利用・分別して再び資源として使用するなどの取組)の順に進めることが望ましいといわれています。  本市においては、G30プランで「分別・リサイクル」に集中的に取り組み、3R夢プランではさらにステップアップして、もっとも環境にやさしい「リデュース」の取組を進めるため、ライフスタイル・ビジネススタイルの転換を市民・事業者の皆様へ呼びかけてきました。  現在では、3Rに「Renewable(リニューアブル)」という考え方が加わってきました。これにより、製品に使用する素材を、環境への負荷が大きいプラスチック製品から、バイオマス素材※17などに替えるなど、再生可能な資源に替える取組が求められています。  市民の皆様には、様々な3Rの取組を進めていただいていますが、環境にやさしい製品・サービスを選択していくなど、今後は「Renewable(リニューアブル)」の観点も含め、環境に配慮した新たな取組にご協力いただくことが必要となってきています。 ※17 再生可能な生物由来の資源を原料とした素材のこと ここに図があります。 3R+Renewableの概念図です。 3Rに加えて、再生可能な資源に置き換える「Renewable」を追加することを示しています。 図の説明は終わりです。 <コラム>保土ケ谷工場の環境学習拠点  横浜の将来を担う子どもたちに、夢と希望がもてる良質な環境を引き継いでいくためには、地球温暖化をはじめとする環境問題を市民一人ひとりが自分事として捉え、解決に向け行動していただくことが大切です。  そこで、本市では、プラスチックや食品ロスの問題に加え、地球温暖化、緑や農、生物多様性などのテーマとも関連付けながら、子どもから大人まで幅広い世代を対象とした環境学習を実施しています。  なかでも、2030(令和12)年度に竣工予定の新たな保土ケ谷工場では、焼却処理の仕組みだけでなく、資源循環の取組や、プラスチック対策・食品ロスの削減・地球温暖化対策・みどりや生物多様性などの環境テーマについて、「最新の映像技術や体験型設備等」を活用し、また、環境活動に取り組む地域住民や団体・事業者の皆様への「地域利用スペース」の提供等により、子どもから大人まで、環境について広く楽しく学べる総合的な環境学習の拠点として整備していきます。 <コラム>「GREEN×EXPO 2027」に向けた機運醸成  「GREEN×EXPO 2027」は、本市で初めて開催される万博です。脱炭素やSDGsなど人類共通の課題に対してGXやグリーンイノベーション※18による解決策を示していきます。本計画は、SDGsの達成や脱炭素社会の実現、循環経済への移行に向け、市民・事業者の皆様と共に考え、取り組むことを基本理念としており、2027(令和9)年は計画の中間点にあります。  「GREEN×EXPO 2027」に向けて、プラスチックごみの分別・リサイクルという市民の皆様一人ひとりの行動変容をきっかけに、更なる環境意識向上と脱炭素行動の実践、博覧会開催に向けた機運醸成を図っていきます。  さらに、「GREEN×EXPO 2027」の開催を市民の皆様の誇りとし、そのレガシーによって、更なる行動変容につなげていくことで、脱炭素社会の実現を目指していきます。 ※18 環境・資源・エネルギー技術の研究開発とその普及・実用化を推し進めていくことで気候変動問題の解決と社会経済の持続的な発展につなげていくこと 【開催期間】 2027(令和9)年3月19日から9月26日まで 【開催場所】 旧上瀬谷通信施設(旭区・瀬谷区) 【参加者数】 1,500 万人(ICT活用や地域連携などの多様な参加形態を含む) (有料来場者数 1,000万人以上) 【開催主体】 公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会 ここにロゴマークがあります。 国際園芸博覧会の略式ロゴマークです。 ロゴマークの説明は終わりです。 基本方針2 市民ニーズへの対応と安定したごみ処理 政策4 多様な社会ニーズへの対応  誰もがごみのことで困らない、住みよいまちに向けて、高齢化に伴うごみ出しの支援に対するニーズ増加やまちの美化、災害への備えなど、社会状況や市民ニーズの変化に着実に対応していきます。  また、デジタル技術の活用により、行政サービスの向上と業務の効率化、施策の推進におけるデータの活用を進めます。 1 高齢化やごみ出しに関する課題への対応 具体的取組 (1) 集積場所の維持管理支援 ・集積場所におけるごみの散乱防止に向けた取組事例の紹介やカラスよけネットボックスの貸出等の支援の実施 ・難しい課題を抱えた集積場所における、地域と協働した集積場所改善の取組の実施 ・良好に維持されている集積場所を管理されている方々を表彰 (2) ふれあい収集等の着実な対応 ・ふれあい収集や粗大ごみ持ち出し収集のニーズ増加への着実な対応 (3) いわゆる「ごみ屋敷」問題への対策 ・区役所や健康福祉局と連携した、いわゆる「ごみ屋敷」問題の解消や再発防止に向けた取組の推進 (4)  外国人のごみ出しルール浸透への対応 ・区役所や支援団体、地域等と連携したごみ出しルールの周知 ・ごみ分別アプリ等の分別案内ツールの多言語対応の推進 (5) 市民ニーズを踏まえた収集のあり方の検討 ・道路が狭く、収集車が通行できない地域における軽四輪車を活用した狭あい道路収集の実施 ・ごみの排出状況や市民ニーズを踏まえた今後の収集のあり方を検討 2 まちの美化の推進 具体的取組 (1) 地域の美化活動の推進 ・ごみのポイ捨て防止に向けた啓発キャンペーンの実施 ・来街者へ向けたポイ捨て防止の啓発の実施 ・美化推進重点地区における歩道清掃の実施 ・地域や企業、団体との連携による地域での美化活動の推進(再) ・クリーンアップ活動SNSを通じた清掃活動の活性化(再) (2) 美化活動の担い手支援 ・地域等での清掃活動を始めるきっかけづくり、担い手支援 ・トングやごみ袋等、清掃用具の貸出・提供 (3) 歩きたばこや吸い殻のポイ捨ての防止 ・歩きたばこや吸い殻のポイ捨て防止に関する広報・啓発、パトロールの実施 ・喫煙禁止地区における巡回指導 (4) 不法投棄対策 ・不法投棄防止の看板設置、夜間監視パトロールの実施 ・放置自動車、沈船等の処理 (5) トイレに困らないまちづくり ・定期的な清掃の実施や、利用者のマナー向上に向けた呼びかけ ・事業者と連携した、公共トイレ協力店等の取組検討・実施 ・洋式便器化、バリアフリー化など環境改善の実施 ・今後の公衆トイレのあり方の検討及び計画的な再整備の検討・実施 3 災害への備え 具体的取組 (1) 災害廃棄物の迅速かつ強靭な処理体制の構築 ・発災時を想定した訓練の実施 ・臨海部の焼却工場の津波対策の推進 ・仮置場の設置・運営の検討 ・被災時における災害廃棄物の適正かつ円滑・迅速な処理に向けた対策等の検討 (2) 市民の皆様への広報・周知 ・災害時のごみの出し方に関する広報・啓発 ・防災訓練等での各家庭におけるトイレパック備蓄の呼びかけ ・災害時下水直結式仮設トイレの利用方法の周知 4 デジタル化の推進 具体的取組 (1) 行政サービスの向上 ・市民・事業者の皆様向け手続のデジタル化の推進 ・デジタル化による資源集団回収奨励金申請手続の負担軽減・効率化(再) ・スマートフォンアプリやチャットボットによるごみの分別案内(再) ・粗大ごみ処理手数料の電子決済導入 (2) 業務の効率化 ・AI・IoT技術やドローンを活用した廃棄物処理施設の維持管理・運営の効率化と安全性の向上 (3) データ活用 ・デジタル技術を活用したごみや資源物の排出量把握 ・排出事業者及び処理業者への電子マニフェストの普及啓発及びデータ活用の検討 ・庁内における電子マニフェストの導入促進 ・プラスチック対策、食品ロス削減施策におけるデータ活用の推進 ・収集業務における交通事故防止対策に寄与するデジタル技術導入の検討 5 廃棄物分野における国際協力 具体的取組 (1) Y-PORT事業を通じた支援 ・ベトナム国ダナン市における廃棄物管理に対する支援 ・Y-PORTセンターやJICA等と連携・協力した支援業務の実施 (2) アフリカ諸国・都市への支援 ・「アフリカのきれいな街プラットフォーム」を通じた廃棄物管理研修の実施等による、アフリカの廃棄物管理向上への支援 (3) 視察受入れの実施 ・廃棄物処理施設等における視察受入れの実施 6 有料化の検討・廃棄物処理手数料の適宜見直し 具体的取組 (1) 家庭系ごみ有料化の検討 ・市民負担の公平性の確保やごみの減量、脱炭素化やSDGsの観点から、家庭系ごみの有料化について検討 (2) 市民・事業者の皆様が排出するごみの処理手数料の適宜見直し ・廃棄物処理にかかる費用負担の適正化の観点から、各種廃棄物処理手数料について、適宜見直しを実施 <コラム>安心・安全・安定なごみ処理に向けた災害への備え  近年、自然災害が激甚化・頻発化し、日本各地に甚大な被害をもたらしています。本市においても、令和元年台風による記録的な暴風・大雨等で、多くの被害がありました。自然災害の発災時には、片づけごみなどが大量に発生することが想定されることから、災害廃棄物の円滑・迅速な処理により、市民生活と市内経済の早期復旧・復興につなげていくことが重要です。  そのため、発災時に備えた訓練の実施や事業者の皆様との連携に加え、他都市の災害廃棄物の収集運搬に対する支援などの経験を活かし、災害廃棄物の早期処理に向けた体制づくりを引き続き進めます。あわせて、廃棄物処理施設の強靭化の取組として、鶴見工場や金沢工場など沿岸部の焼却工場には、止水壁の設置や工場周辺の道路の高さを上げるなどの浸水対策を実施していきます。新たな保土ケ谷工場については、大容量の非常用発電機の設置などにより、大規模災害時における長時間の停電発生時においても、ごみの焼却・発電が継続できる強靭な施設として整備します。また、災害時にごみ焼却により得られた電気を、電気自動車の蓄電機能を活用し、地域防災拠点等で活用する取組を進めていきます。  さらに、災害時には水洗式のトイレが使用できなくなることに伴い、健康被害や衛生環境の悪化につながる恐れがあることから、トイレ対策の備えが重要です。本市においては、地域防災拠点への下水直結式仮設トイレの整備を進めており、2023年度中に全拠点への配備が完了する予定です(建替え予定の拠点を除く)。くみ取り式のトイレについては、発災2日目からくみ取りを行う計画としています。  災害対策は、各家庭での備えや取組も重要です。防災と食品ロス削減の観点からのローリングストック※19の取組やトイレパック等の備蓄を市民の皆様へ呼びかけるとともに、分別の協力や決められた時期、場所への排出など、災害時のごみ出しへの理解を深めていただけるよう、様々な機会を通じて情報提供を行っていきます。  これまで、新型コロナウイルス感染症が社会全体に影響を与えている状況においても、感染症防止対策を徹底しつつ、環境衛生を維持するため、ごみの処理を継続してきました。今後も市民・事業者の皆様が日常生活や事業活動を安心して送ることができるよう、ごみの処理を着実に実施していきます。 ※19 普段から少し多めに食材、加工品を買っておき、使ったら使った分だけ新しく買い足していくことで、常に一定量の食料を家に備蓄しておくこと   政策5 安定したごみの収集・運搬・処理・処分  市民生活と市内経済を支えるごみ処理の安心・安全・安定を確保するため、家庭ごみ、し尿の安定的かつ効率的な収集運搬に努めるとともに、安全作業の徹底を図ります。  また、施設の適切な維持管理・補修を着実に実施します。  さらに、ごみの適正処理に加え、減量・リサイクルによる資源の有効利用を進めることで、脱炭素化など環境負荷の低減を図ります。 1 家庭ごみの安定的な収集運搬と適正排出の推進 具体的取組 (1) 家庭系ごみの収集運搬 ・市民生活を支える家庭系ごみの収集運搬を安定的かつ効率的に実施 (2) 有害・危険ごみへの対応 ・水銀体温計・血圧計等の適正排出及び拠点回収の推進 ・リチウムイオン蓄電池等の適正排出の推進 ・処理困難物等の適正処理に向けた国・事業者への働きかけ 2 資源化の推進 具体的取組 (1) 資源物のリサイクル ・分別された資源物の着実なリサイクルの実施 ・分別排出の啓発・指導等の実施 ・資源物等の持ち去り防止パトロールの実施 (2) 資源集団回収の実施 ・地域団体及び回収事業者への奨励金交付を通じた資源集団回収による安定的な古紙・古布のリサイクルの実施 ・デジタル化による資源集団回収奨励金申請手続の負担軽減・効率化(再) (3) リサイクル拡大の検討 ・社会状況の変化やリサイクル技術の動向を踏まえた資源物のリサイクル拡大の検討 3 環境に配慮した安定的なごみ処理の推進 具体的取組 (1) 安定的なごみの焼却と施設の維持管理 ・家庭や事業所から出される燃やすごみの処理 ・適切な維持管理と計画的な補修 ・排出基準の遵守、環境調査によるモニタリングの実施 (2) 南本牧第5ブロック廃棄物最終処分場の維持管理 ・廃棄物の埋立処分の適切な実施 ・ごみの減量化、資源化及び焼却灰の資源化等による延命化の推進   4 事業系ごみの適正処理 具体的取組 (1) 事業系ごみの減量・リサイクルの推進 ・事業者向け講習会等での減量・リサイクルの働きかけ ・立入調査等の機会を通じた周知・啓発 ・業種・業態に合わせた情報提供の実施 (2) 事業系ごみの適正処理の推進 ・排出事業者に対する立入調査や焼却工場における搬入物検査の実施 ・許可業者に対する指導の実施 ・PCB廃棄物の適正処理に向けた働きかけ ・専従機動班による不適正処理監視・指導 5 し尿処理 具体的取組 (1) し尿の適正処理 ・生活環境の保全及び公衆衛生の向上に向けた、くみ取り式トイレや仮設トイレのし尿の着実な収集、処分の実施 ・浄化槽等の設置にかかる審査及び維持管理指導 (2) 公衆トイレの維持管理 ・市内の公衆トイレの定期的な清掃及び維持管理   政策6 将来を見据えた施設整備  将来にわたって安全で安定的なごみ処理体制を確保していくため、老朽化が進む廃棄物処理施設について、日頃の維持管理や補修工事の実施に加え、施設ごとの耐用年数を踏まえた整備を計画的かつ着実に実施する必要があります。  施設整備に際しては、施設規模や配置の適正化、AI・IoT等の最新技術活用による処理の効率化のほか、発電効率向上や未利用等土地の利活用の検討等をあわせて進めます。  また、環境にやさしいエネルギーの創出・利活用や省エネ、脱炭素技術の導入の検討など、市域内の脱炭素化に向けた取組を進め、地域に多面的価値を提供する施設としていきます。 1 廃棄物処理施設の再整備等の実施・検討 具体的取組 (1) 保土ケ谷工場の再整備 ・2030(令和12)年度の竣工・稼働に向けた再整備の実施 (2) 老朽化が進行した廃棄物処理施設等の長寿命化※20 ・焼却工場、中継輸送施設、最終処分場排水処理施設、収集事務所の長寿命化対策の検討及び実施 ※20 廃棄物処理施設等の長寿命化や更新は、市の厳しい財政状況を踏まえ、具体的な実施の時期を検討します (3) 将来を見据えた廃棄物処理施設の更新※21 ・焼却工場の更新の検討 ・資源選別施設の計画的な更新の検討及び実施 ※21 廃棄物処理施設等の長寿命化や更新は、市の厳しい財政状況を踏まえ、具体的な実施の時期を検討します (4) 未利用等土地の利活用 ・旧磯子工場の土地利活用の検討 ・最終処分場跡地の有効活用 ・その他未利用等土地の利活用の検討 <コラム>廃棄物処理施設の整備  本市の一般廃棄物のうち、家庭や事業所から排出される燃やすごみは、年間約84万トン(2022年度)発生しており、市内の焼却工場(4工場稼働)で焼却しています。  焼却工場をはじめ、本市所管施設の多くは昭和後期から平成初期にかけて建設され、老朽化が進んでいます。 ここに表があります。 廃棄物処理施設の2030年時点の稼働年数の表です。 表の説明は終わりです。 ここに図があります。 廃棄物処理施設の配置図です。 図の説明は終わりです。  ごみ焼却工場等の廃棄物処理施設は、施設の中核となるプラント設備が高温・腐食環境で使用されることや機械的運動による摩耗が発生しやすいため、適切な保全を実施しても、一般的な公共施設やインフラに比べ性能の低下や設備劣化の進行が速く進みます。  そのため、劣化が進行したプラント設備について適切に長寿命化対策を行い、出来る限り施設の延命化を図ります。延命化後、プラント設備の老朽化状況等を考慮し、適切に更新や建替え等を行います。 ここに表があります。 廃棄物処理施設ごとの長寿命化や更新のめやす※22の表です。 焼却工場は稼働から概ね25年で長寿命化工事を行い、概ね40~45年で再整備を行います。 表の説明は終わりです。 ※22 廃棄物処理施設の整備のめやすについては、「資源循環局施設整備・管理基本計画【個別施設計画】(令和5年8月)」による 2 環境にやさしいエネルギーの創出と地域貢献 具体的取組 (1) 環境にやさしいエネルギーの更なる創出 ・新たな保土ケ谷工場における高効率発電設備導入による発電量の向上及び太陽光、風力、小水力等再生可能エネルギーの導入 ・既存工場の長寿命化対策工事等に伴う、機器の省エネルギー化、蒸気式タービンの改造などによる発電量の向上 ・PPA事業※23等を活用した廃棄物処理施設などへの太陽光発電設備の設置による再生可能エネルギー拡大の検討 ※23 Power Purchase Agreement(電気購入契約)の略。企業・自治体が保有する施設の屋根や遊休地を事業者が借り、無償で発電設備を設置し、発電した電気を企業・自治体が施設で使うことができるため、CO2排出削減につながる (2) 環境にやさしいエネルギー(電気)の市内活用 ・市庁舎、区庁舎等への活用や「はまっこ電気※24」の取組などによる、横浜市内での100%活用 ※24 再生可能エネルギーの地産地消に向けた、ごみ焼却工場の再エネ(バイオマス)由来の環境価値と市内家庭の太陽光発電による再エネを活用した市内事業者向けの電気メニュー (3) 環境にやさしいエネルギー(熱)の地産地消 ・焼却工場近隣の事業者と連携した、地域特性に応じた熱エネルギーの地域活用の検討 (4)地域への貢献 ・ごみ焼却に伴い発生する蒸気の市民利用施設への供給 ・災害時における地域防災拠点等への電力供給手法の検討・実施 3 省エネの推進・脱炭素技術等の研究 具体的取組 (1) 各施設における省エネの推進 ・LED化ESCO事業の実施等によるLED等高効率照明への切替え推進 ・設備更新時の省エネ機器導入の推進 (2) CCUの推進 ・二酸化炭素を分離・回収し、水素と合成してメタンガスを生成する実証試験の実施 ・新たな民間事業者との連携、活用可能性等の検討 (3) 脱炭素に関する研究の支援 ・新たな保土ケ谷工場を拠点とする、企業・大学等と連携した脱炭素技術開発の推進 (4) 収集車両の環境対策 ・環境負荷低減車両の導入等の検討 <資料編>   1 ごみの分別区分(2023年9月時点) ここに表があります。 ごみの分別区分の表です。 表の説明は終わりです。 ※ このほか、段ボールを除く古紙及び古布、小型家電、水銀式の体温計・血圧計・温度計の拠点回収を行っている ※ 各区の収集事務所では、古紙類やプラスチック製容器包装などの資源物を持ち込むことができるセンターリサイクルを実施している   2 ごみ処理フロー(2022年度) ここに図があります。 ごみ処理フローの図です。 図の説明は終わりです。   3 分別品目のゆくえ(2022年度) ここに図があります。 分別品目のゆくえの図です。 図の説明は終わりです。 4 廃棄物処理施設の概要 (1) 焼却工場 ここに表があります。 焼却工場の概要の表です。 表の説明は終わりです。 ※ 現在、休止中の保土ケ谷工場の再整備を進めています (2) 資源化施設 ここに表があります。 資源化施設の概要の表です。 表の説明は終わりです。 (3) 輸送事務所 ここに表があります。 輸送事務所の概要の表です。 表の説明は終わりです。 (4) 最終処分場 ここに表があります。 最終処分場の概要の表です。 表の説明は終わりです。 (5) 検認所 ここに表があります。 検認所の概要の表です。 表の説明は終わりです。   (6) 施設配置図 ここに図があります。 施設配置図です。 図の説明は終わりです。 ※ 保土ケ谷工場は、2010年度から焼却設備を一時休止し、中継輸送施設として稼動中    5 3R夢プランにおける施策の実施状況 ここに表があります。 3R夢プラン期間中の施策と主な取組の表です。 表の説明は終わりです。   6 処理量の見込みの算出方法  家庭系のごみ量及び資源化量について、これまでの傾向をもとに原単位(1人1日あたり排出量)の将来予測を算出しました。この原単位に将来人口を乗じ、さらに計画の目標である「燃やすごみに含まれるプラスチックごみ2万トン削減」との整合を図り、算出しました。  事業系のごみ量は、景気動向や事業所数、従業員数などの様々な要因が影響するものと考えられますが、過去の実績からは明確な相関は見られません。また、コロナ禍の影響を受け2020年度は大きく減少していますが、事業活動の回復傾向や働き方の変化などもあり、見通しを立てることが困難です。そこで、2018年度から2022年度までの平均値で算出しました。  なお、コロナ禍の影響が大きい2020年度の実績を除いて算出しています。  さらに、「3R夢プラン」で評価を行ってきた事業系の資源化量は、民間の処理施設で資源化された木くずや生ごみの量であり、本市が直接関与していないことから、本計画では処理量から除外しています。 横浜市 資源循環局 政策調整部 政策調整課 〒231-0005 横浜市中区本町6丁目50番地の10 電話:045-671-2503 FAX:045-550-4239 メール:sj-seisaku@city.yokohama.jp